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平屋を年収700万で建てる|余裕があるときこそ線を引く

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ノブです。築20年台の戸建てに住んでいます。

終の住処を1階建てにするか、2年かけて調べました。その途中で、同じくらいの収入で検討している方の相談に何度か乗りました。

この帯で多いのは、選べるがゆえの悩みです。上の帯の会社も候補に入るので、どこで線を引くかが難しくなります。

数字の話をします。住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、注文住宅の平均所要資金が4,262万円、土地付注文住宅が5,313万円でした。前年度より上がっています。

建設物価調査会の建築費指数でも、2026年3月時点の木造住宅は前年同月比でプラス5.9%でした。同じ広さでも、去年より必要な金額が動いています。

選べる幅が広いときほど、自分で線を引く必要があります。この記事は、その線の引き方の話です。

相談に乗った方の1人は、事前の審査で5,000万円という数字を見せられました。その瞬間、検討していた会社の帯が一段上がったんです。

ただ、月々に直すと14万円台でした。そこに毎年の税と手入れの積み立てを足すと、月17万円ほどになります。この数字を見せたとき、その方は「これは違うな」と言いました。

この記事のポイント
  • 選べる幅が広いときほど自分で線を引く必要がある
  • 敷地に回すか建物に回すかで結果が変わってくる
  • 教育の山と返済が重なる時期を表で見ておく
  • 固定と変動の配分を先に決めておくと迷わない
  • 20年後に売る場合の見え方も考えておく

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平屋を年収700万で建てるときの組み立て

この章のポイント
  • 示される上限が大きいので線を引く判断が要る
  • 手取りに直してから割合で置くと現実に近づく
  • 返済のほかに毎年かかるものを先に引いておく
  • 紙1枚に数字を並べるところから準備を始める

