
ノブです。築20年台の戸建てに住んでいます。
終の住処を1階建てにするか、2年かけて調べました。その途中で、同じくらいの収入で検討している方の相談に何度か乗りました。
この帯で多いのは、大きく建てられるがゆえの迷いです。広さも仕様も両方取りたくなって、そこで枠を超えます。
数字の話をします。住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、注文住宅の平均所要資金が4,262万円、土地付注文住宅が5,313万円でした。前年度より上がっています。
建設物価調査会の建築費指数でも、2026年3月時点の木造住宅は前年同月比でプラス5.9%でした。同じ広さでも、去年より必要な金額が動いています。
だからこそ、大きくするより長く保てる形を選ぶという考え方が効いてきます。この記事は、その選び方の話です。
相談に乗った方の1人は、延床45坪の1階建てを考えていました。1階建てで45坪だと、地面を45坪覆います。敷地は100坪近く必要になります。
ところが、住むのは夫婦と子ども2人の4人でした。20年後には2人になります。そのとき、45坪をどう使うのか。この話をしたとき、その方は少し黙りました。
- 上限が大きいほど自分で基準を持つ必要がある
- 広さを取るか仕様を取るかで結果が変わってくる
- 教育にかかる時期の重さを先に見ておく
- 定年までに払い終える形も選べるようになる
- 建てたあとの手入れも規模に応じて増えていく
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平屋を年収800万で建てるときの考えどころ
- 示される上限が大きいので線を引く判断が要る
- 手取りに直してから割合で置くと現実に近づく
- 返済のほかに毎年かかるものが規模で増えていく
- 紙1枚に数字を並べるところから準備を始める
この帯の収入だと、金融機関が示す上限が5,000万円を超えることも珍しくありません。だから、その数字をどう扱うかが最初の分かれ目になります。
相談に乗った方は、上限を見て一気に構想が広がりました。延床45坪、敷地100坪、上の帯の会社。すべてが現実的に見えたそうです。
ところが、20年後の使い方の話をしたら、判断が変わりました。この章では、その考えどころを書きます。
示される上限が大きいので、線を引く判断が要る
金融機関は、年収に対する返済の割合で上限を決めます。この割合は年収の帯によって変わり、収入が多いほど割合も上がることがあります。
だから、この帯では上限がかなり大きく出ます。
相談に乗った方の場合、5,600万円という数字でした。返済期間35年での計算です。
月々に直すと16万円台になります。そこに毎年の税と手入れの積み立てを足すと、月20万円ほどです。
手取りが月50万円だとすると、住居に4割を使うことになります。
この割合で35年続けるのは、教育の時期を考えると厳しくなります。
上限は貸す側から見た限界であって、暮らす側から見た限界ではありません。
だから、上限の7割程度で組むことを勧めました。
7割なら3,900万円です。月々は11万円ほどになります。
この金額なら、教育にも老後にも回せます。
結果として、その方は4,000万円で組みました。
1,600万円下げたことで、延床も45坪から38坪に見直しました。
手取りに直してから割合で置くと、現実に近づく
年収の額面と、実際に振り込まれる額は違います。税と社会保険料が引かれるので、手取りは額面の7割から8割になります。
この帯の収入だと、引かれる割合も上がります。だから、額面で計算するとずれが大きくなります。
手取りの2割前後が、無理のない目安としてよく語られる水準です。
手取りが月50万円なら、10万円前後ということになります。
ただ、この帯では他の支出も大きくなりがちです。教育、車、保険、通信、老後の備え。
だから、住居だけを見ずに全体で確かめます。
固定的な支出を全部書き出して、手取りに対する割合に直します。
住居が2割、教育が2割、車が1割、保険が5分、老後が1割。このように並べます。
割合にすると、どこが重いかが一目で分かります。
