
平屋を建てるなら工務店か、それとも大手か。ここで止まっている方、けっこう多いと思うんですよね。
建築費は上がったままです。国土交通省が公表している建設工事費デフレーターを見ると、住宅建築の指数は数年前から高い水準で推移しています。木材価格が跳ね上がったウッドショックの混乱は落ち着きましたが、値段が元に戻ったわけではありません。
円安と原油高も乗ってきます。輸入している建材や設備の値上がりが続いていて、物価高騰の話が住宅の見積書にまで届いている状態です。だからこそ、どこに頼むかで総額がはっきり変わる時期でもあります。
ただ、会社選びが難しいのは金額だけの話ではありません。同じ条件で頼んでも、返ってくる提案がまるで違うからなんですよね。
この記事は、平屋を建てたいけれど、まだどこにも相談していない方に向けて書いています。「工務店って大丈夫なのかな」と少し不安に思っている方にこそ読んでほしい内容です^^;
僕は40代後半、共働きで子どもが2人います。築20年台の戸建てに住んでいて、建て替えるなら平屋にしたいと考えました。建築の資格は持っていません。ただの施主として2年調べただけです。
最初は大手だけを見ていました。テレビCMで名前を知っている会社のほうが安心だと思っていたんです。ところが地元の工務店の提案を見たとき、その考えがけっこう揺れました(笑)。その経緯も含めて書いています。
- 同じ予算なら工務店のほうが広く建てられるが、体制には幅がある
- 大手の価格には展示場と広告の費用が含まれている構造を知っておく
- 地元の会社は探し方にコツがあり、実績と施工エリアから絞れる
- 声をかけるのは3社から5社。多すぎると読み切れなくなる
- 条件を紙にそろえて渡すと、返ってくる提案を横に並べられる
複数社の提案が並ぶと、その金額が相場の中でどこにあるのかが分かります。
【PR】タウンライフ家づくり
比べる材料は、同じ条件でそろえると見やすい
見積書の書き方は、会社ごとにばらばらです。同じ希望を同時に伝えると、並べたときに違いがはっきり見えます。
タウンライフ家づくりなら、1回の入力で複数の住宅会社に、同じ条件で間取りと見積もりを依頼できます。
費用はかかりません。依頼する会社は自分で選べます。
平屋を工務店に頼むという選び方
- 同じ予算でも坪単価が下がるぶん、確保できる広さが変わってくる
- その地域の気候や地盤の傾向を知っているという強みを持っている
- 設計と施工の質には幅があるので、体制を確認する必要が出てくる
- 施工エリアが限られるため、土地を決める前に対応範囲を確かめたい
まず、工務店に頼むとどうなるのかを整理します。
僕が最初に相談したのは大手2社でした。3社目に地元の工務店を入れたのは、正直なところ数合わせのつもりだったんですよね^^; ところが提案を見たら、いちばん考えて作られていました。
この章では、その理由も含めて工務店という選択肢を見ていきます。
同じ予算で建てられる広さが違う
地域の工務店の坪単価は、おおむね60万円から80万円です。
規格プランを主力にしている会社なら45万円から55万円、自由設計で組むと60万円から70万円。大手ハウスメーカーが80万円から120万円なので、その下の帯に位置します。
本体2000万円で計算すると、工務店なら30坪前後、大手なら25坪前後。5坪の差になります。
5坪は10畳ぶん。子ども部屋を1つ足せる、あるいはLDKを大きく広げられる差です。平屋は全部の部屋を1階に並べるので、この面積の余裕が効いてきます。
ただし、この差がそのまま品質の差というわけではありません。何にお金がかかっているかが違うだけなんですよね。そこは次の章で整理します。
広さを取るか、別の何かを取るか。判断の軸をここで作っておくと、そのあとが楽になります。
地域の気候と地盤を知っている
工務店の強みとして、いちばん実感したのがこれです。
雪の多い地域、風の強い地域、地盤の弱い地域。それぞれに合った設計を持っています。何十年もその地域で建ててきた蓄積があるからです。
僕が相談した工務店は、土地の資料を見た瞬間に「この一帯は改良が要ることが多いですね」と言いました。近くで何棟も建てているから分かるんですよね。
大手だと、全国共通のマニュアルに沿って進みます。品質が安定する反面、その土地固有の事情までは反映されにくい面があります。
平屋は建築面積が広いぶん、地盤改良の範囲も広くなります。同じ延床の2階建てより費用が上がりやすい部分なので、地域の傾向を知っているかどうかは金額に直結します。
相談のときに「この地域で平屋を建てた実績はありますか?」と聞いてみてください。具体的な話が返ってくるかどうかで、判断できます。
設計と施工の質には幅がある