この帯の収入だと、金融機関が示す上限がかなり大きく出ます。その数字を見た瞬間に、検討の対象が変わってしまうことがあります。

相談に乗った方も、そうでした。5,000万円という数字を見て、それまで見ていた中間の帯から上の帯に目が移ったんです。

その数字は、年収に対する返済の割合で機械的に計算されたものです。暮らしの事情は入っていません。この章では、その置き換え方を書きます。

示される上限が大きいので、線を引く判断が要る

金融機関は、年収に対する返済の割合で上限を決めます。この割合は年収の帯によって変わり、収入が多いほど割合も上がることがあります。

だから、この帯では上限がかなり大きく出ます。

相談に乗った方の場合、5,000万円という数字でした。返済期間35年での計算です。

月々に直すと14万円台になります。そこに毎年の税と手入れの積み立てを足すと、月17万円ほどです。

手取りが月45万円だとすると、住居に4割弱を使うことになります。

この割合で35年続けるのは、正直きついと思いました。

上限は貸す側から見た限界であって、暮らす側から見た限界ではありません。

だから、上限の7割程度で組むことを勧めました。この帯では、余裕があるぶん割合を下げやすくなります。

7割なら3,500万円です。月々は10万円ほどになります。

この金額なら、教育にも老後にも回せます。

結果として、その方は3,600万円で組みました。

1,400万円下げたことで、選ぶ会社の帯も戻りました。

手取りに直してから割合で置くと、現実に近づく

年収の額面と、実際に振り込まれる額は違います。税と社会保険料が引かれるので、手取りは額面の7割から8割になります。

この帯の収入だと、引かれる割合も上がります。だから、額面で計算するとずれが大きくなります。

手取りの2割前後が、無理のない目安としてよく語られる水準です。

手取りが月45万円なら、9万円前後ということになります。

ただ、この帯では他の支出も大きくなりがちです。教育、車、保険、通信。

だから、住居だけを見ずに全体で確かめます。

固定的な支出を全部書き出して、手取りに対する割合に直します。

住居が2割、教育が1割5分、車が1割、保険が5分。このように並べます。

割合にすると、どこが重いかが一目で分かります。

相談に乗った方の場合、書き出したら固定的な支出が手取りの6割を超えていました。

そこから住居の割合を決めると、現実的な数字になりました。

返済のほかに、毎年かかるものを先に引いておく

持ち家になると、毎年かかるものが3つ増えます。

建物と敷地にかかる税、火災と地震の保険料、手入れのための積み立て。

この帯の収入で建てる規模だと、税は年に15万円から25万円という帯になります。

保険料は、まとめて長期で契約すると割安になります。年あたりに直して6万円から8万円ほどです。

積み立ては、10年後の外壁と屋根の工事に備えるものです。規模が大きいぶん、月1万5千円は見ておきます。

この3つを月に直すと、3万円から4万円になります。

返済10万円なら、住居にかかるお金は月13万円から14万円です。

だから、返済だけを家賃と比べても意味がありません。

3つを足した数字で比べます。

市の税務課に電話すれば、自分の場合の目安を計算してもらえます。建てる場所と規模を伝えるだけです。

先に引いておけば、あとで苦しくなりません。

この帯の収入では、金額が大きいぶん3つの重さも増します。

紙1枚に数字を並べるところから、準備を始める

準備は、紙1枚で足ります。書くのは4つの数字だけです。

今の家賃と管理費の合計、毎月払える上限、手元に残しておきたい現金、今ある貯蓄。

手元に残す現金は、生活費の半年分を目安にします。月の支出が40万円なら240万円です。

この帯の収入だと、貯蓄もそれなりにある場合が多くなります。

ただ、全部を入れると住み始めてから動けなくなります。

引き渡しから半年で、カーテンや照明やエアコンや家具で100万円台が出ていきます。

だから、その分も残しておきます。

4つの数字が並んだら、そこから総額の枠が出ます。この計算に10分もかかりません。

紙は、家族と一緒に作ります。1人で作って見せると、賛成か反対かの話になります。

一緒に作れば、決めるのも2人になります。

この帯の収入では、選べる幅が広いぶん揺れやすくなります。

だからこそ、書いた数字が効いてきます。

上の帯の会社も候補に入る

この章のポイント
  • 坪あたりの金額には大きく分けて3つの帯がある
  • 上の帯は保証と仕様の水準が高く設定されている
  • 帯をまたいで比べても判断の材料にならない
  • 先に帯を1つに絞ってから3社を選んでいく
  • 展示場の建物は上位の仕様が入っていることが多い