相談に乗った方の場合、書き出したら教育の割合が想像より大きくなっていました。
2人とも私立を想定していたからです。
そこから住居の割合を決めると、現実的な数字になりました。
返済のほかに、毎年かかるものが規模で増えていく
持ち家になると、毎年かかるものが3つ増えます。
建物と敷地にかかる税、火災と地震の保険料、手入れのための積み立て。
この3つは、建物と敷地の規模に応じて増えます。
延床38坪で敷地90坪という規模だと、税は年に20万円から30万円という帯になります。
保険料は、まとめて長期で契約すると割安になります。年あたりに直して8万円から10万円ほどです。
積み立ては、規模が大きいぶん月2万円は見ておきます。屋根と外壁の面積が広いからです。
この3つを月に直すと、4万円から5万円になります。
返済11万円なら、住居にかかるお金は月15万円から16万円です。
だから、返済だけを家賃と比べても意味がありません。
市の税務課に電話すれば、自分の場合の目安を計算してもらえます。建てる場所と規模を伝えるだけです。
大きく建てるほど、この3つも大きくなります。
ここが、規模を決めるときのもうひとつの判断材料になりました。
紙1枚に数字を並べるところから、準備を始める
準備は、紙1枚で足ります。書くのは4つの数字だけです。
今の家賃と管理費の合計、毎月払える上限、手元に残しておきたい現金、今ある貯蓄。
手元に残す現金は、生活費の半年分を目安にします。月の支出が45万円なら270万円です。
この帯の収入だと、貯蓄もそれなりにある場合が多くなります。
ただ、全部を入れると住み始めてから動けなくなります。
引き渡しから半年で、カーテンや照明やエアコンや家具で200万円台が出ていくこともあります。
規模が大きいほど、この初期の支出も増えます。
4つの数字が並んだら、そこから総額の枠が出ます。この計算に10分もかかりません。
紙は、家族と一緒に作ります。1人で作って見せると、賛成か反対かの話になります。
一緒に作れば、決めるのも2人になります。
この帯の収入では、選べる幅が広いぶん揺れやすくなります。
だからこそ、書いた数字が効いてきます。
上限が大きいほど基準が要る
- 選べる会社の帯が広がるので先に1つに絞っておく
- 提案されたものを全部入れると枠を超えてしまう
- 譲れない条件を1つだけ書くと提案の軸が定まる
- 展示場の建物は上位の仕様が入っていることが多い
- 枠を先に伝えるとその中での提案が出てくる
この帯の収入だと、ほとんどの会社が候補になります。だから、絞る作業が特に重要でした。
相談に乗った方は、8社を回っていました。どれも良く見えて、8か月決められませんでした。
基準がなかったからです。この章では、その基準の作り方を書きます。
選べる会社の帯が広がるので、先に1つに絞っておく
坪あたりの金額には、大きく3つの帯があります。
金額を抑えた帯は坪50万円台から60万円台、中間の帯は坪70万円台から80万円台、上の帯は坪90万円を超えます。
この帯の収入だと、3つとも候補に入ってしまいます。
ところが、帯をまたいで比べても判断できません。含まれているものが違いすぎるからです。
だから、まず帯を1つに絞ります。
絞り方は、標準仕様の一覧に印を付ける方法です。
自分が要ると思う項目に印を付けて、その項目が標準で入っている帯を選びます。
印が多く付く帯が、自分に合う帯です。
相談に乗った方は、この作業をして上の帯を選びました。
断熱と窓と外壁の3つが、上の帯では標準だったからです。
中間の帯だと、この3つを追加で上げる必要がありました。
追加すると、結局は上の帯と同じ金額になる計算でした。
だから、最初から上の帯を選ぶほうが手間もありませんでした。
提案されたものを全部入れると、枠を超えてしまう
担当の方は、良いものを提案してくれます。それは仕事として当然のことです。
ただ、提案されたものを全部入れると、枠を超えます。
この帯の収入だと、提案の幅も広くなります。だから、超え方も大きくなります。
相談に乗った方の最初の提案は、枠を1,200万円超えていました。
そこから削る作業になって、時間がかかりました。
枠を先に伝えていれば、その手間はありませんでした。