ここが、工務店を選ぶときにいちばん慎重になるところです。
会社によって、体制がまったく違います。年間の施工棟数が数棟の会社もあれば、100棟を超える会社もある。設計者が社内にいる会社もあれば、外部に委託している会社もあります。
確認したい項目は4つです。年間何棟建てているか、専属の大工がいるか、現場監督は何現場を掛け持ちしているか、設計は社内か外部か。この4つです。
現場監督の掛け持ち数は、仕上がりに直結します。
1人で10現場を見ていると、1現場あたりに割ける時間が減ります。5現場前後が目安と言われることが多いので、そこを聞いてみてください。
会社の継続性も見ておきたいところです。30年後に不具合が出たとき、その会社がまだあるかどうか。組合や保証機構に加入していれば、万一のときに別の会社が引き継ぐ仕組みがあります。
施工エリアが限られる
もうひとつの制約が、これです。
地域の工務店は、会社から車で1時間以内といった条件を設けていることが多くあります。現場に通う頻度を確保するためです。
これは制約であると同時に、品質を保つための仕組みでもあります。遠すぎる現場は見に行けないので、無理を承知で受けない会社のほうが誠実だとも言えます。
土地を決める前に、その地域が対応範囲かを確認しておいてください。せっかく気に入った会社があっても、土地が範囲外だと頼めません。
逆に、土地から探す段階なら、先に会社を決めてしまうという順番もあります。「この会社に頼みたいので、対応エリアの中で土地を探す」という進め方です。
平屋は広い土地が要るので、エリアを絞ると候補が減ります。そこは会社と相談しながら決めていくといいと思います^^
大手ハウスメーカーとの違いはどこか?
- 価格には展示場の維持費と広告費が含まれている構造になっている
- 保証の期間は長いが、延長には有償の点検という条件が付いてくる
- 構造の裏付けが実験データとして公開されている点は強みになる
- 商品によって価格帯が違うので、会社名では判断ができなくなる
大手と工務店の違いを、事実として整理しておきます。
どちらが良いという話ではなくて、何にお金を払うかの違いなんですよね。ここを理解しておくと、金額の差の意味が分かります。
展示場と広告の費用が乗る
住宅展示場にモデルハウスを建てると、その建設費と維持費がかかります。1棟あたり数千万円から億単位で、それを何年かで償却します。
テレビCMを打てば広告費もかかります。営業の人員を全国に配置すれば人件費もかかる。これらは商品の価格に乗ってきます。
だから「大手は高い」というより、「大手にはその分の販売コストがある」と理解するほうが正確です。
そのコストを払う対価として、展示場で実物を見られる、営業の体制が整っている、全国で同じ対応を受けられる、といった利点があります。
ここをどう評価するかは人それぞれです。展示場を何棟も見て回りたい方には価値があり、資料だけで判断したい方には不要かもしれません。
ひとつ言えるのは、展示場の建物は仕様も面積も実際に建てるものとは違うということです。豪華な設備が入っていて、天井も高く、面積も大きい。あれをそのまま建てると、坪単価は表示の1.5倍を超えます^^;
保証は長いが条件がある
大手の強みとしてよく挙げられるのが、長期保証です。
法律で定められた10年の保証に加えて、独自の保証を用意している会社が多くあります。30年、あるいは60年という数字を掲げているところもあります。
ただし条件があります。指定の時期に有償の点検とメンテナンスを受けることが、延長の条件になっていることがほとんどです。
その費用がいくらかを聞いておいてください。10年目、20年目にまとまった金額が必要になるなら、それは長期の資金計画に入れるべき数字です。
点検の周期と内容も確認しておきたいところです。引き渡しから何年目に、誰が、何を見るのか。書面でもらっておくと、あとで確認できます。
もうひとつ、会社が長く続くという安心感もあります。30年後に不具合が出たとき、その会社がまだあるかどうか。地域の工務店だと、そこが読みにくい面はあります。
もっとも、工務店にも組合や保証機構に加入している会社があります。万一のときに別の会社が引き継ぐ仕組みなので、そこに入っているかを聞いておくと安心です^^
構造の裏付けが公開されている
もうひとつ、大手には実験施設があります。
耐震、耐風、耐久性について、実物大の実験を行って検証しています。その結果を公開している会社が多いので、読むと判断の材料になります。
工務店だと、そこまでの検証はできません。そのかわり、住宅性能表示制度という共通の物差しがあります。耐震等級、断熱等性能等級。この数字で比べれば、会社の規模に関係なく判断できます。
