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平屋と2階建て、老後はどっち|階段がつらくなる前に終の住処を決めるとき

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ノブです。

来週の月曜、9月21日は敬老の日ですね。

内閣府の令和7年版高齢社会白書では、2024年10月1日時点で65歳以上の人は3,624万人、総人口に占める割合は29.3%でした。

75歳以上だけで2,078万人、16.8%です。

6人に1人の計算。

この数字を家づくりの側から見ると、50代で建てた家は、住んでいるうちに自分たちがこの16.8%の側に入っていく家だということなんですよね。建てるときに思い描く暮らしと、20年後の暮らしは同じではありません。

今の僕の家は、築20年を過ぎた2階建てです。

寝室は2階。

去年の冬、熱を出した夜中にトイレへ行こうとして階段を下りたとき、手すりをつかむ手にずいぶん力が入っていました。40代でこれなら、70代になったらどうなるのか、そのとき初めて具体的に考えたんです^^;

平屋と2階建てのどっちにするかで迷っている方も、費用の比較より先に、こういう場面が頭に浮かんでいるのではと思います。

ただ、2年かけて調べてみると、平屋にすれば全部片づくというほど話は単純ではありませんでした。

この記事では、家の中で転びやすい場所、寝室から水回りまでの動線、介護が始まったときの改修、同じ延床での建築費の差、そして住み替えとの比べ方まで、老後の暮らしの順番で平屋と2階建てを並べていきます。

この記事のポイント
  • 老後に分かれるのは、階段を毎日の暮らしで使う回数
  • 65歳以上の住宅内の事故は居室45.0%、階段18.7%だった
  • 寝室とトイレと洗濯の場所を1つの床にそろえておく
  • 介護保険の住宅改修は上限20万円で、間取りの工事は対象外
  • 同じ延床なら平屋は基礎と屋根と敷地のぶん金額が上がりやすい

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平屋と2階建て、老後に差が出るのは階段の上り下り

この章のポイント
  • 寝室と物干しが2階にある家は、1日に何度も十数段を往復する
  • ワンフロアの平屋は70代を過ぎても使える部屋の数が減りにくい
  • 子どもが巣立った2階には、窓の開け閉めと掃除の手間だけが残る
  • 夫婦2人なら子育ての頃より延床を小さくして配置に面積を回せる

平屋と2階建てを老後の目で比べると、分かれ目は意外なほど1か所に集まります。

階段です。

実家の母が2階に上がらなくなったのは、膝を痛めた70代の半ばでした。寝室も物干し場も2階にあった家なので、その月のうちに布団は1階の和室へ移り、洗濯物は縁側に置いた物干し台に並ぶようになりました。

2階は、そのまま閉めきりの部屋になりました。

だからこの章では、階段を毎日使う暮らしと使わない暮らしで、家の中の何が変わっていくのかを4つに分けて見ていきます。

2階に寝室がある家は、1日に何度階段を使うのか

2階建ての家で、寝室を2階に置いている方は多いと思います。

数えてみると、階段を使う回数は思っていたより多くなります。

朝起きて下りる。着替えを取りに上がる。洗濯物を干しに上がって、取り込みにまた上がる。夜は寝るために上がって、夜中にトイレへ行くならもう1往復。

僕の家で1日つけてみたら、平日で8往復でした。

1往復で十数段を2回。

40代のうちは何とも思わない回数ですが、膝や腰に痛みが出てくると、この往復の1回ずつが「今日はもう上がらなくていいかな」という気持ちに変わっていきます。

階段を上がる回数が減ると、2階にある寝室や物干し場そのものが使われなくなり、暮らしが1階に押し込まれていきます。

実家で起きたのが、まさにこれでした。

平屋を考え始める人の多くは、この押し込まれ方を身近で一度見ているんですよね。

だから、寝室と物干しをどの階に置くかは、階段の段数より先に確かめておきたいところです。

ワンフロアの平屋は、使える部屋が年を取っても減りにくい

平屋は、すべての部屋が同じ床の上にあります。

当たり前のことですが、老後の暮らしで効いてくるのはこの当たり前の部分でした。

膝が痛くなっても、寝室にもトイレにも浴室にも、階段を使わずにたどり着けます。物干し場を庭に面した掃き出し窓の外に置けば、洗濯物を持って階段を上がる場面そのものがなくなります。

平屋のいちばんの強みは、体が動きにくくなっても、建てたときと同じ部屋を同じように使い続けられることです。

2階建てだと、使える部屋が年齢とともに1階の分だけに減っていきます。

平屋は減らない。

この差は、延床の数字には出てきません。

30坪の2階建てで1階が15坪なら、足腰が弱ってから実際に使えるのは15坪ぶんで、30坪の平屋なら30坪ぶんがそのまま残ります。同じ延床でも、老後に使える広さで比べると倍の開きになる、という見方もできました。

ただし、平屋でも玄関や浴室には段差が残りやすく、ここは次の章で詳しく書きます。

子どもが巣立ったあとの2階は、手間だけが残っていく

子育て中は、2階の子ども部屋がいちばん使われている場所です。

その子どもたちが家を出ると、2階には空いた部屋が2つ残ります。

使っていなくても、窓を開けて風を通さないと部屋の空気がこもりますし、ほこりは積もるので掃除もいります。雨戸があれば開け閉めもしますし、台風の前には2階の窓の戸締まりを確かめに上がることになります。

誰も寝ていない部屋のために、階段を上がる。

実家では、母が上がれなくなってから、帰省した僕が2階の窓を開けに行くのが恒例になりました^^;