「この金額の中で提案してください」と言うだけです。
枠を伝えると、その中での提案が出てきます。
枠を伝えたくない気持ちは分かります。
ただ、伝えないと合わない提案が届くだけなんですよね。
削る作業は、たいてい気持ちが重くなります。
最初から枠の中で提案してもらうほうが、前向きに進みました。
削るときは、あとから足せる部分から削ります。
照明、カーテン、外構、収納の棚。このあたりは住み始めてから足せます。
断熱や構造は、あとから替えるのに大きな費用がかかります。
譲れない条件を1つだけ書くと、提案の軸が定まる
希望を全部書くと、優先順位が伝わりません。
だから、譲れないものを1つだけ書きます。
相談に乗った方の場合は「家族が集まる場所を広く取りたい」でした。
この1行を書いたら、3社とも提案の中心がそこになりました。
1つに絞ると、提案の軸がはっきりします。
5つ書くと、どれも中途半端になります。
優先順位を付ける作業は、自分にとっても意味があります。
何がいちばん大事なのかを、考えることになるからです。
その方は、夫婦で話し合って1つに絞るのに2週間かかりました。
その2週間が、いちばん大事な時間だったと思います。
絞ったあとは、判断が早くなりました。
迷ったときは、その1行に戻ればいいからです。
2つ目以降の希望は、優先度を付けて別の欄に書きます。
参考として扱ってもらう形です。
この分け方をすると、提案の中心がぼやけませんでした。
紙1枚に書いて、3社とも同じものを渡します。
展示場の建物は、上位の仕様が入っていることが多い
展示場の建物は、宣伝のために作られています。だから、仕様は上位のものが入っていることがほとんどです。
広さも、実際に建てる家より大きく作ってあります。天井も高く、廊下も広く取ってあります。
この帯の収入だと、展示場の建物が現実的に見えてしまいます。
だから、そのまま建てたくなります。
ところが、展示場の規模で建てると金額も規模も想定を超えます。
まず「この建物は何坪ですか?」と聞きます。
答えを聞いて、自分の予定の坪数と比べると、見え方が補正されます。
相談に乗った方が見た棟は、55坪と62坪でした。
最終的に建てたのは38坪です。
そもそも別のものを見ていたわけです。
この補正をかけてから写真を見返すと、印象がだいぶ落ち着きます。
展示場は、仕様の上限を知る場所として使うのがちょうどいいです。
枠を先に伝えると、その中での提案が出てくる
枠を伝えるタイミングは、最初の打ち合わせがいいです。
あとから伝えると、それまでの提案を作り直してもらうことになります。
相手の時間も使いますし、こちらも待つことになります。
最初に伝えておけば、そのつもりで作ってもらえます。
伝え方は、上限と下限の両方を書きます。
下限も書くと、性能を落とした提案が減ります。
相談に乗った方は、3,800万円から4,200万円の間と伝えました。
幅を持たせたぶん、提案の中身に厚みが出ました。
それから、含まれる範囲も一緒に伝えます。
敷地の代金を含むのか、外まわりの工事を含むのか。ここも1行書いておきます。
ここが曖昧だと、同じ枠でも各社の解釈が変わってしまいます。
紙1枚に書いて渡すと、確実に伝わりました。
広さを取るか仕様を取るかで分かれる
- 1階建ては広くするほど敷地も屋根も基礎も増える
- 20年後に部屋が余る可能性を先に考えておく
- 廊下を減らすと同じ面積でも部屋が広く取れる
- 仕様に回すと毎月の支出と体感が変わってくる
この帯の収入でいちばん時間を使ったのが、この判断でした。広さと仕様の両方を取ると、枠を超えるからです。
相談に乗った方は、延床45坪を考えていました。1階建てで45坪だと、敷地は100坪近く必要になります。
ところが、住むのは4人です。20年後には2人になります。この章では、その判断の並べ方を書きます。
1階建ては広くするほど、敷地も屋根も基礎も増える
延床45坪の2階建てなら、地面を覆うのは22坪ほどです。ところが1階建ては、45坪を全部1階に置きます。
屋根も基礎も、45坪ぶん必要になります。
屋根と基礎は、建物の中でも単価の高い部分です。
だから、広くするほど1坪あたりの金額も上がりやすくなります。