平屋はもともと重心が低く、地震のときに建物にかかる力が2階建てより小さくなります。木造でも耐震等級3は十分に取れるので、そこは工務店でも問題ありません。
読むときのコツがあります。技術の説明に、数字や検証の条件が書かれているかを見てください。「独自の技術で強い」とだけ書かれているものより、何をどう試験したかまで書かれているもののほうが、比べる材料になります。
会社名ではなく商品名で判断する
大手を検討するときに、いちばん大事なのがこれです。
同じ会社の中でも、商品によって価格帯がまったく違います。木造を主力にしているシリーズなら坪75万円から、鉄骨の上位シリーズだと坪110万円を超えることもあります。
だから「この会社は坪いくら」という括り方は、あまり役に立ちません。商品名まで指定して見積もりをもらうと、比べられる数字になります。
「御社で平屋を建てるなら、どの商品になりますか?」と聞くところから始めてください。
平屋を扱っているかどうかも会社によって違います。平屋の専用商品を持っている会社もあれば、2階建ての商品を平屋で建てる形の会社もある。
前者のほうが、平屋ならではの設計が入っていることが多いです。天井の高さ、屋根の形、採光の工夫。専用に開発された商品には、そういう蓄積があります。
地元の会社を探す手順
- 平屋の施工実績があるかどうかを、まず最初の条件にして絞っていく
- 完成見学会や建築中の現場を見せてもらえるかが判断の材料になる
- 資料請求で条件を伝えると、対応の仕方から社風が見えてくる
- 施工エリアと年間の棟数から、無理のない範囲かを確かめておく
- 実際に建てた方の話を聞ける機会があれば、そこがいちばん確かになる
大手なら名前を知っているので探す必要がありませんが、地域の会社は自分で見つけることになります。
ここが最初のハードルなんですよね。数が多いうえに、ネットの情報だけでは違いが分かりにくい。
この章では、絞り込む手順を順番に書いていきます。
平屋の実績があるかを見る
最初の条件がこれです。
平屋は2階建てとは設計の考え方が違います。真ん中の部屋に光をどう届けるか、廊下をどう減らすか、屋根の面積が広いぶんの断熱をどう考えるか。この3つが要点になります。
建てた経験がある会社なら、こういう工夫を持っています。施工例のページを見て、平屋が何棟あるかを数えてみてください。
2階建てばかりの会社でも建てられますが、提案の引き出しは少なくなります。せっかく複数社に頼むなら、平屋を得意にしている会社を入れておきたいところです。
問い合わせるときに「平屋の実績はどれくらいありますか?」と聞くのがいちばん早いです。写真を見せてもらえることもあります。
数だけでなく、どんな平屋を建てているかも見ておきたいところです。20坪台のコンパクトなものが多いのか、35坪以上の大きなものが多いのか。自分の希望に近い規模の実績があると、話が早くなります。
デザインの傾向も出ます。和風寄りか、シンプルモダンか、無垢材を使った自然素材系か。施工例を10棟も見ると、その会社の得意な形が見えてきます。
見学の機会があるかを確認する
写真とカタログだけで決めるのは、やっぱり不安が残ります。
完成見学会は、実際に住む方の家を引き渡し前に見せてもらう形式です。展示場と違って実際の広さと仕様なので、いちばん参考になります。
予定が合わないときは、施工中の現場でもかまいません。構造がむき出しの状態で、断熱材の入り方や配管の納まりが見えます。
整理整頓の様子から、現場の管理の質が伝わってきます。
資材が散らかっている現場と、きれいに片付いている現場。どちらが丁寧な仕事をしているかは、見れば分かります。
見学の機会を用意していない会社もあります。それ自体が問題というわけではありませんが、見せられる現場があるかどうかは聞いてみる価値があります。
見学に行くときは、質問を用意していくと収穫が増えます。断熱材は何を使っているか、気密の処理はどうしているか、この配管はどこに向かっているか。この3つで十分です。
その場で答えられるかどうかで、担当の方の理解度も分かります。分からないことを「調べて回答します」と言える方も、僕は信頼できると思っています。
資料請求の対応で社風が見える
実際に会う前に、資料請求で様子を見る方法があります。
条件を書いて送ると、返ってくるものに差が出ます。会社案内だけを送ってくる会社、こちらの条件に沿った提案を作ってくる会社。
返信の速さ、書き方の丁寧さ、質問への答え方。こうした部分に社風が出るんですよね。
ここで役に立つのが、条件を具体的に書くことです。「平屋希望」の4文字だけだと、標準的な資料が返ってきます。家族構成、希望の坪数、土地の有無、予算の上限。この4つを書くと、返ってくるものが変わります。