この帯の収入だと、上の帯の会社も現実的な候補になります。ただ、そこで比べ方を間違えると決められなくなります。

相談に乗った方は、6社を回っていました。上の帯が3社、中間の帯が3社です。どれも良く見えて、半年決められませんでした。

含まれているものが違いすぎたからです。この章では、その整理の仕方を書きます。

坪あたりの金額には、大きく3つの帯がある

金額を抑えた帯は、坪50万円台から60万円台。用意された図面から選ぶ形が中心になります。

中間の帯は、坪70万円台から80万円台あたり。ある程度の自由設計に対応しながら、金額も抑えている形です。

上の帯は、坪90万円を超えます。大手と呼ばれる会社の多くがこの帯にいます。

35坪で建てた場合、上の帯だと本体で3,000万円から4,500万円という水準になります。

この帯の収入なら、条件によっては届きます。

ただ、届くことと選ぶことは別です。

届くから選ぶのではなく、中身を見て選びます。

帯を確かめるには、実例の金額を延床で割ってみます。

その数字が近ければ同じ帯、大きく離れていれば別の帯です。

資料を取り寄せた段階で、この計算をしておきます。

計算に5分もかかりません。

この5分の計算で、比べる相手が決まりました。

上の帯は、保証と仕様の水準が高く設定されている

上の帯の会社は、保証の期間が長く設定されていることが多くなります。

初期の保証が長い会社や、点検の体制を組織として持っている会社が多い印象です。

建てたあとの30年を考えると、この部分に価値を感じる人もいます。

それから、部材そのものの水準も上がります。外壁の素材、断熱の仕様、窓の性能。

こういった部分が標準で上になります。

だから、金額が高いというより、含まれているものが多いという見方もできます。

ただし、その全部が自分に必要とは限りません。

だから、標準仕様の一覧をもらって、自分が要るものに印を付けます。

印の付いた項目が、その帯を選ぶ理由になります。

印が少なければ、中間の帯で足りるということです。

相談に乗った方は、この作業をして中間の帯に戻りました。

上の帯の標準仕様のうち、必要だと思った項目が3つしかなかったからです。

帯をまたいで比べても、判断の材料にならない

坪50万円台の会社と坪100万円の会社を並べても、比べられません。

含まれているものが違いすぎるからです。

金額の差には理由があって、その理由を並べても意味がありません。

比べるなら、同じ帯の中で比べます。

相談に乗った方は、6社を金額順に並べていました。

その並べ方では、いつまでも決められませんでした。

帯を揃えて並べ直したら、比べられるようになりました。

比較というのは、条件を揃える作業のことです。

揃えるまでが手間で、揃えてしまえば答えは出ます。

この作業に必要なのは、電卓と20分だけでした。

それだけで、半年の迷いが終わりました。

やり方を知らなかっただけだったわけです。

並べるときは、延床も一緒に書きます。

金額だけを並べても、広さが違えば比べられません。

金額と延床をセットにして、坪あたりに直す。この一手間で土俵がそろいました。

先に帯を1つに絞ってから、3社を選んでいく

帯を決めたら、その中から3社を選びます。

3社あれば、真ん中が見えます。真ん中が見えると、自分の位置が分かります。

5社を超えると、日程の調整だけで土日が埋まります。

しかも、読む書面も5枚になります。5枚を比べる作業は、3枚より格段に大変です。

3枚なら、机に並べて一目で見渡せます。

だから、3社に絞ります。

足りなければ、あとから1社追加すればいいだけです。

そのときには、何が合わなかったのかが分かっています。

だから、追加する会社の探し方も具体的になります。

最初にまとめて6社に声をかけるより、効率が良くなります。

相談に乗った方も、3社に絞ってから3週間で決まりました。

絞る作業が、いちばん判断を早くしました。

3社を選ぶときは、性格の違う会社を混ぜます。

全国展開の会社、地域の会社、その中間。この3つだと視野が広がります。

同じ性格の会社を3社並べても、比べる意味が薄くなりました。

展示場の建物は、上位の仕様が入っていることが多い

展示場の建物は、宣伝のために作られています。だから、仕様は上位のものが入っていることがほとんどです。

広さも、実際に建てる家より大きく作ってあります。天井も高く、廊下も広く取ってあります。

この帯の収入だと、展示場の建物が現実的に見えてしまうことがあります。

ところが、実際に建てる規模とは違うことがほとんどです。

まず「この建物は何坪ですか?」と聞きます。

答えを聞いて、自分の予定の坪数と比べると、見え方が補正されます。

それから「この中で、標準ではない部分はどこですか?」とも聞きます。

答えを聞くと、標準の姿が想像できるようになります。

相談に乗った方が見た棟は、52坪と58坪でした。

予定していた34坪とは、そもそも別のものを見ていたわけです。

この補正をかけてから写真を見返すと、印象がだいぶ落ち着きます。

展示場は、仕様の上限を知る場所として使うのがちょうどいいです。

敷地に回すか建物に回すかで結果が変わる

この章のポイント
  • 総額の枠を先に置いてから2つに割り振っていく
  • 1階建ては同じ延床でも広い敷地が必要になる
  • 立地を取るか住み心地を取るかは暮らし方で決まる
  • 決めた配分は紙に書いて家族と共有しておく