使わない部屋が上の階に残ると、面積のぶんだけ手入れの手間が続き、その手間に階段が付いてきます。

平屋でも空き部屋はできますが、同じ床の上にあるので、ついでに窓を開けるくらいで済みます。

物置として使う場合も、重い物を抱えて階段を上がらなくていいのは大きいです。季節ものの家電や布団の出し入れは、年に何度もありますから。

夫婦2人の広さは、子育ての頃の延床より小さくていい

老後の住まいとして平屋を考えるなら、延床の決め方も変わります。

子育て世帯の家は、子ども部屋の数で広さが決まります。

夫婦2人の暮らしなら、要るのはLDKと寝室、それに来客や趣味に使える部屋が1つあれば足りるという方が多く、今の2階建てと同じ延床をそのまま平屋にする必要はありません。

25坪前後の2LDKで考えている、という話もよく聞きました。

面積を小さくした分は、配置に回せます。

老後の平屋は、部屋を広くするより、寝室とトイレと浴室を近くに寄せることに面積を使うほうが暮らしやすくなります。

廊下を短くして、寝室の隣にトイレを置く。

その分、延床は同じでも毎日歩く距離が短くなります。

広さを削る話に聞こえますが、実際には掃除する床も冷暖房する空間も小さくなるので、手間とお金の両方が軽くなる方向の話でした^^

どこを寄せるかは、3つめの章でもう少し具体的に書きます。

建築費の差は、同じ延床で比べた5つめの章で見ていきます。

家の中で転ぶ場所は、居室と段差

この章のポイント
  • 65歳以上の住宅内事故は居室が45.0%で、階段は18.7%だった
  • 消費者庁の注意喚起では自宅での転倒の8割以上が通院や入院に
  • 平屋にしても玄関の上がり框と浴室の出入口には段差が残りやすい
  • 手すりの下地と足元灯は、壁をつくる工事と一緒なら手間が少ない
  • 2階建ての階段は勾配と両側の手すりと踊り場で上り下りが変わる

老後の家で気になるのは、やはり家の中で転ぶことです。

階段がないから平屋なら安心、と僕も最初は思っていました。ところが公的な資料を読んでいくと、高齢の方が家の中でけがをしている場所は、階段よりも普段くつろいでいる部屋のほうがずっと多かったんです。

ここは、平屋を選ぶ理由を少し冷静にしてくれる数字でした。

数字を見たうえで、平屋にしても残る段差と、2階建てを選ぶときに階段で差をつける方法まで、5つに分けて見ていきます。

65歳以上の住宅内の事故は、居室が45.0%

内閣府の平成29年版高齢社会白書の高齢者の生活環境の節に、国民生活センターが医療機関から集めた住宅内の事故情報が載っています。

65歳以上の人が住宅内で事故にあった場所は、居室が45.0%で最も多く、階段が18.7%、台所・食堂が17.0%でした。

居室が半分近く。

同じ資料では、65歳以上の人は20歳以上65歳未満の人より、事故が住宅内で起きる割合が高いことも示されています。年を取るほど家にいる時間が長くなるので、けがをする場所も家の中に寄っていく、ということなんですよね。

階段が18.7%ということは、階段をなくしても、住宅内の事故の8割を超える部分は階段以外の場所で起きているということです。

居室で何につまずくのかといえば、敷居のわずかな段差、カーペットの端、床に置いたコード、それに暗い中での足元の見えにくさなど、図面には描かれないものが多くなります。

平屋にしても、ここは変わりません。

だから、平屋か2階建てかを決めたあとで、居室の床と明かりをどう整えるかを同じ重さで考えておきたいんです。

数字を見て、平屋にすれば済むという気持ちは少し落ち着きました(笑)

そのぶん、どこに手をかければいいかははっきりしました。

階段は18.7%、平屋でも消えない段差がある

階段の18.7%は、平屋にすればほぼなくせる部分です。

5件に1件ほど。

この差は小さくありません。

ただ、平屋を建てても段差がゼロになるわけではなく、図面を並べてみると、段差が残りやすい場所は3つありました。

玄関の上がり框、浴室の出入口、そして掃き出し窓からウッドデッキや庭へ出る部分です。

玄関の上がり框は、床下の高さを取るためにある程度の高さが出ます。浴室は、水が脱衣所へ流れ出ないように出入口に小さな立ち上がりを付けている仕様があり、掃き出し窓はサッシの下枠をまたぐ形になります。

平屋でも、玄関と浴室と掃き出し窓の3か所は、段差の高さを図面か仕様書で確かめておきます。

玄関は、式台と呼ばれる踏み台を1段はさんで高さを分けると、上り下りが楽になります。

浴室は、出入口の段差をなくした仕様を標準にしている会社が多く、見積もりの段階で聞けばすぐに分かりました。

掃き出し窓は、デッキの高さを室内の床にそろえると、またぐだけで外に出られます。

「この家で段差が残るのは、どこと、どこですか?」と一度聞いておくと、担当の方が図面に丸を付けてくれることもありました^^

家の中で転んだあとは、通院や入院になることが多い

転ぶ場所の次に知っておきたいのが、転んだあとのことです。

消費者庁が2020年10月に出した転倒予防の日の注意喚起では、自宅で起きた高齢者の転倒事故の情報が5年間で275件集まっていて、その8割以上が通院や入院が必要なけがでした。

