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平屋と2階建ての光熱費はどっち|夏の2階の暑さと冬の足元の冷えが気になるとき

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ノブです。

そろそろ8月分の電気料金の明細が届いている頃ですね。

経済産業省が2026年6月12日に発表した電気・ガス料金支援では、家庭などの低圧の電気の値引きが、1kWhあたり7月3.5円、8月4.5円、9月3.5円でした。

いま発表されているのは、9月使用分まで。

支援は時期ごとに出たり止まったりしますが、家の断熱や窓は30年、40年と同じものを使い続けます。光熱費の差は、料金の単価よりも家のつくりのほうから長く効いてくるんですよね。

僕の家は築20年を過ぎた2階建てで、夏の夜は2階の子ども部屋だけエアコンが止められません^^;

1階は涼しいのに、階段を上がると空気がむっとする。

平屋を考え始めたとき、ワンフロアなら冷暖房が楽になって光熱費も下がるはずだと、単純に期待していました。ところが調べていくと、平屋は屋根と床が広いぶん熱の出入りする面も広いという話が出てきて、どっちが得なのか分からなくなったんです。

この記事では、熱がどこから出入りするのか、同じ延床で比べたときに外気に触れる面積がどう変わるのか、冷房と暖房の効き方、断熱等級とUA値、太陽光の載せやすさ、そして見積もりの段階で光熱費を確かめる方法まで、光熱費だけに絞って平屋と2階建てを並べます。

階段や介護といった老後の暮らしやすさは別の記事で扱うので、ここでは触れません。

この記事のポイント
  • 窓などの開口部から冬は約6割の熱が逃げ、夏は約7割が入る
  • 同じ延床なら平屋は屋根と床が広く、2階建ては外壁が広い
  • 平屋は全部の部屋が屋根の真下にあり、天井の断熱が効く
  • 形の差より、断熱等級と窓の仕様で光熱費の差は大きく動く
  • 平屋の広い屋根は太陽光パネルを並べる面としても使える

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平屋と2階建ての光熱費、どっちが安く済むのか?

この章のポイント
  • 平屋が安いと言われる理由は、上下階の温度差が出にくいこと
  • 2階建ては夏の2階と冬の1階で、冷暖房の負担が偏りやすい
  • 平屋は全部の部屋が屋根の下と地面の上に並ぶ形になっている
  • 家の形の違いより、断熱と窓の仕様のほうが光熱費を大きく動かす

住宅会社のコラムを読むと、平屋のほうが光熱費は安いと書かれていることが多いです。ただ、同じ記事の後半で断熱や気密の性能によって変わるとも書かれていて、結局どっちなのかは読み手に任されていました。

この章では、平屋が安いと言われる理由と、そう言い切れない理由を分けて見ていきます。

よく言われる「平屋のほうが安い」の中身

平屋のほうが光熱費が安いと言われる理由は、たいてい1つに集まります。

上下の階がないこと。

2階建てでは、暖房で温めた空気が階段を通って2階へ上がり、1階の足元が冷えたままになりやすくなります。平屋は部屋が同じ高さに並ぶので、この上下の温度差が生まれにくく、設定温度を必要以上に上げなくて済む、という理屈です。

平屋が安いと言われる根拠は、階ごとの温度差が出にくく、冷暖房の空気が家の中で偏りにくいことにあります。

これは間違っていません。

ただ、この説明には、熱が家の外とどれだけ出入りするかという話が入っていないんですよね。

家の中で空気が偏らなくても、屋根や床から熱が逃げていれば、エアコンはそのぶん働き続けます。

冷暖房の電気代は、家の中の温度のムラと、外との熱の出入りの2つで決まるので、平屋の話をするときは後ろの半分も一緒に見ておきたいところです。

2階の暑さと1階の冷えは、2階建てで起きやすい

今の僕の家が、まさにこの形です。

夏は、日が沈んでも2階の子ども部屋に熱がこもったまま。

屋根が昼間に受けた日射の熱が天井の上にたまり、夜になっても少しずつ部屋に伝わってくるので、寝る前に冷房を入れてもなかなか室温が下がりません。1階のリビングは同じ時間でも過ごしやすく、家の中に季節が2つあるような感じです。

冬はその逆になります。

暖かい空気が階段から2階へ抜けていき、1階の床近くに冷えた空気が残ります。リビングの暖房を強めても、足元だけがなかなか温まりませんでした。

2階建ては、夏は屋根に近い2階、冬は地面に近い1階で冷暖房の負担が偏りやすく、階ごとにエアコンを動かす時間が長くなります。

もちろん、断熱のしっかりした2階建てなら、この差はかなり小さくなります。

僕の家は、その手前です。

平屋は屋根と床の両方から熱の影響を受ける

では、平屋にすればこの偏りがなくなって、光熱費の話は片づくのか?

調べていくと、平屋には平屋の熱の受け方がありました。

平屋は、すべての部屋が屋根の真下にあり、同時にすべての部屋が地面に近い床の上にあります。2階建てでいえば、2階の天井の暑さと1階の床の冷えを、1つの階で両方受け持つ形です。

夏は、リビングも寝室も、屋根からの熱を天井越しに受けます。

冬は、どの部屋も床下からの冷えを受けます。

平屋は上下の温度差が出にくい代わりに、全部の部屋が屋根と床の両方に接しているので、天井と床の断熱がそのまま家じゅうの室温に効いてきます。

2階建てなら、1階の天井は2階の床なので、外の熱を直接は受けません。

平屋には、その間の階がない。

ここを知ってから、平屋の見積書で天井と床の断熱材の欄を探すようになりました(笑)