それから、敷地も広く必要になります。駐車場と隣地との距離を足すと、100坪近くになります。
坪単価30万円の地域なら、敷地だけで3,000万円です。
この帯の収入でも、建物と合わせると枠を超えます。
だから、広さを決めるときは敷地の価格も一緒に計算します。
延床を7坪減らして38坪にすれば、敷地も85坪ほどで足ります。
敷地の価格が450万円下がり、建物も500万円ほど下がります。
合わせて950万円の差です。
その950万円を仕様に回すという選択もあります。
20年後に部屋が余る可能性を、先に考えておく
広さを決めるとき、今の家族の人数だけで考えると余ります。
子どもが独立すれば、部屋が空きます。
4人で45坪だと、2人になったとき1人あたり22坪です。
掃除する面積も、冷暖房にかかるお金も、そのまま残ります。
毎年の税も、規模に応じてかかり続けます。
だから、20年後の使い方を先に考えます。
空いた部屋をどう使うのか。書斎にする、趣味の部屋にする、来客用にする。
使い道があるなら、広く建てる意味はあります。
使い道が思いつかないなら、その分を仕様に回すという判断もできます。
相談に乗った方は、この話をしてから38坪に見直しました。
2人になったときにちょうどいい広さを基準にしたわけです。
子どもがいる間は少し手狭ですが、それは20年のことです。
残りの20年、30年のほうを基準にする考え方でした。
廊下を減らすと、同じ面積でも部屋が広く取れる
1階建ては、全部の部屋を1階に並べます。だから、廊下が長くなりがちです。
広く建てるほど、廊下も長くなります。
廊下は、通るためだけの床です。5坪あれば、坪90万円で450万円ぶんの床になります。
その5坪をリビングに足せば、同じ金額で広いリビングが手に入ります。
だから、廊下を減らす設計にすると、面積を抑えながら広さの感覚を保てます。
リビングを通って各部屋に入る形にすれば、廊下はほとんど要りません。
ただし、家族が顔を合わせる回数が増えるので、好みが分かれます。
思春期の子どもがいる家庭では、悩ましいところです。
僕の家では、寝室だけ短い廊下でつなぐ形にしました。
完全になくすのではなく、減らす。そのくらいがちょうどよかったです。
図面をもらったら、廊下の面積を計算してみてください。
意外と大きい面積を使っていることに気づきます。
仕様に回すと、毎月の支出と体感が変わってくる
広さを抑えたぶんを、仕様に回すという選択があります。
断熱、窓、外壁、屋根の素材。ここに回すと、毎月の支出が下がります。
1階建ては外に接する面が広いので、断熱の効き方が体感にはっきり出ます。
屋根と床の面積が延床とほぼ同じになるからです。
年に4万円違えば、30年で120万円です。
そこに、外壁と屋根の手入れの周期が延びる効果も足します。
素材のグレードを上げると、周期が15年から25年に延びることがあります。
30年で1回ぶん減れば、150万円ほどの差になります。
この2つを足すと、270万円です。
広さを7坪減らして浮いた950万円のうち、270万円ぶんは戻ってくる計算になります。
この計算をしてから、相談に乗った方は仕様に回す判断をしました。
表を作るのに2時間かかりましたが、その2時間で決まりました。
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教育にかかる時期の重さを先に見る
- この帯では進路の選択肢が広がるので幅も広がる
- 横に年を縦に支出を書いた表を作ると山が見える
- いちばん重い想定でも成り立つかを確かめておく
- 山が来る前は繰り上げより積み立てを優先する
この帯の収入では、教育の選択肢が広がります。そのぶん、金額の幅も広がります。
相談に乗った方は、2人とも私立を想定していました。自宅外という可能性もありました。
その想定で計算したら、住居の枠がかなり変わりました。この章では、その見方を書きます。
この帯では進路の選択肢が広がるので、幅も広がる
教育にかかるお金は、進路の選択で大きく変わります。
公的な調査で、学習にかかる費用の目安が公開されています。自分で数字を作らなくても、参考として使えます。