骨折した場合は、76%が入院になっています。

件数で見ると、75歳以上の後期高齢者は、65歳から74歳の前期高齢者の2.2倍でした。

同じ注意喚起には、転んだ場所の例として、浴室や脱衣所、庭や駐車場、ベッドや布団のまわり、玄関や勝手口、階段が並んでいます。

見慣れた場所ばかり。

自宅で転んだけがの8割以上が通院や入院になるので、老後の家は転ばない形と、転んでもすぐ助けを呼べる形の両方で考えておきます。

助けを呼べる形というのは、たとえば寝室とLDKの距離が近く、家族の声が届くことです。

2階の寝室で転んだとき、1階にいる家族は物音に気づきにくいんですよね。

平屋はワンフロアなので、ここは間取りの段階で有利に働きます。

夫婦のどちらかが1人で過ごす時間が長くなることも、先に想定しておきたいところでした。

手すりの下地と足元灯は、建てるときに入れておく

転ばない形の話に戻ります。

老後に要る手すりは、トイレ、浴室、玄関、廊下あたりが中心で、今すぐ付けなくても、壁の中に下地を入れておけば、必要になった日にねじで留めるだけで取り付けられます。

下地がないと、壁の中を補強する工事から始まります。

建てるときに入れる下地は、壁をつくるのと同じ手間の中に収まるので、図面に「手すり下地」と書き込んでもらうだけで話が済みました。

手すりは付けずに下地だけ入れておくと、今の暮らしでは壁のまま使え、老後に必要な場所だけ手すりを足せます。

足元灯も同じ考え方です。

寝室からトイレまでの廊下の壁、腰より低い位置にコンセントと一体になった小さな明かりを付けておくと、夜中に天井の照明をつけなくても足元が見えます。人が近づくと点く人感センサー付きなら、スイッチを探す手間もいりません。

配線は、壁を閉じる前に通すのがいちばん簡単です。

あとから付けるなら、コンセントに差し込むタイプでも十分使えますけど^^;

居室の45.0%を思い出すと、寝室の中にも足元灯を1つ置いておきたくなります。

2階建てを選ぶなら、階段の勾配と手すりで差をつける

敷地の広さや予算の都合で、2階建てを選ぶ方も当然います。

その場合は、階段のつくり方で老後の上り下りの楽さが変わります。

見ておきたいのは、1段の高さと、足をのせる奥行きです。

1段が低く、奥行きが深いほど勾配はゆるやかになり、そのぶん階段が占める面積は増えますが、上り下りで膝にかかる負担は軽くなります。

手すりは片側だけでなく、両側に付けられる幅があるかどうかも見ます。

曲がり階段なら、途中に踊り場を入れて、向きを変える場所を平らにしておく形があります。途中の段を扇形にして回る形は、段の内側の奥行きが狭くなるので、足を踏み外しやすい部分になります。

2階建てを選ぶなら、階段は勾配をゆるくし、両側に手すりを付けられる幅と、平らな踊り場を図面に入れてもらいます。

階段の上と下の両方に照明のスイッチを付けておくのも、忘れやすい点でした。

1階にもトイレと洗面を置いておくと、あとで1階だけの暮らしに切り替えたときに、そのまま使えます。

こうした階段の工夫は、2階建てを老後まで使うための備えです。

ただ、どれだけ工夫しても、上り下りそのものはなくなりません。

寝室からトイレまで、夜中に何歩あるか?

この章のポイント
  • 寝室の隣にトイレを置くと、夜中の往復は廊下を数歩歩くだけで済む
  • 洗濯機から物干し、たたんでしまう場所までを1つの床でつなげる
  • 1階に寝室と水回りを集めた2階建てなら、2階を使わずに暮らせる

転ばない床と明かりが整ったら、次は歩く道のりそのものを短くします。

年を重ねると、夜中にトイレへ起きる回数は増えていきます。僕の父も晩年は一晩に何度も起きていて、そのたびに寝室の引き戸を開ける音が、隣の部屋まで聞こえていました。

その往復が、1回あたり何歩で済むか?

この章では、寝室とトイレ、洗濯、台所までの道のりを、平屋と2階建てそれぞれで数えていきます。

寝室の隣にトイレを置くと、夜中の移動が数歩で済む

老後の平屋の図面で、いちばん多く見かけた工夫がこれでした。

寝室のドアを出て、すぐ隣がトイレ。

子育て世帯向けの図面だと、トイレはLDKや玄関の近くに置かれることが多く、寝室からは廊下をぐるっと回って10mほど歩く形もありました。夫婦2人の家なら、寝室の近くに寄せても困る場面はほとんどありません。

寝室とトイレを隣り合わせにすると、夜中の往復が数歩になり、暗い廊下を歩く距離そのものが消えます。

一歩進めて、寝室から直接トイレに入れる扉を付けた図面もありました。

来客用には別の扉をLDK側に付けて、2方向から入れる形です。

2階建てで同じことをするなら、2階の寝室の隣にトイレを置くことになり、これは多くの間取りですでにそうなっています。

違うのは、そのあとです。

朝になって1階へ下りる往復は、2階建てでは残ります。

夜中の数歩と、朝晩の階段。この2つを分けて考えると、2階建ての寝室を2階に置くか1階に置くかの判断がしやすくなりました。

洗濯は、洗う・干す・しまうを1つの床でつなげる

洗濯は、老後の家事の中でも重い物を持って歩く時間が長い仕事です。

濡れた洗濯物は、思ったより重い。

2階建てで2階のベランダに干す家だと、1階の洗面所の洗濯機から、かごを抱えて階段を上ることになります。実家の母が物干しを縁側に移したのも、このかごを抱えた上り下りがつらくなったからでした。

平屋なら、洗面所の洗濯機から庭側の物干しまで、同じ床の上をまっすぐ歩けます。

洗濯機、物干し場、たたむ場所、しまう場所の4つを同じ床で近くに並べると、洗濯でかごを持って歩く距離がいちばん短くなります。

最近の図面では、洗面所の隣に室内干しのできる小部屋を置き、その先に夫婦の衣類をまとめてしまう収納をつなげる形をよく見かけました。

雨の日も、外に出ずに済みます。

2階建てでも、洗濯機と物干しと収納を1階にまとめれば、同じ動きはつくれます。

その場合は、1階に物干しの場所を取れるだけの広さがあるかを、図面で確かめておきたいところです。

洗濯の動線は毎日のことなので、ここが短いと本当に楽なんですよね^^

玄関から台所まで、買い物袋を持って歩く道を見る

もう1つ、重い物を持って歩くのが買い物から帰ったときです。

車を停めて、玄関を開けて、台所まで。

お米や飲み物のまとめ買いをした日は、両手がふさがったまま、玄関の上がり框を越え、廊下を歩き、LDKのドアを開けることになります。この道のりが長いと、途中で一度袋を床に置く場面が増えました。