形より先に効いてくるのは、家の性能

ここまでをまとめると、平屋にも2階建てにも、光熱費が上がりやすい場所があります。

2階建ては、階ごとの偏り。

平屋は、屋根と床の広さ。

どちらの弱いところも、断熱材の厚さや窓の性能を上げると小さくできる種類のもので、家の形そのものを変えなくても手を打てます。

平屋か2階建てかという形の違いより、断熱の性能と窓の仕様の違いのほうが、毎月の光熱費を大きく動かします。

同じ平屋どうしでも、断熱の等級が違えば光熱費の差は開くので、形を決めたあとに性能の数字をそろえて比べます。

とはいえ、形の違いがまったく関係ないわけでもありません。

同じ性能で建てたとき、どちらが熱を出し入れする面を多く持つかは、形で決まるからです。

そこで、熱がどこから出入りしているのかを、次の章で順番に見ていきます。

熱は窓と屋根と床から出入りする

この章のポイント
  • 資源エネルギー庁は、冬に逃げる熱の約6割が窓などの開口部からとしている
  • 屋根と天井は夏の日射を受ける面で、平屋では家の全部の部屋にかかる
  • 床の断熱は冬の足元の冷えに関わり、平屋は床の面積が延床と同じになる
  • 外壁やすき間からも熱は出入りするので、窓だけを直しても残る部分がある

熱の出入りする場所を知っておくと、平屋と2階建ての違いがぐっと具体的になります。

家を1つの箱として見ると、外とつながっている面は、窓とドア、屋根、床、外壁の4種類です。そこに、すき間や換気口から入れ替わる空気の分が加わります。

冬に窓際へ行くとひやっとして、夏に西日の当たる部屋が夕方まで暑いのは、それぞれの面から熱が動いているからです。

この章では、国の資料で割合が示されている窓から始めて、屋根、床、外壁、すき間の順に見ていきます。

冬は約6割、夏は約7割が窓などの開口部から

資源エネルギー庁の省エネ住宅のページでは、冬の暖房時に室内から逃げる熱の約6割、夏の冷房時に外から入ってくる熱の約7割が、窓などの開口部からだと説明されています。

6割と7割。

屋根や外壁より、窓のほうがずっと大きいんです。

窓は、壁に比べて厚みがなく、ガラスとサッシという熱を通しやすい材料でできているので、同じ広さでも熱の通り方がまったく違います。同じページでは、窓の断熱性能はガラスとサッシの組み合わせで決まるとも書かれていました。

家から逃げる熱も入ってくる熱も、いちばん多いのは窓などの開口部なので、光熱費を比べるときは家の形より先に窓の数と性能を見ます。

平屋と2階建てのどちらでも、ここは同じです。

今の家に住み続けながら窓の断熱を上げるなら、内窓を足す方法があり、2026年度に使える断熱リフォームの補助金と申請の期限を別のサイトにまとめています。

僕の家も、建て替えを決めるまでのつなぎに、2階の子ども部屋だけ内窓を足そうかと家族で話しています^^

屋根と天井は、夏の日射をいちばん受ける面

窓の次に、夏の室温に関わってくるのが屋根です。

真夏の昼、屋根は真上から日射を受け続けます。

屋根材が温まり、その熱が屋根の下の空間にこもって、天井を通して部屋に伝わってきます。日が沈んでからも屋根まわりに残った熱はすぐには抜けず、2階建ての2階や平屋の各部屋が夜まで暑いのは、この熱が残っているためでした。

2階建てでこの熱を直接受けるのは、2階の部屋だけ。

平屋では、リビング、寝室、子ども部屋、水回りと、家のすべての部屋の上に屋根があります。

平屋は屋根の面積が延床とほぼ同じになるので、天井や屋根の断熱が薄いと、夏の日射の熱が家じゅうの部屋に届きます。

反対に、天井の断熱をしっかり入れた平屋なら、屋根の熱を受けやすいという弱いところはかなり小さくできます。

断熱のやり方は、天井の上に断熱材を敷く方法と、屋根のすぐ下に断熱材を入れる方法に分かれ、どちらを採るかで屋根裏の暑さも変わってきます。

見積もりの打ち合わせで「天井と屋根、どちらで断熱していますか?」と聞くと、図面の断面を見せながら答えてもらえました。

床は、冬の足元の冷えに関わる

冬の光熱費で気になるのは、床です。

足元が冷えると、室温が同じでも体は冷えを感じるので、つい設定温度を上げてしまいます。僕の家の1階のリビングがまさにそうで、エアコンの表示は22度なのに、足だけが冷えていく感じがずっと続いていました。

床から熱が逃げる先は、床下と地面です。

2階建てで地面に近いのは1階の床だけで、30坪の家を上下15坪ずつに分ければ、床の面積は15坪ぶん。

平屋は30坪がそのまま床になります。

平屋は床の面積が同じ延床の2階建ての倍になるので、床の断熱が足りないと、冬に足元から逃げる熱も家じゅうに広がります。

床の断熱には、床のすぐ下に断熱材を入れる床断熱と、基礎のコンクリートの内側に断熱材を張って床下ごと室内側にする基礎断熱があります。どちらが合うかは地域や会社の考え方で変わるので、ここは各社の説明を聞いて比べるところです。

平屋の床は面積が広いぶん、この断熱の違いが出る面も広い。

冬の足元の具合は、夏に見学するモデルハウスでは分かりにくいところでした。

外壁は面積が大きく、2階建てで広くなる

屋根と床は平屋のほうが広い。

では外壁はどうかというと、こちらは2階建てのほうが広くなるのが一般的です。

2階建ては同じ延床を上下に積むので、建物の幅は小さくても、壁の高さが2階分になります。平屋は幅が広いぶん外周は長くなりますが、壁の高さは1階分なので、同じ延床で比べると外壁の面積は2階建てのほうが大きくなりやすいんです。

具体的な数字は、次の章で簡単な計算をして並べます。

同じ延床なら、屋根と床は平屋が広く、外壁は2階建てが広くなるので、熱が出入りする面は形によって場所が入れ替わります。

壁は屋根ほど強い日射を受けませんが、東と西の壁には朝と夕方に低い角度から日が当たります。

特に夏の西日は、夕方の室温を押し上げやすい。

2階建ての2階の西側の部屋が夕方に暑いのは、屋根の熱と西日の熱が重なるからで、僕の家の子ども部屋もちょうど西向きでした(笑)