この帯の収入で敷地から探す場合、配分の判断が結果を大きく左右します。

相談に乗った方は、駅から徒歩8分の区画を見つけて気持ちが動いていました。ところがその区画を買うと、建物にかけられる額が想定より800万円少なくなる計算でした。

800万円あれば、仕様がかなり変わります。この章では、その判断の並べ方を書きます。

総額の枠を先に置いてから、2つに割り振っていく

敷地から探す場合、決めることが2つに増えます。どこに買うかと、何を建てるかの2つです。

この2つは同時に決まらないので、どちらかが先になります。

先に決めたほうが優先されて、あとから決めるほうが残りで決まります。

だから、総額の枠を先に置いて、そこから2つに割り振ります。

敷地に2,000万円、建物に2,800万円。このように数字を置いてから探し始めます。

置いた数字は、あとで動かしても構いません。動かすときに、意識して動かせることが大事です。

知らないうちに動いているのと、決めて動かすのとでは、結果がまるで違います。

紙に書いておけば、動いたときに気づけます。

相談に乗った方は、この紙を作っていませんでした。

だから、区画を見て気持ちが動いたときに、比べる相手がなかったんです。

紙を作ってから見直したら、判断が変わりました。

数字が目に見える場所にあると、揺れにくくなります。

1階建ては同じ延床でも、広い敷地が必要になる

延床34坪の2階建てなら、地面を覆うのは17坪ぶんで済みます。ところが1階建ては、34坪を全部1階に置きます。

そこに玄関のポーチや軒の出も加わります。さらに、駐車場と隣地との距離が必要です。

だから、敷地は70坪から90坪あるとゆとりが出ます。

2階建てなら、45坪台の敷地でも同じ延床が置けます。

この差は、敷地の価格にそのまま効いてきます。

坪単価30万円の地域なら、25坪の差で750万円です。

この帯の収入でも、750万円は建物の仕様をかなり動かせる金額です。

だから、1階建てを選ぶ場合は敷地の予算も見直します。

建ぺい率の上限も確かめます。建ぺい率50%の70坪なら、地面を覆えるのは35坪までです。

不動産会社の方に「この区画の建ぺい率はいくつですか?」と最初に聞くだけです。

数字が合わない区画は、その時点で候補から外せます。

見に行く前に分かれば、時間の節約になります。

立地を取るか住み心地を取るかは、暮らし方で決まる

敷地に多く配分すると、条件の良い区画が選べます。駅から近い、日当たりが良い、周りの環境が良い。

これらは、あとから変えられない条件です。

逆に、建物に多く配分すると、断熱も広さも設備も上げられます。住み心地は、そのまま毎日の暮らしに効きます。

どちらを取るかは、暮らし方で決まります。

1日のうち家にいる時間が長いなら、建物に寄せる意味が大きくなります。

外に出ている時間が長いなら、立地に寄せる意味が大きくなります。

だから、1週間の過ごし方を紙に書いてみます。

平日の朝から夜まで、休日の朝から夜まで。どこで何をしているかを書き出します。

相談に乗った方は、週に3日が在宅でした。

書き出してみて、家にいる時間が想像より長いことに気づいたそうです。

その結果、建物のほうに寄せる判断になりました。

駅から8分の区画はあきらめて、15分の区画にしました。

決めた配分は、紙に書いて家族と共有しておく

配分が決まったら、紙に書いて共有します。

敷地にいくら、建物にいくら。この2つの数字を大きく書くだけです。

この紙があると、区画を見に行ったときの判断が早くなります。

枠を超えている区画は、その場で候補から外せます。

迷う時間が減るのが、いちばん大きい効果でした。

それから、不動産会社に渡すこともできます。

枠が明確だと、その範囲の情報だけが届きます。

伝えないと、幅広い情報が届いて選べなくなります。

この帯の収入だと、届く情報の幅が広くなりがちです。

だから、枠を伝えることが特に効きます。

紙は冷蔵庫に貼っておくと、家族全員が見られます。

頭の中に置いておくと、良い区画を見たときに揺れます。

敷地と建物の両方の目安は、条件を伝えれば無料で試算してもらえます。

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木のテーブルに置かれた、小さな白い家の模型と、家の鍵がひとつ

借りすぎないための線を先に引いておく

この章のポイント
  • 上限の7割程度に置くと余白がしっかり残る
  • 完済する年齢から逆算して期間を決めておく
  • 手元の現金を厚めに残す判断も選べるようになる
  • 老後に回す分も毎月の計算に先に入れておく