平屋なら、駐車場に近い側に勝手口を付けて、そこから台所へ直接入る形がつくれます。

駐車場から勝手口、勝手口からパントリー、パントリーから台所と一直線につながる図面は、買い物の荷物を運ぶ距離が短くなります。

2階建てでも台所は1階にあることがほとんどなので、この動線は平屋と大きく変わりません。

差が出るのは、ストックを2階の納戸にしまう家です。

トイレットペーパーの箱を抱えて階段を上がる。

地味ですけど、年に何十回もある動きなんです(笑)

勝手口の外にひさしを付けておくと、雨の日に荷物を下ろすときも濡れにくくなります。

2階建てでも、1階だけで暮らしが完結する間取りはつくれる

ここまで読んで、2階建てでも同じことができるのではと思った方もいると思います。

できます。

1階にLDKと夫婦の寝室、トイレ、洗面、浴室、物干しをまとめて、2階は子ども部屋や趣味の部屋、納戸にする形です。1階だけで毎日の暮らしが完結するので、老後は2階を使わなくても困りません。

ただし、1階に置くものが増えるぶん、1階の面積は広く要ります。

1階だけで暮らせる2階建ては、1階の床面積が平屋に近づくので、敷地の広さの差も建築費の差も、ふつうの2階建てほどは開きません。

1階が25坪、2階が10坪の家なら、延床は35坪で、基礎と屋根は25坪ぶん。

こうなると、同じ暮らしを平屋25坪でつくる場合と、何が違うのかを見比べたくなります。

2階の10坪ぶんを、子どもや孫が泊まりに来たときの部屋として持っておきたいかどうか?

ここが分かれ目になりました。

泊まりに来る回数が年に数回なら、平屋に客間を1つ足すほうが、階段に取られる面積もいりません。

住宅街の中の、整地されたばかりの空き地

介護が始まったら、どこに手を入れるのか?

この章のポイント
  • 介護保険の住宅改修は、要介護度にかかわらず上限20万円まで
  • 手すりや段差の解消、引き戸への取替えといった小さな工事が対象
  • 引き戸は壁の中に戸を引き込む幅がないと、あとから付けにくい
  • 車いすで回れるトイレと廊下の広さは、建てたあとでは広げにくい
  • 2階建ての階段は昇降機を付けるか、寝室を1階へ移すかで分かれる

動線をどれだけ短くしても、夫婦のどちらかに介護が必要になる日のことは、建てる前に一度考えておきたいところです。

実家の母が要介護の認定を受けたとき、ケアマネジャーさんと家の中を一緒に歩いて、手すりをどこに付けるかを決めました。トイレの前、浴室の入口、玄関の上がり框の横。付けたい場所の半分は、壁の中に柱がなくて、補強から始めることになったんです。

付けたい場所に、付けられない。

この章では、介護保険で直せる範囲と、建てたあとでは直しにくい部分を分けて、図面の段階で決めておくことを6つに絞ります。

介護保険の住宅改修は、上限20万円の小さな工事

介護保険には、住宅改修費の支給という仕組みがあります。

厚生労働省の居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給についての通知では、支給限度基準額が20万円と定められていて、20万円の改修をした場合、保険から給付されるのは通常18万円です。

自己負担が1割の方なら、残りの2万円を払う形。

対象になる工事は、手すりの取付け、床の段差の解消、床材の変更、引き戸などへの扉の取替え、洋式便器などへの便器の取替えといった、比較的小さなものです。

介護保険の住宅改修は上限20万円で、手すりや段差の解消のような小さな工事に向けた仕組みです。

浴室を広げる、トイレの位置を動かす、寝室を1階に移す、といった間取りに関わる工事は、この枠には収まりません。

だから、老後の家で大きく効くのは、介護保険でできる範囲の外にある部分なんですよね。

その部分を建てるときに入れておけば、20万円の枠は手すりや細かな段差にそのまま使えます。

下地が入っている家なら、介護が始まってから手すりを足すことになっても、20万円の枠の中で何か所にも付けられます。

実際に使うときは、工事の前にケアマネジャーさんや市区町村の窓口へ相談してから進めてください。

要介護や要支援の認定を受けてから使う制度なので、家を建てる時点で先に使えるものではありません。

開き戸を引き戸にするなら、壁の中の場所を空けておく

介護が始まると、最初に困りやすいのがドアです。

開き戸は、開けるときに体を後ろへ引く動きが入ります。

杖をついていたり、歩行器を使っていたりすると、この一歩下がる動きがしにくく、ドアの前でふらつく原因にもなります。車いすなら、ドアの開く範囲をよけて位置を変える手間が増えました。