外壁の断熱は、壁の中に入れる断熱材の種類と厚さで決まります。

すき間と換気でも、熱は出入りしている

窓、屋根、床、外壁のほかに、もう1つ熱が動く道があります。

空気そのものの出入りです。

壁と窓枠のつなぎ目、配管や配線が壁を貫く穴、床下と室内の境目など、家には目に見えないすき間があり、そこから暖めた空気が外へ出て、外の空気が入ってきます。すき間が多い家ほど、冷暖房の空気は逃げやすくなりました。

このすき間の少なさを、気密と呼びます。

もう1つが換気で、今の住宅は24時間換気の設備を付けて、室内の空気を少しずつ入れ替えています。

換気で外の空気を入れれば、そのぶん冷暖房した空気も外へ出ていきます。

換気の方式には、出ていく空気の熱を入ってくる空気に移す熱交換型もあり、会社によって標準の仕様が違いました。

すき間と換気は、平屋か2階建てかより、施工の丁寧さと設備の選び方で差が出る部分です。

窓だけを新しくしても、ここが残っていると室温は思ったほど安定しないんですよね。

延床をそろえても、外気に触れる面積はそろわない

この章のポイント
  • 30坪を真四角に置く計算では、外に接する面は平屋が約300㎡、2階建てが約241㎡
  • 平屋は屋根と床で約200㎡を占め、2階建ては外壁だけで約141㎡と大きくなる
  • L字やコの字の平屋は外周が伸び、外壁の面積がそのぶん増えていく
  • 掃き出し窓を並べる平屋は、窓の面積が増えて熱の出入りも増えやすい
  • 平屋は同じ延床でも広い敷地が要り、建築費や土地の税にも差がつく

この章は、同じ延床で平屋と2階建てを並べたときの話です。

家の広さを比べるときは延床の坪数で話しますが、光熱費に関わるのは、外の空気に触れている面がどれだけあるかのほう。延床が同じでも、形が変わればこの面積は同じになりません。

僕はここを、方眼紙に四角を描いて確かめました^^

計算はかなり単純にしていますが、平屋と2階建てで熱の出入りする面がどう入れ替わるかは、これで十分に見えてきます。

30坪を真四角で置いたときの簡単な計算

延床を30坪、およそ100㎡として、平屋と総2階の2階建てを、どちらも真四角の箱で考えます。

壁の高さは1階あたり2.5mと置きました。

  • 平屋 10m四方。屋根100㎡、床100㎡、外壁は外周40m×高さ2.5mで100㎡。合計300㎡
  • 2階建て 1階分が約7.07m四方。屋根50㎡、床50㎡、外壁は外周約28.3m×高さ5mで約141㎡。合計約241㎡

同じ100㎡の家でも、外に接している面は平屋のほうが広くなる計算です。

約300㎡と約241㎡。

延床を同じ30坪にそろえても、真四角で比べた場合、外気に触れる面は平屋が約300㎡、2階建てが約241㎡で、平屋のほうが約1.2倍広くなります。

中身を見ると、平屋は屋根と床で200㎡、2階建ては外壁だけで約141㎡を占めていて、熱が出入りする面の場所が違います。

実際の家には屋根の勾配や軒の出、窓があり、壁の高さも床の厚みのぶん増えるので、この数字がそのまま当てはまるわけではありません。

それでも、平屋は外に接する面が広くなりやすい、という傾向はつかめます。

だから平屋は、同じ断熱の等級でも、面が広いぶん性能の差が光熱費に出やすいと考えておきます。

L字やコの字にすると、外周が伸びる

真四角の平屋は、実際にはあまり多くありません。

中庭を囲むコの字、リビングと寝室を分けるL字、細長い敷地に合わせた長方形。

平屋は横に広がる形なので、光や風を部屋の奥まで入れるために、どこかで建物を折り曲げることが多くなります。折り曲げるたびに角が増え、同じ100㎡でも外周の長さが伸びていきました。

たとえば100㎡を5m×20mの細長い形にすると、外周は50mです。

真四角の40mより10m長く、外壁は高さ2.5mで25㎡増える計算になります。

同じ延床の平屋でも、L字やコの字、細長い形にすると外周が伸び、外壁の面積が増えるぶん熱の出入りする面も広がります。

中庭のある平屋は明るくて風も抜けるので、僕も図面を見るたびに惹かれるんですけど^^;

その明るさと引き換えに、外に接する面が増えることは知っておきたいところです。

形を決めるときに「この形と四角い形で、年間の冷暖房の計算はどれくらい変わりますか?」と聞いておくと、比べる材料になりました。

窓の数と大きさは平屋で増えやすい

平屋の図面を何枚か見て気づいたのが、窓の多さです。

平屋は全部の部屋が1階にあるので、どの部屋からでも庭やデッキに出られるように掃き出し窓を付けやすく、南側に大きな窓がずらりと並ぶ図面をよく見かけました。2階建ての2階は、ベランダの位置や防犯の関係もあって、腰の高さの窓が中心になりがちです。

窓は、熱の出入りのいちばん大きな場所でした。

掃き出し窓を多く並べた平屋は、窓の面積が増えるぶん、冬に逃げる熱と夏に入る熱も増えやすくなります。

もちろん、南の大きな窓は冬の日差しを部屋の奥まで入れてくれるので、昼間は暖房の代わりにもなります。

悩ましいのは、その窓が夜になると熱を逃がす側に回ることです。

窓の数を減らすのではなく、窓ごとにガラスとサッシの性能を上げ、東西の窓は小さめにするという選び方が、明るさと光熱費の両方を取りやすくなります。

西側の大きな窓は、夏の夕方にいちばん困る窓でした。

図面の段階なら、窓の位置と大きさはいくらでも動かせます。

建ててからは、ほぼ動かせない。

敷地が広がると、建築費と税の話もついてくる

面積の話を、もう少しだけ家の外へ広げます。

同じ延床なら、平屋は1階の面積が広いぶん広い敷地が要り、屋根と基礎も大きくなるので、建てるときの金額は2階建てより上がりやすくなります。光熱費で毎月少し得をしても、建築費の差がそれより大きければ、全体では逆になることもありました。