連絡方法の希望も書いておくと楽になります。「まずは資料で検討したいので、電話は控えめでお願いします」と一行添えるだけで、進め方がだいぶ変わります^^
返ってきた資料の中身も見どころです。会社案内だけなのか、施工例が載っているのか、標準仕様の一覧が付いているのか。ここに差が出ます。
標準仕様の一覧があると、価格帯の見当がつきます。窓のサッシ、断熱材、キッチンや浴室のグレード。ここまで書いてある会社は、性能に自信があるということでもあります。
施工エリアと年間の棟数を確かめる
候補が絞れてきたら、体制を確認します。
施工エリアは、会社のサイトに書かれていることが多くあります。書かれていなければ、問い合わせのときに聞いてください。
年間の棟数も判断材料になります。少なすぎると経営の安定性が気になりますし、多すぎると1棟あたりに割ける時間が減ります。
目安として、専属の大工がいて、現場監督が5現場前後を担当している。この体制なら安心して任せられます。
創業からの年数も見ておきたいところです。長く続いている会社は、その地域で信頼を積み重ねてきたということでもあります。
建設業の許可や、建築士事務所の登録があるかも確認できます。会社のサイトに記載されていることが多く、なければ問い合わせれば教えてもらえます。
住宅瑕疵担保責任保険への加入も必須です。これは法律で義務づけられているので、加入していない会社は論外ということになります。
こういう基本の部分は、たいていの会社が満たしています。だから確認は形式的なものですが、一度見ておくと安心して進められます^^
建てた方の話を聞けるか
いちばん確かな情報が、これです。
実際にその会社で建てた方の話。住み心地、打ち合わせの進み方、アフターの対応。カタログには書かれていない話が聞けます。
会社によっては、施主を紹介してくれることがあります。「実際に建てた方のお話を聞ける機会はありますか?」と聞いてみてください。
紹介してくれる会社は、自信があるということでもあります。逆に難しいと言われても、それだけで判断する必要はありません。個人情報の扱いが厳しくなっているので、慎重な会社もあります。
知り合いにその会社で建てた方がいれば、いちばん早いです。近所で工事をしている現場を見かけたら、看板の会社名を控えておくのもひとつの方法かなと思います。
提案の中身まで含めて比べられるので、金額だけの比較になりません。
【PR】タウンライフ家づくり
展示場を回る前に、家で並べて比べる
たとえるなら、旅行の前に何社かのプランを取り寄せて、リビングで見比べるようなものです。移動も待ち時間もなく、自分のペースで比べられます。
建物の本体だけでなく、諸費用まで含めた見積書を出してもらえるのも、比べやすさにつながります。
無料で届くもの
- 家族構成と暮らし方に合わせた間取りプラン
- 本体工事費以外の諸費用も含めた見積書
- 希望の間取りが入る土地の提案
提携している住宅会社は1,280社です(タウンライフ家づくり公式サイト、2026年9月現在・同社調べ)。

何社に声をかけるのが現実的か?
- 3社から5社が、読み切れて比べられる現実的な数になってくる
- 性格の違う会社を混ぜると、選択肢の幅がはっきり広がってくる
- 1社ずつ順番に回ると、条件がぶれて比べられなくなってしまう
- 最初に見た数字が基準になる性質があるので、同時に並べたい
次に、何社に声をかけるかという話です。
多ければいいというものではありません。読み切れる数には限りがあるからです。
3社から5社が読み切れる範囲
3社なら比べやすく、5社を超えると読み切れなくなります。
返ってくる資料は、1社あたり数十ページになることがあります。間取り図、仕様書、資金計画、施工例。これを5社ぶん読むと、けっこうな量です。
そのうえで、それぞれの提案をじっくり読む時間まで含めて考えると、3社から5社が現実的なところです。
僕は3社にして、ちょうどよかったです。床に並べて家族で覗き込む、というのができる数でした。
逆に、2社だと少し足りません。2つの数字を見ても、どちらが真ん中なのかが分からないからです。3つあると、高い・真ん中・安いという位置関係が見えます。
6社以上になると、途中で読むのをやめてしまいます。せっかく作ってもらった資料なので、読み切れる数に絞るのが誠実かなとも思います。
各社の設計担当が数時間かけて図面を起こしてくれています。無料だからといって何十社にも頼むのは、さすがに気が引けるんですよね^^;
性格の違う会社を混ぜる
選ぶときのコツがあります。
同じ価格帯の3社を選ぶと、提案が似てきます。それはそれで細かい差が見えるのですが、選択肢の幅は狭くなります。