引き戸なら、横に滑らせるだけ。

介護保険の住宅改修でも、引き戸への取替えは対象に入っています。

ただ、引き戸は戸を引き込むための壁の幅が要り、そこにスイッチやコンセント、柱があると、あとから付け替えられない場合があります。

寝室、トイレ、洗面所の3か所は、建てるときから引き戸にするか、少なくとも戸を引き込む壁を空けておくと、あとで付け替えられます。

平屋は部屋が横に並ぶので、引き込む壁の幅を取りやすい形です。

2階建ても1階なら同じように考えられますが、階段の下や廊下の曲がり角に寄せたドアは、壁の幅が足りないことが多くありました。

引き戸は、開けたままにしておいても通り道をふさがないので、夜中にトイレへ行くときも楽です。

取っ手も、握って回す形より、手をかけて横に引く形のほうが、指に力が入りにくくなってからも開けやすくなります。

図面にスイッチの位置まで入ってきたら、ドアの横に何も付いていないかを見ておきます。

車いすで通れる廊下とトイレは、図面の段階で決まる

車いすを使うことになったときに、いちばん直しにくいのが廊下とトイレの広さです。

壁を動かす工事になるからです。

廊下は、まっすぐ進むだけなら通れても、曲がり角で車いすの向きを変える場所が足りないことがあります。トイレは、車いすを便器の横につけて乗り移る場所が要るので、ふつうの広さのトイレでは、入れても扉が閉まらないということが起きます。

介護保険の20万円では、この広げる工事はまかなえません。

車いすでの暮らしを想定するなら、廊下の曲がり角とトイレの広さだけは、建てる前に図面で確かめておきます。

全部を広くする必要はありません。

寝室からトイレまでの1本の道と、トイレ1か所だけでも車いす前提にしておけば、あとの暮らしが大きく変わります。

廊下の幅は、柱と柱の間の寸法ではなく、手すりを付けたあとに残る幅で見ておくと、あとで慌てません。

平屋は廊下を短くしやすいので、車いすで通る道のりそのものを減らせます。

トイレと洗面所の間の壁を、将来外せるつくりにしておいて、1つの広い部屋にできるようにしている図面もありました。

この形は、担当の方に「将来この壁を外せますか?」と聞くと、構造の上でできるかどうかをすぐ答えてもらえます^^

浴室と脱衣所の段差は、あとから直すと工事が大きい

浴室は、介護が始まってから手を入れようとすると、工事がいちばん大きくなりやすい場所です。

理由は、床の下にあります。

古い浴室では、脱衣所との間に段差があり、浴槽のふちも高く、またいで入る形になっていることが多いです。この段差をなくそうとすると、床をはがして排水の高さから直すことになり、ユニットバスごと入れ替える工事になりました。

新しく建てるなら、段差のない出入口と、またぎやすい高さの浴槽を最初から選べます。

浴室は、出入口の段差がなく、浴槽のふちが低めで、洗い場と浴槽のそばに手すり下地が入った仕様を最初に選んでおくと、介護が始まってからの工事がほとんどいらなくなります。

脱衣所も同じで、介助する人が一緒に入れる広さがあるかを見ておきます。

冬場の浴室と脱衣所の温度差も、年を重ねると体にこたえるので、窓の断熱と一緒に見ておきたい部分です。

いまの2階建てに住み続けながら浴室まわりを直す場合の金額は、別のサイトのお風呂リフォームの費用相場と、50万円と150万円で違う中身に書きました。

建てる前にこの金額を見ておくと、浴室の仕様にいくらかけるかの目安になります。

浴室の暖房も、冬の入浴を考えると付けておきたい設備でした。

玄関は、スロープと腰かけを置ける幅を残す

介護が始まると、家の中だけでなく、家から出る場面も変わります。

通院や送り迎えの車。

玄関の上がり框と、玄関ポーチから道路までの段差を越えるのが、歩行器や車いすを使う人にとっては毎回の大仕事になります。実家では、送迎の方が2人がかりで母を支えて、玄関の段差を下ろしてくれていました。

段差を越える方法は、スロープを付けるか、段差の横に腰かけて上がり降りする台や手すりを置くかに分かれます。

スロープは、ゆるやかな勾配を取ろうとすると、思った以上に長さが要ります。

玄関ポーチから駐車場までの間に、あとからスロープを置ける長さと幅を残しておくと、車いすでの出入りに切り替えやすくなります。

玄関の中も、上がり框の横に腰かけられるベンチを置ける幅があると、靴を履くときに座れます。

これは介護が始まる前から、毎日の靴の脱ぎ履きで役に立つ部分でした^^

平屋は敷地が広くなりやすいぶん、玄関まわりに余白を取りやすい形です。

2階建ての場合は、玄関を道路側に寄せすぎると、スロープの長さが取れないことがあります。

玄関の位置は、建物の配置を決めるときに一緒に見ておくと、あとで困りません。

2階建ての階段は、昇降機か、寝室を1階へ移すか

2階建てで介護が始まったとき、階段の扱いは2つに分かれます。

階段に昇降機を付けて2階を使い続けるか、寝室を1階に移して2階を使わなくするか、です。

階段の昇降機は、階段に沿ってレールを付け、いすに座ったまま上り下りする機械です。付けるには階段の幅や形に条件があり、曲がり階段ではレールを階段に合わせてつくることになるので、まっすぐな階段より工事の手間が増えます。

先ほどの住宅改修の対象工事にも、昇降機は含まれていません。

昇降機を付けても、2階にトイレや浴室がそろっていなければ、結局は1階と行き来することになります。

1階に寝室を移す場合は、1階のどの部屋を寝室にするかと、その部屋からトイレと浴室までの距離で暮らしやすさが決まります。

どちらにするかは、本人が2階の自分の部屋にどれだけ思い入れを持っているかでも変わりました。

実家では、1階の和室が母の寝室になりました。

ただ、和室からトイレまでは廊下を曲がって10mほどあり、夜中はポータブルトイレを使うことになったんです。

これから2階建てを建てるなら、1階に寝室へ変えられる部屋を1つ、トイレと浴室の近くに置いておくと、介護が始まったときに階段を使わない暮らしへ移れます。

平屋なら、この切り替えそのものが要りません。

老後の暮らしで平屋と2階建てがいちばんはっきり分かれるのは、この場面かなと思います。

家族で話すときも、ここを先に決めておくと、ほかの話が早く進みました。

同じ条件でも会社によって寝室と水回りの置き方は変わるので、複数社の平屋の間取りプランを並べて比べられます。

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住宅展示場でもらうカタログは、誰にでも同じ1冊です。平屋住宅特集で届くのは、あなたの希望から作られた、あなたの家のための資料です。