光熱費だけ見ていると、ここが抜けやすい。

光熱費の差は、建築費と敷地の差と同じ表に並べてはじめて、平屋と2階建てのどちらが自分の家計に合うかが見えてきます。

建築費の中身は、坪単価では見えない平屋の総額の決まり方に分けて書いています。

もう1つ、毎年かかるお金に固定資産税があります。

建物と土地の評価で決まるので、平屋は敷地が広くなるぶん土地の側が増えることがあります。計算の仕方だけで1本の記事になる話なので、ここではそういう差もある、というところまでにしておきます。

光熱費と税は、どちらも住んでいる限り毎年出ていくお金。

建てるときの金額より、30年分を足した金額で見ると、印象がずいぶん変わりました。

冷房と暖房の効き方

この章のポイント
  • 暖房の空気は天井へ、冷房の空気は床へたまり、階段があると上下に分かれる
  • ワンフロアの平屋は、扉を開ければ少ない台数のエアコンで広く受け持ちやすい
  • 政府広報オンラインでは、冬の暖房の電力は家庭の使用量の約3割とされる
  • 背の低い平屋は、軒の影が窓にかかりやすく、夏の日射を窓の外で止めやすい

熱の出入りする面の話から、家の中で冷暖房がどう効くかに移ります。

光熱費のうち、季節によって大きく動くのは冷暖房の電気代です。政府広報オンラインが2022年11月に出した節電の記事では、冬のエアコンを含む暖房の電力使用量は、家庭の電力使用量の約3割を占めると書かれていました。

3割は大きい。

だから、同じエアコンでも家の形によって効き方がどう変わるかを、5つの場面に分けて見ていきます。

暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へたまる

冷暖房の効き方を考えるとき、いちばん基本になるのが空気の性質です。

暖かい空気は軽くて上へ、冷たい空気は重くて下へ。

冬に暖房を入れると、温まった空気は天井の近くにたまり、床の近くには冷えた空気が残ります。夏の冷房はその逆で、冷えた空気が床に沿って広がり、天井の近くには暑い空気が残りやすくなりました。

1つの部屋の中でも、この上下の差は生まれます。

2階建てでは、この差が階段を通って家全体の上下に広がります。

2階建ては、暖房の暖かい空気が2階へ、冷房の冷たい空気が1階へ移りやすく、階によって冷暖房の効き方が分かれます。

平屋は、上へ上がった空気の行き先が屋根の下の天井しかありません。

そのため、天井の断熱がしっかりしていれば、暖めた空気は部屋の中にとどまりやすく、床近くとの温度差もシーリングファンなどでかき混ぜれば小さくできます。

冬の平屋のモデルハウスで天井のファンが回っていて、あれはこのためだったのかと後から分かりました(笑)

平屋は少ない台数のエアコンで広い範囲を受け持ちやすい

平屋の図面でよく見かけたのが、LDKを中心に、各部屋の扉を引き戸にしてつなげる形です。

扉を開けておけば、LDKのエアコンの空気が廊下や隣の部屋まで回ります。

階段がないので、冷やした空気や温めた空気が別の階へ逃げていかず、同じ高さの部屋に広がっていく。

ワンフロアの平屋は、空気が上下の階に分かれないので、扉を開けてつなげた範囲なら少ない台数のエアコンで受け持ちやすくなります。

高気密高断熱と呼ばれる、断熱と気密の性能が高い家では、1台から2台のエアコンで家全体の室温をそろえる考え方も出てきました。

ただ、これは家の性能が十分にあってはじめて成り立つ話です。

断熱が足りない平屋で扉を開け放すと、冷暖房する空間が広がるだけで、どの部屋も設定温度に届かないということが起きます。

エアコンの台数を減らせるかどうかは、平屋という形より、断熱等級と気密の数字で決まります。

「この家なら、エアコン何台で足りる想定ですか?」と聞くと、会社ごとの性能への考え方がよく分かりました。

台数が少なければ、機器の買い替えの費用も抑えられます。

2階建ての階段と吹き抜けは、温度差の通り道

2階建てにも、空気を上下に回すための工夫はあります。

ただ、今ある多くの2階建てでは、階段が上下の温度差の通り道になっています。

リビングの中に階段を置く形や、吹き抜けのある形は、家族の気配が伝わって開放感も出るので人気があります。その一方で、冬はリビングの暖かい空気が階段や吹き抜けから2階へ上がっていき、リビングの足元が冷えやすくなりました。

僕の家は廊下に階段がある形です。

それでも、冬の夜に階段の下に立つと、上から冷たい空気が降りてくるのが分かります。

リビング階段や吹き抜けのある2階建ては、冬は暖かい空気が2階へ抜け、夏は2階の暑い空気が残りやすいので、断熱の性能と空調の計画を合わせて考えます。

断熱と気密の高い家なら、吹き抜けがあっても上下の温度差は小さく抑えられ、全館空調のように家全体を1つの空間として冷暖房する方法もあります。

ここも結局、形より性能の話に戻ってきます。

吹き抜けの図面を見せられたら、冬の1階の足元の温度をどう考えているかも、あわせて聞いておくと話が早く進みます。

軒と庇は、背の低い平屋のほうが窓を守りやすい

夏の冷房の効き方に大きく関わるのが、窓に当たる日差しです。

資源エネルギー庁の省エネ住宅のページでは、夏は直射日光の熱を室内に入れないことが大事だとしたうえで、ブラインドなどは窓の外側に付けるほうが内側に付けるより3倍近くの効果があり、庇の取り付けは太陽の高い南側の窓で特に効果的だと説明されています。