公立か私立か、自宅から通うか離れるか。この2つで金額がかなり変わります。
この帯の収入だと、私立や自宅外という選択肢が現実的になります。
ところが、その選択肢を全部想定に入れると、金額はかなり大きくなります。
2人が自宅外の私立に進むと、その期間だけで数百万円が毎年出ていきます。
この時期に住居の返済が重なると、家計がかなり厳しくなります。
だから、先に計算しておきます。
相談に乗った方の場合、上の子と下の子の在学期間が2年重なる計算でした。
その2年がいちばん重い時期になります。
そこを乗り切れる形にしておけば、あとは楽になります。
山を先に知っておくことが、この帯では特に効きました。
横に年を縦に支出を書いた表を作ると、山が見える
作り方は単純です。横軸に年、縦軸に支出の項目を書きます。
項目は、返済、教育、車、手入れの積み立て、老後の備え。この5つで足ります。
返済は毎年同じ額なので、横一列に同じ数字が並びます。
教育は、子どもの年齢に合わせて入れていきます。
車は、買い替えの予定年に入れます。この帯だと2台という家庭も多くなります。
手入れの積み立ては、10年目と20年目あたりに大きな数字が入ります。
これを30年ぶん並べると、山がどこに来るかが分かります。
相談に乗った方の場合、5年後から9年後にかけて長い山がありました。
特に7年目と8年目が、2人の在学期間が重なる時期でした。
この山を知ってから、そこに向けた積み立てを始めました。
表を作るのは1時間で済みます。手書きでも構いません。
大事なのは、山が見えることです。
いちばん重い想定でも、成り立つかを確かめておく
教育の想定は、いちばん重い形で計算しておきます。
2人とも私立、2人とも自宅外。この想定です。
重い想定でも成り立つなら、安心して進められます。
成り立たないなら、そのときにどうするかを先に考えます。
住居の枠を下げるのか、貯蓄を増やすのか、借入を使うのか。手は3つあります。
子どもの進路は、親が決められるものではありません。
だから、どちらでも成り立つ形にしておきます。
相談に乗った方は、いちばん重い想定で計算しました。
その条件だと、住居の枠を4,000万円に抑える必要がありました。
当初考えていた5,000万円台からは、大きく下がります。
ただ、その判断ができたのは計算したからです。
計算していなければ、上限近くで組んでいたはずです。
それから、進学の費用は公的な調査で目安が公開されています。
自分で数字を作らなくても、参考として使えます。
いちばん重い形と軽い形の2つで計算しておくと、幅が見えました。
山の前は、繰り上げより積み立てを優先する
繰り上げは、いつやってもいいわけではありません。
教育の山が来る時期は、そちらを優先します。
子どもの進学は、待ってくれないからです。
だから、山の位置を先に見ておきます。
山の前は、繰り上げより積み立てを優先します。
山を越えてから、繰り上げを再開します。
相談に乗った方の場合、5年後から9年後に山がありました。
だから、最初の10年は積み立てを優先する計画にしました。
11年目以降に、繰り上げを本格的に始める形です。
この順番なら、どちらも無理なく進みます。
順番を決めておくと、毎年の判断が早くなります。
迷う時間が減るのが、いちばん大きい効果でした。
手元の現金は厚めに残す判断もできる
- 全部を入れると住み始めてから動けなくなってしまう
- 規模が大きいほど初期の支出も大きくなっていく
- 収入が変動する場合は緩衝材としても効いてくる
- 残す額と理由は家族と合意してから決めておく
この帯の収入だと、貯蓄もそれなりにある場合が多くなります。だから、全部を入れるかどうかで迷います。
入れれば借入は減りますし、利息も減ります。ところが、手元が薄くなると住み始めてから動けなくなります。
この帯では、厚めに残す判断も取りやすくなります。この章では、その考え方を書きます。
全部を入れると、住み始めてから動けなくなってしまう
建物にお金を入れきると、手元が空になります。ところが、暮らしは引き渡しの日から始まります。
カーテン、照明、エアコン、家具、物干し、宅配ボックス。
これらは建物の金額に入っていないことが多い項目です。