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提携している住宅会社は1,280社以上です(タウンライフ家づくり公式サイト、2026年9月現在・同社調べ)。

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同じ延床30坪で、建築費を並べる

この章のポイント
  • 平屋は基礎と屋根が2階建ての約2倍の面積になる
  • 建ぺい率60%なら30坪の平屋に約50坪の敷地が要る
  • 外壁の足場は平屋が低く、屋根の面積は平屋が広い
  • 光熱費と固定資産税は断熱と評価の条件で差が決まる

暮らしの比べ方が見えてきたところで、お金の話です。

同じ延床で並べると、建てるときの金額は平屋のほうが上がりやすくなります。ただ、その差がどこから来ていて、住んでいる間にどう動くかを見ると、印象は少し変わりました。

基礎と屋根が倍になるぶん、平屋の坪単価は上がりやすい

30坪の2階建ては、1階と2階が15坪ずつなら、基礎と屋根は15坪ぶんで済みます。

30坪の平屋は、どちらも30坪ぶん。

基礎はコンクリートと鉄筋、屋根は下地と屋根材と板金で、どちらも本体工事の中で金額の大きい部分なので、ここが倍になると坪単価が上がって見えます。

同じ延床で比べると、平屋は基礎と屋根の面積が2階建ての約2倍になるので、建てるときの本体工事は平屋のほうが上がりやすくなります。

一方で、平屋には階段がありません。

階段そのものの工事と、2階のトイレや2階まで上げる配管、それに2階の床をつくる工事がなくなるので、その分は差し引かれます。

差し引きでどれくらいになるかは、会社と仕様で変わりました。

見積書で基礎と屋根の行の数量を2社分並べるだけでも、この差ははっきり見えます。

坪単価の数字を並べる前に、何が入った数字なのかを見ておくと読み違えません。そのあたりは坪単価では見えない平屋の総額の決まり方に書いています。

敷地の広さまで入れると、差はもう1段ひらく

平屋と2階建ての金額は、建物だけでは比べきれません。

土地の広さが違うからです。

敷地に対して建てられる建物の面積の割合は建ぺい率で決まっていて、建ぺい率が60%の地域なら、1階が99㎡ほどになる30坪の平屋には、99㎡を0.6で割った165㎡、約50坪の敷地が要ります。

同じ30坪でも2階建てなら1階は15坪なので、計算上は約25坪の敷地に収まります。

土地から買う場合は、建物の差に土地の差が上乗せされるので、平屋と2階建ての総額は建物だけで比べたときより大きくひらきます。

建て替えのように、すでに土地を持っているなら話は別。

今の敷地に平屋が収まるかどうかを、建ぺい率から先に確かめておけば、土地代の差は考えなくて済みます。

駐車場や庭をどれだけ取るかも、この計算に足しておきます。

角地の緩和などで上限が変わることもあるので、気になる土地が出てきたら、役所の都市計画の窓口で数字を確かめると確実です。

足場と外回りの工事は、2階建てのほうが大がかり

建てたあとの出費で、平屋と2階建ての差が出やすいのが外回りの工事です。

外壁の塗り替えや屋根の工事では、家のまわりに足場を組みます。

2階建ては足場の高さも面積も大きくなりますが、平屋は屋根までの高さが低いので足場も低く済み、場所によっては脚立で届く範囲の作業もあります。

ただし、屋根の面積は平屋のほうが広いので、屋根の工事そのものの面積は増えます。

外壁の塗り替えは足場が低く済む平屋のほうが軽く、屋根の工事は面積の広い平屋のほうが重くなるので、差し引きで見ておきます。

数十年に一度のことですが、年金で暮らしている時期に重なりやすい出費です。

建てるときの金額だけでなく、この先の出費も同じ表に書いておくと、比べ方が変わります。

2階の軒先や雨どいは、下から見上げても傷みが分かりにくいんですよね。目線の近い平屋なら、小さな傷みのうちに気づけるので、直す工事も小さく済みました。

光熱費と固定資産税は、ここでは入口だけ見ておく

平屋と2階建てで、光熱費や固定資産税はどちらが安いのかも気になるところです。

どちらも、延床の数字だけでは決まりません。

光熱費は、家の断熱性能や窓の数、屋根の面積で変わり、平屋は屋根から入る熱の影響を受ける面が広い一方で、上下の階の温度差が出ないという違いがあります。

固定資産税は、建物の評価と土地の評価で決まるので、平屋は敷地が広くなるぶん土地の側が増えることがあります。

光熱費と固定資産税は、平屋か2階建てかより、断熱の仕様と敷地の評価で差が決まるので、条件をそろえた見積もりで比べます。

数字の出し方だけで1本の記事になる話なので、ここでは深入りしません。

年金暮らしに入ってからは、毎年かかるお金のほうが重く感じると、実家の親を見ていて思いました。

老後の暮らしで先に決めたいのは、やはり階段と動線。

お金の比べ方は、暮らし方が決まったあとのほうがぶれにくいです。

今の住まいに残るか、住み替えるか

この章のポイント
  • 今の2階建てを直して1階で暮らす道も、建て替えと費用で並べる
  • 同じ土地で平屋に建て替えるなら、解体費と仮住まいまで総額に入れる
  • 売って別の土地に建てるなら、売れる金額と時期が計画の出発点になる
  • 住み替え先は、病院とスーパーまで歩いて行けるかで絞っていく

平屋と2階建てのどちらが老後に合うかが見えてきたら、次はそれをどこで実現するかです。

今の家に手を入れて住み続けるのか、同じ土地で建て替えるのか、それとも今の家を手放して別の土地に建てるのかで、動くお金も時間もまったく違ってきます。

僕の家も、この3つのどれにするかで家族会議を何度か開きました^^;