窓の外で日差しを止める。

これが夏の基本。

平屋は屋根が窓のすぐ上にあるので、屋根の軒を深く出すと、その影が南の掃き出し窓にかかりやすくなります。2階建ての1階の窓は屋根の軒から遠く、2階のベランダや庇を別に付けないと、夏の日差しがそのまま窓に当たる形になりがちでした。

夏の日差しは窓の外で止めるほど効果が大きく、屋根の低い平屋は深い軒で南の窓を覆いやすいので、冷房の負担を減らしやすくなります。

夏の高い太陽は軒で止まり、冬の低い太陽は軒の下から部屋の奥まで入る。

この季節ごとの角度の違いを使えるのも、軒の出し方を自分で決められる注文の家ならではでした。

夜まで熱が残る部屋は、屋根の真下にある

最後は、寝る時間の冷房の話です。

屋根のところで書いたとおり、昼に屋根が受けた熱は、夜になっても天井の上に残ります。

2階建てなら、その熱の影響を強く受けるのは2階の寝室や子ども部屋で、1階のリビングは比較的早く涼しくなります。平屋では、寝室もリビングも同じように屋根の真下にあるので、天井の断熱が足りないと、寝る前にどの部屋も冷房を強めることになりました。

夏の夜の冷房は、つけている時間が長い。

寝室は夜に長い時間冷房を使う部屋なので、平屋でも2階建てでも、屋根の真下にある寝室ほど天井の断熱の厚さが夏の電気代に効いてきます。

平屋なら、寝室の上の小屋裏にも換気の道を確保して、屋根の熱を夜までためこまない計画にしておきます。

子ども部屋のエアコンが夜中まで止められない今の家を見ていると、ここは本当に大事だと思うんですよね^^;

寝室の窓を東側にするか西側にするかでも、夕方に入る熱が変わります。

西日の当たる寝室は、夜まで熱を持ち越しやすい。

平屋の大きな窓の前に広がるウッドデッキ

断熱等級とUA値で、家の性能を数字にする

この章のポイント
  • UA値は外皮から逃げる熱を外皮の面積で割った数字で、小さいほど熱が逃げにくい
  • 2025年4月以降に着工する住宅は、省エネ基準への適合が義務になっている
  • 国の基準は遅くとも2030年までにZEH水準へ引き上げる予定とされている
  • 外に接する面の広い平屋は、同じUA値でも逃げる熱の総量が大きくなりやすい
  • 補助金の条件は断熱の等級とつながるので、窓や天井の仕様と一緒に確かめる

ここまで、何度も形より性能と書いてきました。

その性能を、会社どうしで比べられる数字にしたものが、UA値と断熱等性能等級です。見積もりを取り始めたころの僕は、カタログの隅にあるこの数字を読み飛ばしていて、打ち合わせで担当の方に聞かれて答えられませんでした^^;

知っていれば、比べる軸が1本増えます。

この章では、数字の意味から、断熱で下がる光熱費の範囲、国の基準の動き、平屋と2階建てでの効き方の違い、窓、補助金まで、7つに分けて見ていきます。

UA値は、家から熱が逃げる量の目安

UA値は、外皮平均熱貫流率という長い名前の数字です。

資源エネルギー庁の省エネ住宅のページでは、床、壁、窓など外気と接している部分から逃げる熱の量を合計し、外皮の面積で割って求めると説明されていて、数値が小さいほど省エネの性能が優れているとされています。

小さいほど、熱が逃げにくい家。

ここで、前の章の計算を思い出してください。

UA値は外皮の面積で割った1㎡あたりの数字なので、同じUA値の家でも、外皮の面積が広い家ほど逃げる熱の合計は大きくなります。

UA値が同じなら、外に接する面が広い平屋は、家全体から逃げる熱の量もそのぶん多くなりやすいので、平屋はUA値を一段小さくする意味が大きくなります。

反対に、平屋でUA値を小さくしておけば、屋根と床の広さからくる熱の出入りを抑えられます。

見積もりを比べるときは、会社ごとにUA値を書面でもらい、同じ地域の基準に対してどの位置にあるかを並べます。

数字が書いていない見積書もあるので、そのときは聞くしかありません。

断熱で下がるのは、冷暖房の分の光熱費

UA値の話をすると、つい家の光熱費が全部下がるような気がしてきます。

でも、下がるのは冷暖房の分だけ。

家の光熱費には、エアコンのほかに、お風呂や台所でお湯をつくる給湯、照明、冷蔵庫や洗濯機といった家電の電気代が含まれていて、これらは家の断熱の性能とはほとんど関係なく、家族の人数や暮らし方で決まります。

平屋にしても、お湯の量は変わりません。

断熱の等級や平屋か2階建てかの違いで動くのは冷暖房の電気代で、給湯や照明、家電の分は家族の人数と暮らし方のほうで決まります。

だから、光熱費の明細を見て平屋と2階建ての差を想像するときは、冷暖房を多く使う夏と冬の月と、ほとんど使わない春や秋の月を分けて見ると、形と性能で動く分がどれくらいかをつかみやすくなります。