この帯の収入では、借りようと思えばかなり借りられます。だからこそ、自分で線を引く必要があります。

相談に乗った方は、5,000万円という上限を見て一度気持ちが動きました。ところが月々に直して、そこに毎年の3つを足したら、月17万円という数字が出ました。

数字にすると、判断が戻ってきます。この章では、その線の引き方を書きます。

上限の7割程度に置くと、余白がしっかり残る

上限まで借りると、余白がなくなります。

余白がないと、想定外の出費に対応できません。

この帯の収入だと、上限が大きいぶん余白も大きく取れます。

だから、7割程度に置くことを勧めています。

上限5,000万円なら、3,500万円です。3割の余白が残ります。

この余白は、教育にも老後にも回せます。

それに、収入が下がったときの緩衝材にもなります。

この帯の収入は、役職や業績で変動することもあります。

下がった年でも払える形にしておくと、安心して続けられます。

相談に乗った方は、3,600万円で組みました。

1,400万円下げたことで、選ぶ会社の帯も戻りました。

結果として、無理のない形に落ち着いたそうです。

7割という数字に、根拠があるわけではありません。

ただ、3割の余白があると気持ちが落ち着きます。

数字の最適だけを追うと、この部分が抜け落ちます。

完済する年齢から逆算して、期間を決めておく

今45歳で35年組むと、完済は80歳になります。

定年後も払い続ける形です。年金だけで払えるかどうかを、先に考えておきます。

この帯の収入なら、退職までに繰り上げる余地があります。

年に30万円でも、20年で600万円になります。

ただし、退職金を当てにする計画は慎重に考えます。

金額が読めませんし、他に使う予定が出ることもあります。

当てにしない前提で組んでおいて、あれば繰り上げに回す。この順番が安全でした。

相談に乗った方は、65歳完済を目標にしました。

そこから逆算して、期間を30年にして繰り上げの計画を組みました。

できない年があってもいいように、義務にはしていません。

目標として持っておくくらいが、続けやすい形でした。

年に1回、家計を見直すタイミングで確かめます。

手元の現金を厚めに残す判断も、選べるようになる

この帯の収入だと、貯蓄もそれなりにある場合が多くなります。

全部を入れれば借入は減りますし、利息も減ります。

ただ、手元が薄くなると住み始めてから動けなくなります。

引き渡しから半年で、カーテンや照明やエアコンや家具で100万円台が出ていきます。

それに加えて、生活費の半年分は残しておきます。

月の支出が40万円なら240万円です。

合わせて350万円から400万円は残す計算になります。

この帯の収入なら、残しても借入が過大にならない範囲で収まることが多いです。

だから、厚めに残す判断が取りやすくなります。

残した現金は、教育や老後にも回せます。

利息の差より、動ける余地のほうが価値がある場面もありました。

この判断は、家族と合意してから決めます。

残す額は、紙に書いて共有しておきます。

口頭で決めると、あとで解釈が食い違います。

金額と、何のために残すのかを1行ずつ書くだけでした。

老後に回す分を、毎月の計算に入れておく

この帯の収入で見落としやすいのが、老後の備えです。

住居に多く回すと、そのぶん老後に回す分が減ります。

ところが、老後の備えは早く始めるほど有利になります。

だから、住居を決めるときに老後の分も先に引いておきます。

手取りの1割を老後に回すと決めれば、住居に使えるのは残りからになります。

この順番だと、住居の枠は小さくなります。

ただ、20年後30年後の安心につながります。

相談に乗った方は、手取りの1割を老後に回す形にしました。

そのぶん住居の枠が下がりましたが、納得して決めたそうです。

住居だけを見て決めると、この視点が抜けます。

家計は全体でひとつなので、全部を並べてから決めます。

並べる作業に1時間かかりましたが、その1時間で全体が見えました。

教育の山と重なる時期を表で見ておく

この章のポイント
  • 横に年を縦に支出を書いた表を作ると山が見える
  • 進路によって金額が大きく変わることがある
  • 車の買い替えも同じ時期に重なることがある
  • 山が来る前は繰り上げより積み立てを優先する