入っていても、標準の仕様で足りないことがあります。
この帯の収入で建てる規模だと、これらの金額も大きくなります。
部屋の数が多ければ、照明もカーテンもその分だけ増えます。
エアコンも、部屋の数だけ必要になります。
相談に乗った方の場合、引き渡しから3か月で210万円が出ていきました。
この金額を借入に含めることもできますが、含めなければ現金で払います。
だから、その分は残しておきます。
目安として、200万円から250万円を見込んでおくと安心でした。
規模が大きいほど、この初期の支出も増えます。
規模が大きいほど、初期の支出も大きくなっていく
延床38坪で部屋が5つあれば、照明も5部屋ぶん要ります。
カーテンも、窓の数だけ必要です。1階建ては窓が多くなりやすい形です。
エアコンも、部屋の数だけ考えます。
それから、外まわりの工事も規模に応じて増えます。
敷地が広ければ、フェンスの長さも増えます。駐車場の面積も増えます。
この帯の収入で建てる規模だと、外まわりだけで300万円を超えることもあります。
だから、外まわりを後回しにする判断も出てきます。
ただ、生活に支障が出る部分は先にやったほうがいいです。
雨の日に泥だらけになる動線は、2年も我慢できません。
駐車場と玄関までの動線だけは先にやって、植栽とフェンスは後回し。
この線引きが、現実的でした。
後回しにする分も、金額を出してもらって表に入れておきます。
収入が変動する場合は、緩衝材としても効いてくる
この帯の収入は、役職や業績で変動することもあります。
賞与の割合が大きい場合、年によって差が出ます。
だから、手元の現金が緩衝材になります。
下がった年でも、現金があれば乗り切れます。
生活費の半年分に加えて、1年分の返済額を残しておくという考え方もあります。
返済が月11万円なら、132万円です。
この分があれば、1年間は収入が止まっても払えます。
相談に乗った方は、この考え方を取りました。
生活費の半年分270万円、初期の支出210万円、返済1年分132万円。
合計で612万円を残す計画にしました。
そのぶん借入は増えましたが、精神的にはずっと楽だったそうです。
この安心は、利息の差では買えないものだと思います。
ただし、残しすぎると借入が過大になります。
だから、目的のある分だけを残します。
目的を書いておけば、必要以上に残すことも防げました。
残す額は、家族と合意してから決めておく
残す額は、1人で決めないほうがいいです。
片方が「もっと入れて借入を減らしたい」と考えていることもあります。
だから、金額と理由を紙に書いて共有します。
生活費の半年分、初期の支出、返済1年分。それぞれ何のためかを1行ずつ書きます。
理由が書いてあれば、納得しやすくなります。
数字だけを見せると、多すぎると感じることもあります。
相談に乗った方の夫婦も、最初は意見が分かれました。
ところが理由を書いた紙を見せたら、すぐにまとまったそうです。
何のために残すのかが分かれば、金額にも納得できます。
この紙は、引き渡しのあとも残しておきます。
使うときに、その理由に沿っているかを確かめられるからです。
目的のない現金は、いつのまにか減っていきます。
定年までに払い終える形も選べる
- 期間を短くすると総額は減るが毎月は重くなる
- 長めに取って繰り上げる形なら戻す余地が残る
- 退職金を当てにする計画は慎重に考えておく
- 年に1回だけ見直す習慣を最初に決めておく
この帯の収入だと、期間を短くするという選択も現実的になります。
相談に乗った方は、45歳でした。20年で組めば65歳で払い終わります。
ただ、20年にすると毎月がかなり重くなります。この章では、その判断を整理します。
期間を短くすると総額は減るが、毎月は重くなる
返済の期間は、選べることが多いです。20年、25年、30年、35年。
短いほど利息の総額は減ります。ところが、毎月の額は増えます。
4,000万円を20年で組むと、月の返済は18万円台になります。
35年なら11万円台です。差は7万円近くあります。
毎月7万円の差は、教育の時期には重く効きます。
だから、短く組むと山の時期に苦しくなります。