最初の1回は、あえてばらけさせるのがおすすめです。大手、中堅、地域の工務店といった組み合わせ。
坪55万円の会社と坪90万円の会社を並べると、金額の差が何に対するものかが見えてきます。
そこから「自分はこのあたりだな」という基準ができます。絞り込んだあとで、同じ価格帯の会社をもう2社追加する。この二段構えにすると、無理なく比べられます。
平屋を得意にしている会社を1社は入れておいてください。2階建てが中心の会社ばかりだと、平屋ならではの提案が出てきません。
天井の高さ、屋根の形、採光の工夫、廊下の減らし方。こういう部分は、平屋を何棟も建てた会社に蓄積があります。1社入れるだけで、比較の幅が変わります。
1社ずつ回ると条件がぶれる
順番に相談していく方法もあります。ただ、これはけっこう大変です。
まず、条件を毎回一から説明することになります。土日を使って1社ずつ回ると、3社で3週間かかります。
そのあいだに自分の希望も変わっていきます。1社目で聞いた話が影響して、2社目に伝える条件が変わる。結果として、比べられない状態になるんですよね^^;
一括で頼めば、条件を1回書くだけで済みます。返ってきた資料を自宅で読み比べて、気になった会社にだけ会いに行く。この順番なら、出かける回数は1回か2回で足ります。
時間の問題もあります。共働きだと、土日を3週間つぶすのはけっこうな負担です。子どもがいると、さらに難しくなります。
自宅で資料を読める形にしておくと、夜や早朝の時間も使えます。家族で相談する時間も取りやすくなるんですよね。
最初の数字が基準になってしまう
行動経済学にアンカリングという言葉があります。最初に見た数字が基準になって、そのあとの判断が引きずられる現象です。
僕も「坪70万円くらいですね」と最初に言われて、その数字がずっと頭に残りました。あとから見た坪85万円が高く感じて、坪60万円が安く感じる。基準がひとつしかないと、そうなります。
同時に並べると、この偏りが弱まります。3つの数字を横に見れば、真ん中がどこかが分かるからです。
だから、順番に会うのではなく、同時に依頼する。この形が判断の精度を上げてくれます。
同時に依頼すると、返ってくる時期もそろいます。1週間から2週間のあいだに資料が届くので、記憶が新しいうちに比べられます。
1社ずつだと、3社目を見るころには1社目の内容を忘れています。メモを取っていても、その場の感覚までは残らないんですよね^^;
並べて見る。この一手間が、判断をいちばん確かにしてくれると思います。
相見積もりの取り方と条件のそろえ方
- 条件を紙1枚にまとめて、同じものを各社に渡すのがいちばん確実になる
- そろえるのは坪数と部屋数と土地と予算と優先条件の5つになってくる
- 工法や構造は指定せず、各社が得意な形を出してもらうほうが広がる
- 相見積もりであることは伝えても伝えなくても、どちらでも構わない
- 希望の連絡方法を書いておくと、そのあとの進め方が楽になってくる
会社が決まったら、次は条件のそろえ方です。
ここが崩れると、せっかく複数社から取っても意味が薄くなります。この章がいちばん実務的な部分かもしれません。
紙1枚にまとめて同じものを渡す
A社に30坪で頼んで、B社に33坪で頼む。これだと金額が違って当たり前です。
差が出たときに、それが仕様の差なのか、広さの差なのか、判断できなくなります。
だから条件は文字にして、同じものを渡してください。紙1枚にまとめておいて、それをそのまま各社に伝えるのがいちばん確実です。
手書きでもかまいません。大事なのは、口頭で伝えないことです。話しているうちに内容が変わるので、文字にしておくと基準が動かなくなります。
この紙は、あとから見返す資料にもなります。半年から1年の打ち合わせのあいだ、最初に何を望んでいたかを思い出せるんですよね^^
打ち合わせが進むと、要望がどんどん増えていきます。最初は「収納をしっかり」だったのが、気づけば造作の棚だらけになっている、ということが起きます。
そのときに最初の紙を見返すと、自分たちが何を大事にしていたかを思い出せます。ぶれを戻す道具としても役に立つんですよね。
そろえるのは5つ
書く内容は、5つで足ります。
- 希望する延床の坪数(幅で書いてよい)
- 部屋数と家族構成
- 土地の情報(所在地・面積・建ぺい率・容積率)
- 総額の上限
- 譲れない条件を3つ
坪数は幅で書いてかまいません。「28坪から32坪」と書けば、各社がその範囲で提案してくれます。
土地がない場合は、希望する地域と広さの条件を書きます。平屋なら60坪以上が目安になるので、そこを条件に入れておくと現実的な情報が返ってきます。