返済は30年以上続きます。その間に、子どもの進学の時期が来ます。

この帯の収入だと、進路の選択肢も広がります。そのぶん、金額の幅も広がります。

だから、重なりを先に見ておきます。この章では、その見方を書きます。

横に年を縦に支出を書いた表を作ると、山が見える

作り方は単純です。横軸に年、縦軸に支出の項目を書きます。

項目は、返済、教育、車、手入れの積み立て、老後の備え。この5つで足ります。

返済は毎年同じ額なので、横一列に同じ数字が並びます。

教育は、子どもの年齢に合わせて入れていきます。

車は、買い替えの予定年に入れます。

手入れの積み立ては、10年目と20年目あたりに大きな数字が入ります。

これを30年ぶん並べると、山がどこに来るかが分かります。

相談に乗った方の場合、6年後と9年後に山がありました。

上の子と下の子の進学が、車の買い替えと重なっていました。

この山を知ってから、そこに向けた積み立てを始めました。

表を作るのは1時間で済みます。手書きでも構いません。

大事なのは、山が見えることです。

作った表は、毎年見直します。

子どもの進路が決まれば、そこの数字が確定します。

確定した数字に置き換えていくと、先の見通しが年々はっきりしてきました。

進路によって、金額が大きく変わることがある

教育にかかるお金は、進路の選択で大きく変わります。

公的な調査で、学習にかかる費用の目安が公開されています。自分で数字を作らなくても、参考として使えます。

公立か私立か、自宅から通うか離れるか。この2つで金額がかなり変わります。

この帯の収入だと、私立や自宅外という選択肢も現実的になります。

だから、いちばん重い想定でも計算しておきます。

重い想定でも成り立つなら、安心して進められます。

成り立たないなら、そのときにどうするかを先に考えます。

相談に乗った方は、2人とも自宅外の私立という想定で計算しました。

その条件だと、住居の枠を下げる必要が出てきました。

子どもの進路は、親が決められるものではありません。

だから、どちらでも成り立つ形にしておきます。

この判断が、あとから効いてきます。

車の買い替えも、同じ時期に重なることがある

1階建てを建てる地域は、車が必要なことが多くなります。

この帯の収入だと、2台という家庭も珍しくありません。

車は10年前後で買い替えの時期が来ます。1台200万円から300万円という金額です。

2台なら、その2倍です。

この支出が、進学の時期と重なることがあります。

だから、表に入れておきます。

入れておけば、買い替えの時期を1年ずらすという判断もできます。

相談に乗った方は、車の買い替えを2年先送りする計画にしました。

その2年で、進学の山を越えられる見込みが立ちました。

維持費も忘れずに入れておきます。税、保険、車検、燃料で1台あたり月2万円前後です。

買い替えの金額だけでなく、持ち続ける費用も表に入れます。

2台なら、それだけで月4万円前後になります。

台数を減らせるかどうかも、地域の選択で変わります。

駅に近ければ1台で足りることもあります。

敷地の価格と車の維持費を、30年の合計で並べて比べます。

山の前は、繰り上げより積み立てを優先する

繰り上げは、いつやってもいいわけではありません。

教育の山が来る時期は、そちらを優先します。

子どもの進学は、待ってくれないからです。

だから、山の位置を先に見ておきます。

山の前は、繰り上げより積み立てを優先します。

山を越えてから、繰り上げを再開します。

相談に乗った方の場合、6年後と9年後に山がありました。

だから、最初の10年は積み立てを優先する計画にしました。

11年目以降に、繰り上げを本格的に始める形です。

この順番なら、どちらも無理なく進みます。

順番を決めておくと、毎年の判断が早くなります。

迷う時間が減るのが、いちばん大きい効果でした。

固定と変動の配分を先に決めておく

この章のポイント
  • それぞれに性質が違うので使い分ける余地がある
  • 組み合わせる形なら影響を半分にできることがある
  • 上がった場合の表を作っておくと落ち着ける
  • 金融機関は3行に当たると条件の幅が見える