ひとつずつ、老後の暮らしの目で見ていきます。

今の2階建てを直して、1階で暮らす

いちばん身近なのは、今の2階建てに住み続けながら、1階だけで暮らせるように直す方法です。

1階の和室を寝室にして、その近くのトイレと浴室を段差のない形に直し、洗濯物を干す場所も1階につくる。

建て替えや住み替えに比べると、工事の範囲が小さく、住みながら進められることが多いのが強みです。

ただ、家の古さによっては、直す範囲が広がっていきます。

築年数が進んだ家では、床下や壁の中を開けてみて初めて分かる傷みもあり、1階をまるごと直すような工事になると、建て替えとの差が縮まっていきました。

直して住み続けるか建て替えるかは、築年数と工事の範囲によって費用が逆転するので、両方の見積もりを並べてから決めます。

この逆転が起きる条件は、築30年の木造で建て替えとリフォームの費用が逆転する条件のほうで詳しく書きました。

老後の暮らしで見るなら、直したあとも2階が残ることは頭に入れておきたいところです。

使わない2階の窓や屋根の手入れは、住み続ける限り付いてきます。

同じ土地で、平屋に建て替える

土地がすでにあるなら、今の家を解体して平屋に建て替える道があります。

土地を探さなくていいのは大きいです。

病院や買い物先、ご近所との付き合いも今のまま続けられるので、老後の暮らしの環境を変えずに、家だけを階段のない形に替えられます。

その代わり、新しく建てる費用に加えて、今の家の解体費と、工事の間に住む仮住まいの費用と、引っ越し2回分がかかります。

建て替えは、建物の費用だけでなく、解体費、仮住まい、引っ越し2回分まで足した総額で、住み替えや改修と比べます。

解体から引き渡しまでの内訳は、30坪の木造を平屋に建て替えるときの解体から引き渡しまでの総額にまとめています。

もう1つ見ておきたいのが、今の敷地に平屋が収まるかどうかです。

2階建てで建っていた家を同じ延床の平屋にすると、建ぺい率の上限を超えることがあります。

その場合は、夫婦2人に合わせて延床を小さくするのが自然な答えになりました。

今の家を売って、別の土地に平屋を建てる

子どもが独立したのをきっかけに、今の家を売って、駅や病院に近い場所へ移る方もいます。

この場合、計画の出発点になるのは、今の家がいくらで、いつ売れるかです。

売れた金額を新しい土地と建物の資金に回すなら、売れる時期と新しい家の引き渡しの時期がずれたときに、どこに住むかも決めておくことになります。先に売れば仮住まいが、先に建てれば二重のローンや資金のつなぎが出てきます。

売り方には、不動産会社に買い手を探してもらう仲介と、不動産会社にそのまま買い取ってもらう買取があります。

期限を優先するか手取りを優先するかで選び方が変わる話は、不動産の買取と仲介の違いを期限と手取りで分けた記事が参考になります。

住み替えで平屋を建てるなら、今の家の売却の見通しを先に立ててから、土地と建物の予算を決める順番にします。

順番を逆にすると、気に入った土地に合わせて予算が膨らみがちでした。

年齢が上がるほど、住宅ローンの返済期間は短く組むことになります。

だからこそ、売る家の数字から始めたいんです。

住み替え先は、病院とスーパーまでの距離で選ぶ

別の土地に平屋を建てるなら、土地の選び方も老後の目で変わります。

子育て中は、学校までの距離や学区で土地を選ぶ方が多いと思います。

老後の住まいでは、それが病院、スーパー、駅やバス停までの距離に置き換わります。車を運転しなくなる日のことを考えると、歩いて行ける範囲にどれだけそろっているかが、暮らしやすさを大きく左右しました。

老後の平屋の土地は、広さより先に、かかりつけの病院と毎日の買い物先まで歩いて行けるかで絞ります。

平屋は敷地が広く要るので、駅に近い場所ほど土地の条件が合いにくくなります。

ここは、平屋を選ぶときの悩ましいところですね^^;

駅から少し離れても、バス停が近く、本数が多い場所なら候補に入れられます。

土地を見に行くときは、平日の昼間に、病院とスーパーまで実際に歩いてみると距離の感覚がつかめます。

坂道が1本あるだけで、老後の歩きやすさはずいぶん変わります。

50代のうちに、図面で確かめておくこと

この章のポイント
  • 夫婦それぞれの夜中の動きや家事の分担を、紙1枚に書き出しておく
  • 平屋のプランと1階完結の2階建てのプランを、同じ条件で2通り頼む
  • ベッドからトイレや物干し場までの歩数と段差の数を図面ごとに数える
  • 展示場を回るより先に、自宅で図面を並べて体が動くうちに決めていく

最後は、ここまでの話を実際の図面に落とし込む段階です。

老後の家は、老後になってから考えると間に合わないことが多い、というのが実家を見てきた僕の実感です。体が動くうちは階段も段差も気にならないので、決める時期はどうしても先へ延びがちなんですよね。

だから、50代のうちに図面で確かめておきたいことを4つに絞ります。

夜中の動きと家事の分担を、紙1枚に書き出す

図面を頼む前に、夫婦の暮らし方を紙に書き出します。

書くのは、1日の中で家の中をどう動いているかです。

朝何時に起きて、どこで着替えて、洗濯は誰がいつ干すのか。夜中にトイレへ起きる回数、寝る前に過ごす部屋、買い物に行く曜日、重い物を運ぶのは夫婦のどちらなのかも書きます。

夫婦で書き比べると、けっこう違っていて驚きます(笑)