予算は総額で書いてください。「本体でいくら」ではなく「住み始めるまでに総額いくらまで」と書くと、各社が同じ土俵で提案してくれます。
譲れない条件は3つに絞ってください。10個も20個も並べると、どれが大事なのかが伝わりません。3つなら、設計する側もどこを優先すればいいか分かります。
3つの選び方にもコツがあります。今の家で困っていることから選ぶと、外れが少なくなります。
収納が足りない、家事の動線が長い、日当たりが悪い。こういう具体的な不便を書き出して、その上位3つを条件にする。理想から選ぶより、現実的な提案が返ってきます^^
工法や構造は指定しない
逆に、そろえないほうがいい部分もあります。
工法や構造を指定してしまうと、その会社が得意な形が出てこなくなります。木造か鉄骨かは各社に任せて、出てきたものを見比べるほうが選択肢が広がります。
仕様のグレードも同じです。「標準仕様で」と伝えておけば、各社の標準がどこにあるかが比べられます。ここを細かく指定すると、その会社の得意な組み合わせが崩れるんですよね。
間取りも、細かく決めすぎないほうがいい提案が出てきます。プロの目で見た配置を提案してもらえるので、自分では思いつかなかった形が返ってきます。
僕は最初、要望を12個書いた紙を渡しました。返ってきた提案は全部の要望を無理に詰め込んだ形で、正直どれもしっくりこなかったです(笑)。3つに絞り直したら、ずっと素直な図面が返ってきました。
相見積もりだと伝えるかどうか
これはよく聞かれる話です。
結論から言うと、どちらでもかまいません。伝えても伝えなくても、提案の質はあまり変わらないと思います。
むしろ、住宅の場合はほとんどの方が複数社に声をかけています。会社の側もそれを前提にしているので、隠す必要はありません。
伝えるなら「他社さんにもお願いしています」くらいで十分です。何社なのか、どこの会社なのかまで言う必要はありません。
逆に、値引きを引き出す目的で伝えるのはおすすめしません。金額だけの勝負になると、中身の説明が薄くなるからです。比べたいのは金額ではなく、提案の中身なんですよね。
それに、住宅の見積もりは値引きしにくい構造になっています。材料費と人件費が大半なので、削るとしたら仕様を落とすことになる。
だから「安くしてください」より「この予算に収めるには、どこを調整しますか?」と聞くほうが建設的です。中身の話になるので、判断できる答えが返ってきます。
連絡方法の希望を書いておく
最後にひとつ、実用的な話です。
複数社に依頼すると、当然その後に連絡が来ます。ここを心配して申し込みをためらう方が多いんですが、書き方でかなり調整できます。
「まずは資料で検討したいので、電話は控えめでお願いします」「連絡はメールでお願いします」「平日の日中は出られません」。こういう一行を添えるだけで、進め方が変わります。
実際に僕もこれを書きました。電話が鳴り止まなくなるイメージがあって身構えていたんですが、想像とはだいぶ違ったんですよね^^
それでも合わないと感じた会社には、早めに断りを入れてください。「今回は見送らせていただきます」の一言で済みます。中途半端に続けるほうが、お互いに時間の無駄になります。
見積書で見るポイントと比較の軸
- 本体工事と付帯工事と諸費用の3つに分けて読むと差の理由が見える
- 坪単価は分母の定義が会社ごとに違うため、総額でそろえて比べたい
- 標準仕様をそろえた見積もりにすると、価格差の意味がはっきりする
- 一式とだけ書かれた項目が多いと、あとから範囲が変わりやすくなる
資料が届いたら、読み方の話になります。
見積書の様式は会社ごとに違うので、自分で整理し直すことになります。
3つに分けて読む
まず、金額を3つに分類します。
1つ目が本体工事費。基礎、構造、屋根、外壁、内装、住宅設備。建物そのものにかかるお金です。
2つ目が付帯工事費。給排水とガスの引き込み、地盤調査と地盤改良、外構、既存建物の解体。
3つ目が諸費用。登記、住宅ローンの手数料と保証料、火災保険、税金、カーテンと照明とエアコン。
この3つに整理すると、A社にあってB社にない項目が見つかります。そこが差の理由です。
並べ方としては、紙に3列書くのが早いです。縦に項目、横に3社。埋めていくと、どこに差があるかが一目で分かります。
金額が大きく違う項目が2つか3つ見つかるはずです。そこだけ理由を聞けば、比較としては十分です。全部の項目を追いかける必要はありません。
差が出やすいのは、地盤改良、外構、そして仕様のグレードです。この3つを確認すれば、たいていの違いは説明がつきます^^
坪単価ではなく総額でそろえる
坪単価の比較は、実はあまり意味がありません。