僕の家の明細でも、エアコンをあまり使わない5月と8月とでは、同じ家とは思えないくらい金額が違っていました。

その差の部分が、断熱で小さくできるところです。

給湯の分は、給湯器の種類を選ぶときに別に考えます。

2025年4月からは省エネ基準への適合が義務に

国の決まりも、ここ数年で大きく変わりました。

国土交通省の省エネ住宅の特設ページでは、2025年4月以降に着工する住宅などに省エネ基準への適合が義務付けられていると案内されています。

これから建てる新築の家は、平屋でも2階建てでも、この基準を満たさないと建てられません。

断熱等性能等級でいえば、等級4にあたる水準です。

同じページでは、建物の省エネ基準は遅くとも2030年までに大きく引き上げられ、ZEH水準の省エネ性能にする予定だとも書かれていました。

2025年4月からは等級4にあたる省エネ基準が新築住宅の義務になり、遅くとも2030年までにはZEH水準へ引き上げる予定が国から示されています。

ということは、今の義務の水準ぎりぎりで建てた家は、数年後には基準より下の家になります。

30年、40年と住む家なので、この先の基準を見て決めたい。

売ったり貸したりする日が来たときにも、性能の数字は家についてまわります。

等級5はZEH水準、その上に等級6と7がある

断熱等性能等級は、住宅性能表示制度の中で、家の断熱の性能を段階で示すものです。

国土交通省の資料では、ZEH水準にあたる等級として断熱等性能等級5が設けられ、さらにその上に、ZEH水準を上回る等級6と等級7が戸建住宅向けに設けられています。

等級4が今の義務。

等級5がZEH水準。

等級6と7は、それより上です。

基準のUA値は、全国を8つに分けた地域区分ごとに決まっていて、同じ等級でも冬の冷え込みが厳しい地域ほど小さな数字が求められます。

断熱等性能等級は地域区分ごとにUA値の基準が決まっているので、自分の建てる地域の区分で、等級5、6、7のどこまでを目指すかを先に決めておきます。

数字そのものは地域で変わるので、ここでは書きません。

自分の地域の基準値は担当の方に聞くのがいちばん早く、会社によっては、標準仕様がどの等級にあたるかを最初から資料に書いていました。

「標準の仕様で、断熱等性能等級はいくつになりますか?」と一言聞くだけで、話がそろいます。

平屋は天井と床の断熱に、2階建ては外壁に予算が向く

断熱の性能を上げるには、お金がかかります。

同じ等級を目指すにしても、どこに断熱材を厚く入れるかは、家の形で変わってきました。

平屋は屋根と床の面積が大きいので、天井や屋根の断熱材と、床下や基礎の断熱材にかかる金額の割合が大きくなります。2階建ては外壁の面積が大きいので、壁の中に入れる断熱材にかかる割合が大きくなりやすい。

同じ等級でも、お金の行き先が違うということです。

平屋で断熱の等級を上げるときは、天井と床の断熱の仕様を、見積書の中でほかの項目より先に確かめます。

削るなら、キッチンや浴室のグレードのように、あとから入れ替えられるものから。

天井や床の断熱材は、完成したあとに足そうとすると、天井をはがしたり床下にもぐったりする工事になるので、建てるときにしか厚くできないと考えておいたほうが確実でした。

僕も予算の表をつくったとき、ここは最後まで削らない欄にしました。

平屋の天井は、家じゅうの天井。

ここを薄くすると、夏の電気代にずっと響いてきます^^;

窓はサッシとガラスの組み合わせで選ぶ

断熱の話で、最後にもう一度窓に戻ります。

熱の出入りの約6割から約7割が窓などの開口部だったので、UA値を下げたいとき、いちばん効くのも窓です。

資源エネルギー庁の省エネ住宅のページでは、サッシを木やプラスチックを使った断熱サッシにしたうえでペアガラスを入れるのが理想で、ガラスをペアガラスにするだけでも大きな効果があると説明されていました。

サッシとガラス。

この2つの組み合わせで、窓1枚の性能が決まります。

サッシにはアルミ、アルミと樹脂を組み合わせたもの、樹脂や木のものがあり、ガラスは2枚のものと3枚のものがあって、会社によって標準で付いてくる組み合わせがかなり違いました。

窓の多い平屋ほど、サッシとガラスの組み合わせを1段上げたときの効き方が大きいので、窓の数を減らす前に窓の性能を上げた見積もりを取ります。

見積書では、窓ごとにサッシの材質とガラスの枚数が書かれているかを確かめます。

窓一式とだけ書かれていると、どの性能の窓なのかが分からないんですよね。

南の大きな窓と北の小さな窓で性能を変える、という組み合わせ方もありました。

補助金の条件は、断熱の仕様とセットで決まる

断熱の等級を上げると、建てるときの金額は上がります。

その差を少し埋めてくれるのが、省エネ性能の高い住宅に向けた補助金です。

国の補助金は、ZEH水準などの省エネ性能を満たすことが条件になっていることが多く、どの等級で建てるかによって、対象になるかどうかがそもそも分かれます。年度ごとに制度の名前も金額も変わるので、建てる年の条件で確かめることになりました。

2026年に建てる平屋で使える国の制度と、自治体が上乗せする分は、みらいエコ住宅2026事業と自治体の上乗せ額をまとめた平屋の補助金の記事に書いています。

補助金は断熱の等級とつながっているので、仕様を決めてから探すのではなく、補助金の条件を見ながら断熱の等級を決めます。

仕様を1段上げた金額と、受けられる補助金の額。

この2つを並べると、差し引きでどれくらいの負担で等級を上げられるかが見えてきます。

そのうえで毎月の光熱費がどれだけ下がるかを足していくと、比べる表がだいぶ埋まりました。

同じ地域と延床でも、会社によって標準で付く断熱や窓の仕様は違うので、複数社の平屋の提案を並べて比べられます。

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太陽光パネルを載せる屋根の広さ

この章のポイント
  • 屋根の広い平屋は、同じ延床の2階建てよりパネルを並べる面を取りやすい
  • 住宅用の2026年度の買取価格は、最初の4年が24円、5年目から10年目が8.3円
  • 背の低い平屋の屋根は、南側に建つ家やマンションの影に入りやすい
  • 片流れの屋根は南に向けた1枚の面が広く、切妻は南北の2面に分かれる

光熱費の話の最後に、使う電気を家でつくる話をします。

平屋の屋根が広いことは、ここまで熱の出入りする面として見てきました。けれど屋根が広いということは、太陽光パネルを並べられる面が広いということでもあり、弱いところとして見ていた面が、ここでは強みに変わります。