借入の額が大きくなるほど、1%の差が効いてきます。この帯の収入では、その影響も大きくなります。

3,600万円の借入なら、1%上がると年に36万円ほど増える計算です。月に直すと3万円になります。

だから、配分を先に決めておきます。この章では、その決め方を書きます。

それぞれに性質が違うので、使い分ける余地がある

固定は、期間中ずっと変わりません。そのかわり、最初の水準は高めです。

変動は、最初の水準が低めです。そのかわり、上がる可能性があります。

どちらが有利かは、将来のことなので誰にも分かりません。

だから、どちらかに賭けるのではなく、性質で選びます。

返済の額が読めることに価値があるなら、固定です。

今の低い水準を活かしたいなら、変動です。

この帯の収入だと、上がっても払える余地があります。

だから、変動を選ぶ余地も大きくなります。

ただ、額が大きいぶん上がったときの金額も大きくなります。

3万円の増加を許容できるかどうかで判断します。

許容できるなら変動、できないなら固定。この基準で決められます。

感覚ではなく、金額で判断できる形にしておきます。

それから、途中で切り替えられるかも聞いておきます。

変動から固定に変えられる先もあります。

切り替えの条件と費用を先に確かめておくと、選択肢が残ります。

組み合わせる形なら、影響を半分にできることがある

固定と変動を組み合わせる形もあります。

半分ずつにすれば、上がったときの影響も半分になります。

3,600万円のうち1,800万円を固定、1,800万円を変動。このような分け方です。

1%上がっても、増えるのは年18万円ほどになります。

月に直すと1万5千円です。この金額なら、多くの家庭で吸収できます。

扱っていない金融機関もあるので、相談のときに聞いておきます。

相談に乗った方は、この形を選びました。

全部を固定にすると毎月が重くなり、全部を変動にすると不安が残る。その真ん中を取ったわけです。

選択肢として知っておくと、判断の幅が広がります。

比率も、半分ずつでなくて構いません。

7対3、6対4といった分け方もできます。

自分がどこまで許容できるかで決めます。

比率を決めるときは、上がった場合の金額で考えます。

月いくらまでなら吸収できるか。そこから逆算します。

感覚で半々にするより、数字から決めるほうが納得できました。

上がった場合の表を作っておくと、落ち着ける

変動を含む場合、上がったときの表を作っておきます。

今の水準、プラス1%、プラス2%。この3つです。

プラス2%でも成り立つなら、安心して選べます。

成り立たないなら、借入額を減らすか固定の比率を上げます。

表を作っておくと、実際に上がったときに慌てません。

想定の範囲だと分かっていれば、落ち着いて対応できます。

想定していないと、数字を見て動揺します。

相談に乗った方は、この表を作ってから配分を決めました。

プラス2%で月4万円増える計算でしたが、その分は吸収できると判断したそうです。

厳しいほうの数字を見ておくと、判断が保守的になります。

30年の話なので、保守的なくらいでちょうどよかったです。

表は、年に1回の見直しのときにも使えます。

実際に上がったときは、繰り上げで元金を減らす手もあります。

元金が減れば、同じ水準でも返済額は下がります。

だから、繰り上げ用の資金を少し残しておくと動けます。

金融機関は3行に当たると、条件の幅が見える

同じ条件でも、水準も手数料も行によって違います。

だから、1行だけで決めないほうがいいです。

3行に当たると、条件の幅が見えます。

0.3%の差でも、3,600万円を30年で借りれば数百万円の違いになります。

それから、手数料の形も違います。定額の行と、借入額の何%という行があります。

額が大きいほど、この差も大きくなります。

だから、金利だけでなく手数料も含めた総額で比べます。

相談に乗った方は、3行に同じ条件で試算を頼みました。

金利がいちばん低い行が、手数料を含めると2番目になりました。

総額で比べないと、判断を間違えます。

比べるときは、30年の合計で並べます。

この作業に2時間かかりましたが、数百万円の差でした。

20年後に売る場合の見え方も考えておく

この章のポイント
  • ずっと住む前提でも出口を考えておく意味がある
  • 手入れの記録が残っていると説明の材料になる
  • 1階建ては年を重ねてからの暮らしやすさが強み
  • 敷地の条件は建物より長く価値が残りやすい