本体工事費を延床面積で割る会社と、施工面積で割る会社があります。施工面積にはポーチや玄関の土間、場合によっては小屋裏収納まで入るので、分母が大きくなって坪単価は安く見えます。
分子のほうも会社ごとに違います。給排水の引き込み工事を含む会社と含まない会社。照明とカーテンを含む会社と含まない会社。
分母も分子も違う数字を並べても、意味のある比較にはなりません。
そろえる方法はかんたんで、各社に同じ質問をするだけです。「住み始めるまでに必要な金額の合計を出してください」と伝える。
この一言で、比べられる数字が返ってきます。答えにくそうにする会社があれば、それも判断材料のひとつです。
総額をさらに延床で割ってみると面白いです。総額3200万円で30坪なら、住み始めるまでにかかる金額は坪あたり107万円。この数字なら会社をまたいで比べられます。
広告の坪単価が坪65万円の会社でも、総額で割り戻すと坪100万円を超えることは普通にあります。差が大きいほど、本体の外側に何が乗っているのかを確認する価値があります。
標準仕様をそろえる
もうひとつ、金額の意味を知るために必要な作業があります。
そろえる項目を決めておくと軽くなります。窓のサッシとガラス、断熱材の種類と厚み、キッチンと浴室のグレード、床材、屋根材、外壁材。この7つです。
各社に同じ仕様で見積もりを出してもらうと、価格差が縮まることがあります。逆に、そろえても差が残るなら、そこには保証や施工の体制といった別の理由があります。
僕が3社を並べたとき、いちばん高い会社の断熱等級がいちばん低いという結果になりました。金額の差は保証と展示場の維持費だったんですよね。仕様書を並べるまで、それが分かりませんでした。
手間はかかりますが、ここをやらないと金額を比べられません。地味ですが、いちばん確実な方法です。
そろえるときは、上の仕様に合わせるのがおすすめです。A社が樹脂サッシ、B社がアルミ樹脂複合なら、B社に樹脂サッシで出し直してもらう。
下に合わせると、性能の低い前提で比べることになります。実際に建てたい仕様で比べないと、判断の材料になりません。
一式と書かれた項目に注意する
見積書を読むときに見ておきたいのが、項目の細かさです。
「本体工事一式」とだけ書かれていると、何が含まれているのか確認のしようがありません。あとから範囲が変わることがあります。
項目が細かく分かれているほうが、比べるときに役立ちます。細かいから高いということではなく、何にいくらかかっているかが見えるぶん、削れるところも分かるんですよね。
数量と単価に分かれている見積書なら、さらに読みやすくなります。「この形式で出してもらえますか?」と頼んでみてください。丁寧な会社なら対応してくれます。
とくに地盤改良は、調査するまで金額が確定しません。仮の金額で入っているのか、まったく入っていないのか。ここは必ず確認してください。平屋は建築面積が広いぶん、改良の範囲も広くなります。
契約前に確認しておく基準
- 工事の範囲と含まれていない作業を、一覧で出してもらっておきたい
- 追加が発生する条件と、そのときの概算金額を先に決めておきたい
- 着工から引き渡しまでの期間と、延びたときの取り扱いを確認する
- 建物と設備それぞれの保証期間と、点検の周期を書面でもらう
会社を決めたら、契約の前に確認しておくことがあります。
ここを飛ばすと、着工後に「聞いていない」という話になります。時間はかかりますが、丁寧にやっておく価値がある部分です。
工事の範囲を一覧でもらう
いちばん大事なのが、含まれていないものの一覧です。
含まれているものは見積書に書いてありますが、含まれていないものは書かれていません。だから聞かないと分からないんですよね。
「この見積もりに含まれていない工事を教えてください」と伝えると、一覧を出してもらえます。
よくあるのが、外構、カーテン、照明、エアコン、網戸、物置。それぞれ数万円から200万円まで幅があります。
これを足した金額が、実際に必要な総額です。契約の前に、そこまで出しておいてください。
網戸や物置のような小さなものも、積み上げると数十万円になります。「これは含まれていますか?」と1つずつ聞くのは大変なので、一覧でもらうのがいちばん早いです。
丁寧な会社なら、こちらが言わなくても最初から出してくれます。その対応そのものが、選ぶときの材料になるんですよね。
追加が出る条件を決めておく
工事が始まってから追加が出ることは、珍しくありません。
大事なのは、追加が出るかどうかではなく、出たときにどう扱うかを先に決めておくことです。
- 追加が発生しそうな箇所と、その場合の概算金額の目安
- 追加をするかどうかを、誰がどの時点で判断するかの取り決め
- 判断のために現地を一緒に見る機会の有無