見方がくるっと反転。

この章では、屋根の広さ、買取価格、影、屋根の形の4つから、平屋と2階建ての太陽光の載せやすさを見ていきます。

平屋の屋根は、パネルを並べる面が広くとれる

延床30坪を真四角で考えた計算では、平屋の屋根は約100㎡、総2階の2階建ての屋根は約50㎡でした。

屋根の面積は、そのまま倍。

実際にパネルを載せられるのは、屋根の端から少し離した内側で、南や東西に向いた面に限られるので、屋根の面積がまるごと使えるわけではありません。それでも、同じ延床なら平屋のほうが、パネルを並べる余地は大きくなりやすいです。

同じ延床なら平屋の屋根は2階建てのおよそ2倍の面積になるので、太陽光パネルを載せる枚数を増やしやすくなります。

載せる枚数が増えれば、昼間に家で使う電気を自分の屋根でまかなえる割合も上がります。

エアコンを多く使う夏の昼は、ちょうど発電の多い時間帯でもあります。

平屋は夏に屋根の熱を受けやすい一方で、同じ屋根で冷房の電気をつくれるので、天井の断熱と太陽光をセットで考えると筋が通ります。

ただし、パネルの枚数を増やせば、そのぶん設置の費用も増えます。

何枚載せるかは、次の買取価格の話と一緒に決めていきます。

2026年度の住宅用の買取価格は、最初の4年が24円

太陽光でつくった電気のうち、家で使いきれなかった分は電力会社に売ることができます。

資源エネルギー庁の買取価格の表では、10kW未満の住宅用太陽光の2026年度の価格は、最初の4年間が1kWhあたり24円、5年目から10年目が8.3円です。

同じ価格は2025年度の下半期、つまり2025年10月からの分にも使われていて、屋根に載せる太陽光の初期の費用を早く回収できるようにした、初期投資支援スキームという価格の決め方だと説明されています。

最初の4年が高く、そのあと下がる形です。

2026年度の住宅用太陽光は、売った電気の価格が最初の4年間は24円、5年目から10年目は8.3円なので、5年目以降は売る価格が下がるぶん、昼間に家で使う電気を増やす使い方が合ってきます。

昼間に洗濯乾燥機や食洗機を回す、エアコンの冷房を昼のうちに効かせておく、といった使い方です。

蓄電池を足す家もありますが、金額が大きいので、見積もりで別の行に並べたほうが判断しやすくなります。

価格は年度ごとに見直されます。

建てる年の数字は、その年の表で確かめてください。

背の低い屋根は、隣の建物の影に入りやすい

平屋の屋根には、もう1つ見ておきたい点があります。

高さです。

平屋の屋根は2階建てより低い位置にあるので、南側に2階建ての家やマンションが建っていると、冬の低い太陽の時間帯に、その影が屋根にかかりやすくなります。影がかかったパネルは発電が落ちるので、屋根が広くても、そのぶん発電できるとは限りませんでした。

住宅地の平屋では、ここがいちばん効いてきます。

平屋に太陽光を載せるなら、南側に建っている建物の高さと距離を、冬の影の長さで確かめてから枚数を決めます。

影は、夏よりも冬に長く伸びます。

土地を見に行くのが夏だと、この影に気づきにくいんですよね^^;

住宅会社に頼むと、周りの建物を入れた日影の図や、年間の発電量の試算を出してくれることがあります。

発電量の試算は、周りの建物の影を入れたものかどうかを確かめてから、平屋と2階建ての数字を並べます。

南側がまだ空き地なら、将来そこに建つ建物の高さも頭に入れておきたいところです。

片流れか切妻かで、南に向く面が変わる

屋根の形も、太陽光の載せやすさを左右します。

片流れは、屋根が1枚の面で一方向に傾いた形。

切妻は真ん中の棟から2方向に傾いた本を伏せたような形で、寄棟は4方向に傾いた形です。

片流れの屋根を南に向けて傾ければ、屋根の面をまるごと南向きにできるので、パネルを並べる面が1枚で広くとれます。切妻を南北に傾けると南側の面だけ、寄棟は南の面が台形になって、並べられる枚数がそのぶん減りました。

太陽光を多く載せたい平屋は、南に向けた片流れの屋根にすると、1枚の面にパネルをまとめて並べやすくなります。

ただ、片流れは屋根の高い側の外壁が大きくなり、雨の当たり方も変わるので、見た目と雨仕舞いの両方で担当の方と相談して決めます。

雨仕舞いというのは、雨水を建物の中に入れないための納め方のことです。

屋根の形は外観の好みでほぼ決まってしまうことが多いのですが、光熱費の目で見ると、選び方が少し変わってきます。

見積もりの段階で、年間の電気代を試算してもらう

この章のポイント
  • 見積もりの段階でUA値と一次エネルギー消費量の計算結果を各社に書面でもらう
  • 延床、地域、家族の人数、エアコンの台数をそろえてから試算を頼んでいく
  • 平屋と2階建ての2通りのプランで、冷暖房と発電の試算を横に並べてみる
  • 毎月の光熱費の差を30年分に直し、建築費の差額と同じ欄に書き込んでおく

ここまでの話を、実際の見積もりにつなげます。

光熱費は住み始めてから分かるもの、と僕は長いあいだ思っていました。ところが、断熱の計算をしている会社なら、建てる前の図面の段階で、その家がどれくらいのエネルギーを使うかの計算結果を出してくれます。

建てる前に分かるなら、比べない手はありません。

この章では、何を聞き、どうそろえて、どう並べるかを、4つに分けて書きます。

各社にUA値と一次エネルギー消費量を聞く

見積もりを頼むときに聞いておきたい数字は、2つです。

1つめは、ここまで何度も出てきたUA値。

2つめは一次エネルギー消費量で、冷暖房だけでなく、給湯、換気、照明まで含めて、その家が1年間にどれくらいのエネルギーを使うかを計算したものです。太陽光で発電する分を差し引いた数字も出せます。