夫婦それぞれの1日の動きを紙1枚に書き出してから図面を頼むと、寝室とトイレと洗濯の場所が暮らしに合った形で返ってきます。

書き出した紙には、この記事で見てきた項目も足しておきます。

寝室の隣にトイレ、洗濯は1つの床で完結、手すりの下地と足元灯、引き戸にする3か所、車いすで通る1本の道。

項目が多く見えますが、それぞれ一言で書けば紙1枚に収まります。

子どもや孫が泊まりに来る回数も、客間を置くかどうかの判断に使えるので書いておきます。

口で伝えるより、紙で渡したほうが、担当の方ごとに受け取り方がずれません。

平屋と1階完結の2階建て、2通りのプランを頼む

老後の住まいで平屋と2階建てを迷っているなら、図面も両方もらって並べるのがいちばん早いです。

頼み方はシンプルで、同じ条件を書いた紙を渡して、平屋のプランと、1階だけで暮らしが完結する2階建てのプランを2通り出してもらいます。

2通りの図面が並ぶと、同じ暮らしを実現するのに、敷地にどれだけ余裕が要るか、延床と金額がどう違うかが、自分の条件の数字で見えてきます。

平屋と1階完結の2階建てを同じ条件で並べると、老後の暮らしやすさと建築費の差を、自分の敷地と予算の数字で比べられます。

1社だけに頼むと、その会社の得意な形に寄りがちです。

平屋を多く建てている会社と、2階建てが中心の会社では、同じ条件でも寝室や水回りの置き方がかなり違っていました。

だから、複数の会社に同じ紙を渡します。

建て替えの場合は、今の敷地の測量図や建物の図面があれば一緒に渡すと、敷地に合わせたプランが返ってきやすくなります。

届いた図面の数が多くても、見る場所は次の項目で絞れます。

届いた図面は、寝室からの歩数で見比べる

図面がそろったら、金額の前に歩数を数えます。

寝室のベッドから、トイレまで。

図面の上で指を置いて、ベッドからトイレ、トイレから洗面所、洗面所から物干し場、物干し場から衣類をしまう場所まで、実際の暮らしの順番でたどると、間取りの違いが数字として出てきます。

図面の縮尺から、1歩を60cmくらいで数えれば十分です。

寝室からトイレ、洗濯、台所までの歩数を図面ごとに書き出すと、老後の暮らしやすさを金額と同じ表で比べられます。

数えていると、同じ延床でも寝室からトイレまで5歩の図面と15歩の図面があって、数字にすると差がはっきりしました。

段差のある場所には、赤で丸を付けます。

玄関、浴室、掃き出し窓。

丸が少なく、歩数が短い図面ほど、老後の毎日は楽になります。

そのうえで金額を並べると、差額が何に払われているのかが見えてきました。

歩数の表は、家族で話すときの材料にもなります^^

決めるのは、体が動くうちがいい

老後の家を建てる時期に、決まった正解はありません。

ただ、実家を見てきて思うのは、体が動くうちに決めたほうが選べる道が多いということです。

70代に入ってから建て替えや住み替えを考えると、仮住まいへの引っ越しや、土地探しで何か所も見て回ることそのものが体にこたえます。打ち合わせも1回で数時間かかることがあって、それが何か月も続きます。

50代なら、まだ動けます。

老後の住まいは、階段や段差が気になり始める前の50代のうちに、平屋と2階建ての図面を並べて決めておくと、選べる道が多く残ります。

とはいえ、今すぐ建てる必要はありません。

図面を2通りもらって、自分たちの条件だと平屋でいくら、1階完結の2階建てでいくらになるかを知っておくだけでも、次に家族で話すときの材料になります。

展示場を何か所も回るのは、そのあとで十分でした。

家で図面を並べるところからなら、週末の1時間で始められます。

まとめ:終の住処は、毎日の歩数で選ぶ

平屋と2階建てを老後の暮らしで比べると、分かれ目は階段を毎日使うかどうかに集まります。ただ、65歳以上の住宅内の事故は居室が45.0%で、階段は18.7%でした。平屋にしても段差と暗がりは残るので、寝室からトイレや洗濯までの道のりを短くすることと、手すりの下地や引き戸を建てるときに入れておくことは、階段をなくすことと同じ重さで考えておきたい部分です。同じ延床なら建てる金額は平屋が上がりやすく、その差は敷地と外回りまで含めて見ると印象が変わりました。

実家の母が2階に上がらなくなってから、帰省するたびに2階の窓を開けに行くのは僕の役目になりました。閉めきった部屋の空気を入れ替えながら、この家は半分しか使われていないなと思っていました。平屋の図面を並べるときに、僕が寝室からの歩数を数えてしまうのは、あの階段を上がるたびに感じたことがずっと頭に残っているからです。

まずは今の暮らしの1日の動きを紙に書き出して、平屋と1階完結の2階建ての2通りで図面を並べてみてください。一社だけで決めなくて大丈夫です。

この記事のまとめ
  • 老後の平屋と2階建ては階段を毎日使うかどうかで分かれる
  • 65歳以上の住宅内の事故は居室45.0%、階段18.7%
  • 平屋でも玄関と浴室と掃き出し窓の段差は確かめておく
  • 寝室の隣にトイレを置き、洗濯は1つの床でつなげる
  • 手すりの下地と足元灯と引き戸は建てるときに入れておく
  • 介護保険の住宅改修は上限20万円の小さな工事に向けた仕組み
  • 同じ延床なら平屋は基礎と屋根と敷地のぶん金額が上がりやすい
  • 住み替えは今の家の売却の見通しから予算を組む
  • 平屋と1階完結の2階建ての図面を並べて歩数で比べる

間取りプラン・資金計画書・土地情報の3点が無料で届くので、平屋の図面を寝室からの歩数と総額の両方で比べるところまで進められます。

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