- 追加分の見積もりを書面で出してもらえるかの確認
この4点を契約前に確認して、口頭ではなく文字で残しておきます。
地盤改良がいちばん典型的な例です。調査するまで金額が出ないので、幅を持たせた説明をしてくれる会社は信頼できます。
「もし改良が必要なら、だいたい80万円から150万円くらい追加になります」と先に言ってくれるかどうか。ここで会社の姿勢が分かります。
逆に、追加の可能性にまったく触れない会社は要注意です。あとから出たときに、話が違うという状態になります。平屋は建築面積が広いぶん、改良の範囲も広くなる点は伝えておいてください。
期間と延びたときの扱い
工期についても、決めておくことがあります。
着工から引き渡しまでの期間。平屋なら4か月から6か月が一般的です。契約から着工までは、規格プランで2か月から3か月、自由設計で4か月から6か月。
天候や資材の入荷で延びることがあります。そのときにどう連絡が来るのか、仮住まいの費用はどうなるのか。ここを先に決めておくと安心です。
子どもの入学に合わせたい、今の賃貸の更新に合わせたい。こういう希望があるなら、最初に伝えておいてください。逆算して工程を組んでもらえます。
逆算の目安を書いておきます。土地から探す場合、情報を集め始めてから引き渡しまで1年から1年半。土地がある場合でも1年前後は見ておいてください。
急ぐと、終盤の打ち合わせが雑になります。コンセントの位置や収納の中身は、打ち合わせの最後のほうで決めることが多い。そこを時間に追われて決めると、住み始めてから引っかかるんですよね^^;
保証と点検を書面でもらう
最後に、建てたあとの話です。
法律で定められた保証は、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防ぐ部分について10年間。これはどの会社でも同じです。
そのうえで、独自の保証があるかどうか。あるなら、延長の条件と点検の周期、そしてその費用まで確認しておきます。
設備の保証はメーカーが出すもので、どこに頼んでも同じです。ところが工事の保証は会社ごとに違います。1年のところもあれば、5年や10年のところもあります。
これらを口頭ではなく、書面かメールで残してもらってください。担当者が変わったときに、言った言わないにならずに済みます。
丁寧な会社ほど、こちらが言わなくても文書で出してくれます。その対応そのものが、選ぶときの材料になるんですよね^^
まとめ:平屋の工務店選びは、条件をそろえるところから
平屋をどこに頼むかは、金額だけでは決まりません。地域の工務店なら坪60万円から80万円で30坪、大手ハウスメーカーなら坪80万円から120万円で25坪。同じ予算で5坪の差が出ますが、その差には展示場の維持費や広告費、そして保証の体制が含まれています。何にお金を払うかの違いなんですよね。判断するなら、耐震等級と断熱等性能等級という共通の物差しで比べる。数字なので、会社の規模に関係なく並べられます。
僕は最初、大手だけを見ていました。テレビCMで名前を知っている会社のほうが安心だと思っていたんです。3社目に地元の工務店を入れたのは、正直なところ数合わせのつもりでした^^; ところが提案を見たら、いちばん考えて作られていた。土地の資料を見た瞬間に「この一帯は改良が要ることが多いですね」と言われて、近くで何棟も建てているからこその言葉だなと思いました。並べてみないと分からないことって、本当にあります。
一社だけで決めなくて大丈夫です。複数社の提案を取り寄せて、納得できるものを選べます。
- 地域の工務店は坪60万円から80万円、大手は80万円から120万円
- 同じ予算で工務店なら30坪、大手なら25坪という差が出る
- 大手の価格には展示場の維持費と広告費が含まれている
- 工務店は体制に幅があるので、棟数と現場監督の担当数を聞く
- 平屋の施工実績があるかを、最初の条件にして絞り込む
- 声をかけるのは3社から5社。性格の違う会社を混ぜる
- 条件は紙1枚にまとめて、同じものを各社に渡す
- 工法や構造は指定せず、各社が得意な形を出してもらう
- 見積書は本体・付帯・諸費用の3つに分けて読む
- 契約前に、含まれていない工事の一覧を出してもらう
提案の中身まで含めて比べられるので、金額だけの比較になりません。無料です。
【PR】タウンライフ家づくり
選ぶ側に立つと、家づくりはぐっと楽しくなる
複数の提案が手元にあると、会社に選ばれるのを待つのではなく、自分たちが選ぶ立場で話を進められます。
その余裕が、打ち合わせでの一言や、最後の決め手を軽くしてくれます。まずは比べる材料を集めるところから始めましょう。
費用はかかりません。