UA値は家の箱の性能、一次エネルギー消費量は設備まで入れた家全体の性能、と分けて覚えておくと混ざりません。

見積もりの段階では、各社にUA値と一次エネルギー消費量の計算結果を書面で出してもらい、同じ表に並べます。

2025年4月から省エネ基準への適合が義務になったので、どの会社も基準を満たしているかを確かめたうえで建てています。

数字を出してもらうのに、特別な頼み方はいりません。

「この図面で、UA値と一次エネルギー消費量はいくつになりますか?」と聞けば通じます。

すぐに数字が返ってくる会社もあれば、図面が固まってから計算する会社もありました。

条件をそろえないと、数字は比べられない

数字をもらっても、条件がばらばらだと比べられません。

A社は延床30坪、B社は32坪。

A社は窓が12か所、B社は16か所。

こうなると、UA値や光熱費の試算に差が出ても、それが会社の性能の差なのか、家の大きさや窓の数の差なのかが分からなくなります。僕も最初に届いた2社の数字を並べたとき、条件が違いすぎて、表にしても何も言えませんでした^^;

光熱費の試算を比べるときは、延床、建てる地域、4人家族か夫婦二人かといった家族の人数、使うエアコンの台数、太陽光を載せるかどうかをそろえて各社に頼みます。

条件を紙1枚に書いて同じものを各社に渡すと、返ってくる数字をそのまま横に並べられるようになります。

地域は、住所まで伝えておくと地域区分の違いが出ません。

光熱費の試算は、電気の単価をいくらと置いて計算したかでも変わります。

単価の前提も、あわせて書いてもらいます。

冒頭に書いた料金支援のように、単価は時期で動くからです。

形の違いは、同じ等級のプランを並べてはじめて数字になる

平屋にするか2階建てにするか、光熱費の面からまだ決めきれていないなら、プランも両方もらうのが早いです。

同じ延床、同じ地域、同じ断熱の等級で、平屋のプランと2階建てのプランを出してもらい、それぞれの年間の冷暖房のエネルギーと、屋根に載せられる太陽光の発電量を並べます。平屋の屋根の広さと、2階建ての外壁の広さが、自分の敷地でどちらに傾くかがここで見えてきました。

形の差は、この比べ方でしか数字になりません。

平屋と2階建ての2通りのプランを同じ断熱の等級で頼み、年間の冷暖房の試算と太陽光の発電量を横に並べると、自分の敷地での光熱費の差が数字で見えてきます。

平屋を多く建てている会社と、2階建てが中心の会社では、同じ条件でも窓の置き方や屋根の形の提案がかなり違います。

1社だけに頼むと、その会社の得意な形に寄りがち。

階段や動線といった暮らしやすさまで入れて形を決めたい方は、光熱費の表の横に、そちらの比べ方も書き足しておくと家族で話しやすくなります。

光熱費だけで決める家は、たぶんありません(笑)

光熱費の差額は、建築費の差額と一緒に見る

最後は、お金の並べ方です。

光熱費の試算で平屋のほうが月に数千円安くなったとしても、建てるときに平屋のほうが数百万円高くなるなら、その差を光熱費で埋めるには長い年数がかかります。

反対に、断熱の等級を上げた分の金額が、光熱費の差と補助金で思ったより早く埋まることもありました。

だから、毎月の差を年数で掛け算します。

光熱費の差は月額ではなく30年分に直して、建築費の差額と同じ表に並べると、平屋と2階建てのどちらが家計に合うかを判断できます。

月3,000円の差なら、1年で36,000円、30年で108万円。

エネルギー価格が上がって電気の単価が上昇すれば、この差はもっと開きます。

太陽光の売電の価格が5年目から下がることや、エアコンなどの設備の買い替えも、同じ30年の表に書き足しておきます。

表の欄が埋まれば、形を選んだ理由を家族にも説明しやすくなります。

数字で並べると、平屋にしたい気持ちが強い僕でも、少し冷静になれました^^;

まとめ:光熱費の差は、形より断熱と窓で決まる

平屋と2階建ての光熱費は、形だけでは決まりませんでした。平屋は上下の温度差が出にくい代わりに屋根と床が広く、同じ延床を真四角で比べると外に接する面が約1.2倍になります。2階建ては外壁が広く、階段を通って冬は2階へ、夏は1階へ空気が偏ります。どちらの弱いところも窓と天井と床の断熱を上げれば小さくでき、冬は約6割、夏は約7割の熱が窓などの開口部から出入りしていることを考えると、形より先に性能の数字をそろえるのが近道でした。

今の家の2階の子ども部屋は、この夏も夜中までエアコンが動いていました。平屋の図面を見るたびに天井の断熱の欄を探してしまうのは、あの部屋の天井を見上げながら、屋根の熱がここから降りてきているんだなと思うようになったからです。広い屋根は熱を受ける面でもあり、電気をつくる面にもなります。どちらの面として使うかは、建てる前の図面で決められます。

まずは平屋と2階建ての2通りで、UA値と年間の光熱費の試算を並べてみてください。一社だけで決めなくて大丈夫です。

この記事のまとめ
  • 平屋の光熱費は形より断熱と窓の性能で大きく変わる
  • 窓などの開口部から冬は約6割の熱が逃げ、夏は約7割が入る
  • 同じ延床なら平屋は屋根と床が広く、2階建ては外壁が広い
  • 30坪を真四角で比べると外に接する面は平屋が約1.2倍
  • 平屋は全部の部屋が屋根の下にあり天井の断熱が効いてくる
  • 屋根の低い平屋は深い軒で南の窓の日差しを止めやすい
  • 2025年4月から新築は省エネ基準への適合が義務になった
  • 住宅用太陽光の2026年度の買取価格は最初の4年が24円
  • 見積もりではUA値と光熱費の試算を2通りのプランで並べる

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