建てるときに、売る話をするのは気が引けます。ただ、考えておくことには意味があります。

相談に乗った方は、この話をすると最初は嫌そうでした。せっかく建てるのに、なぜ売る話をするのかと。

ただ、20年後に何が起きるかは分かりません。選択肢を残しておくという意味では、考えておく価値がありました。この章では、その視点を書きます。

ずっと住む前提でも、出口を考えておく意味がある

ほとんどの方は、ずっと住むつもりで建てます。それが自然です。

ただ、20年後に転勤があるかもしれません。介護で実家に戻ることになるかもしれません。

そのときに、売るという選択肢があるかどうかで身動きが変わります。

売れる家と、売りにくい家があります。

その差は、建てるときの判断でついてきます。

だから、建てるときに少しだけ考えておきます。

考えるといっても、大げさなことではありません。

あまりに特殊な間取りにしない、記録を残す、敷地の条件を確かめる。この3つくらいです。

この3つは、住み続ける場合にも役に立ちます。

だから、損にはなりません。

相談に乗った方も、話を聞いて納得してくれました。

選択肢を残すという考え方でした。

それに、この視点は建てるときの判断にも効きます。

あまりに特殊な間取りにしないという判断は、住みやすさにもつながります。

誰にとっても使いやすい形は、自分にとっても使いやすい形でした。

手入れの記録が残っていると、説明の材料になる

点検や手入れの記録が揃っている家は、状態が読めます。

いつ、どこを、どう直したのか。それが分かる家は、買う側から見て安心できます。

逆に、何も記録がない家は、開けてみないと分かりません。

その不確かさは、価格に反映されることがあります。

だから、引き渡しのときの書類をファイルしておきます。

点検のたびに報告書をもらって、同じファイルに入れます。

写真も、データで残しておきます。

僕は父の家を整理したときに、記録がまったく残っていなくて困りました。

どこをいつ直したのか、誰も分かりませんでした。

あのときの手間を、自分の家では繰り返したくないんですよね。

ファイルは玄関の収納に置いて、置き場所を家族と共有してあります。

記録は、住み続ける場合にも役に立ちます。

次に工事を頼むときにも、前回の記録があると話が早くなります。

使った材料や工法が分かれば、点検の精度も上がります。

調べる手間が減るぶん、見積もりも早く出てきました。

1階建ては、年を重ねてからの暮らしやすさが強み

1階建ての価値は、年を重ねるほど大きくなります。

階段がない、上下の移動がない、掃除が楽。

これらは、体力が落ちてから効いてきます。

だから、年配の方が探す家としての需要があります。

2階建てより、この点では選ばれやすい形です。

それに、段差を減らす設計にしておくと、その価値がさらに上がります。

玄関の上がりかまち、廊下と部屋の境、浴室の入口。

この3か所の段差を減らすだけで、暮らしやすさが変わります。

建てるときなら、追加の費用はほとんどかかりません。

あとから直すと、それぞれで工事が必要になります。

だから、設計の段階で伝えておきます。

自分が年を重ねたときにも、そのまま役に立ちます。

廊下や出入口の幅も、少し広く取っておくと効いてきます。

将来、手すりを付けたり車いすを使ったりする場面を想像します。

建てるときなら、数センチ広げるのに大きな費用はかかりませんでした。

敷地の条件は、建物より長く価値が残りやすい

建物は、年数とともに評価が下がります。

敷地は、周辺の状況が変わらなければ大きくは動きません。

だから、20年後の見え方では敷地の条件が効いてきます。

駅からの距離、前面道路の幅、周りの環境。

これらは、あとから変えられない条件です。

ただし、この帯の収入でも敷地に全部を回すのは現実的ではありません。

だから、配分の判断に戻ります。

住み心地を取るのか、20年後の見え方を取るのか。ここで分かれます。

どちらを取っても構いませんが、意識して選びます。

住宅金融支援機構のフラット35利用者調査や国土交通省の建築着工統計調査を見ると、全国の水準も分かります。

自分の判断がその中でどこにあるかを知っておくと、落ち着いて決められます。

基準がひとつあると、数字の大きさに振り回されません。

まとめ:余裕があるときこそ線を引く

この帯の収入では、金融機関が示す上限がかなり大きく出ます。その数字を見ると、検討の対象が一段上がってしまうことがあります。だから、上限の7割程度に線を引く。手取りに直して割合で確かめる。毎年かかる3つを先に引く。この3つをやるだけで、数字が現実に戻ってきます。選べる幅が広いということは、自分で線を引く必要があるということでした。

相談に乗った方は、事前の審査で5,000万円という数字を見せられました。その瞬間、それまで見ていた中間の帯から上の帯に目が移ったんです。ところが月々に直して、そこに税と保険と積み立てを足したら、月17万円という数字が出ました。手取りの4割弱です。その数字を見て、その方は「これは違うな」と言いました。数字にすると、判断が戻ってきます。最終的に3,600万円で組んで、選ぶ会社の帯も元に戻りました。

まずは、示された上限を7割に掛けてみてください。そこから始めると、話が現実に近づきます。

この記事のまとめ
  • 示される上限が大きいので7割程度に線を引く
  • 返済のほかに税と保険と積み立てで月3万円から4万円
  • 上の帯も候補に入るので先に1つの帯に絞る
  • 標準仕様の一覧に印を付けると帯を選ぶ理由が見える
  • 1階建ては延床34坪なら敷地70坪から90坪が目安
  • 1週間の過ごし方を書くと配分の判断ができる
  • 教育の山は進路の想定でいちばん重い形も計算する
  • 固定と変動を組み合わせると影響を半分にできる
  • 金融機関は3行に当たって総額で比べる
  • 手入れの記録と段差の少なさが20年後に効いてくる

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