相談に乗った方の場合、7年目と8年目が教育の山でした。
その時期に月18万円の返済は、現実的ではありませんでした。
だから、30年で組んで繰り上げる形にしました。
両方を表に出して比べると、この判断ができます。
毎月の額と、払い終わるまでの総額。この2つを並べます。
3つの期間で表を作ると、20分で終わりました。
期間によって、受け取れる支援の条件が変わることもあります。
一定の期間以上でないと対象にならない仕組みもあります。
だから、期間を短くする前にその条件も確かめておきます。
長めに取って繰り上げる形なら、戻す余地が残る
最初から短く組むと、苦しくなったときに戻せません。
長めに取っておけば、早く返す選択は残ります。
だから、30年で組んで余裕が出た年に繰り上げる形が現実的でした。
この帯の収入なら、年に50万円ほど繰り上げる余地があります。
20年続ければ1,000万円になります。
期間にすると、5年以上短くなる計算です。
65歳完済という目標も、この形で届きます。
ただし、できない年があってもいいように義務にはしません。
義務にすると、できなかったときに苦しくなります。
目標として持っておくくらいが、続けやすい形でした。
繰り上げの手数料も、先に確かめておきます。
一定額以上なら無料という先もあります。
条件によって、続け方が変わってきます。
繰り上げる金額の下限が決まっていることもあります。
1万円からできる先もあれば、100万円からという先もあります。
この条件も、金融機関を選ぶときの材料になりました。
退職金を当てにする計画は、慎重に考えておく
退職金でまとめて返すという考え方もあります。
ただ、この計画は慎重に考えます。
金額が読めませんし、制度が変わることもあります。
それに、退職金は老後の生活費でもあります。
全部を返済に回すと、そのあとの生活が苦しくなります。
だから、当てにしない前提で組んでおきます。
そのうえで、あれば繰り上げに回す。この順番が安全でした。
相談に乗った方も、この考え方を取りました。
退職金がなくても65歳完済に届く形にしてあります。
あれば、さらに早く終わるだけです。
この順番なら、どちらに転んでも困りません。
老後の備えも、住居とは別に積み立てておきます。
住居に回しすぎると、老後の備えが薄くなります。
この帯の収入だと、両方に回す余地があります。
だから、住居を決めるときに老後の分も先に引いておきます。
手取りの1割を老後に回すと決めれば、住居に使えるのは残りからになります。
年に1回だけ見直す習慣を、最初に決めておく
計画は、建てたときで終わりません。30年続くので、途中で見直す機会が必要になります。
ただ、毎月見直していると疲れます。年に1回、決まった時期に見るくらいがちょうどよかったです。
見直すタイミングは、年末か確定申告の時期に合わせると忘れません。
そのときに、手元の現金と繰り上げの判断をします。
それから、金利の水準も確かめます。借り換えという選択肢が出ることもあります。
金利の差が0.5%以上あって、残りの期間が10年以上あるなら検討する価値が出てきます。
相談に乗った方は、毎年1月に見直すことにしました。
1時間だけ表を開く。それだけの習慣です。
続けていれば、変化にも気づけます。
収入が変わった、支出が増えた、金利が動いた。
年に1回でも、見ていれば分かります。
見直す日は、カレンダーに入れておきます。
建てたあとの手入れも規模で増える
- 屋根と外壁の面積が広いほど手入れの金額も上がる
- 設備の数が多いほど交換の時期に山が高くなる
- 素材のグレードを上げると周期そのものが延びる
- 30年で並べると建てるときの差が逆転してくる
大きく建てるほど、手入れの金額も上がります。この帯の収入では、ここも判断の材料になります。
相談に乗った方は、45坪と38坪で手入れの金額を比べました。屋根と外壁の面積が違うので、1回あたり50万円ほどの差がありました。
30年で2回か3回来るので、150万円前後の差になります。この章では、その計算を書きます。
屋根と外壁の面積が広いほど、手入れの金額も上がる
外壁と屋根は、10年から15年ごとに手入れが必要になります。素材によって周期が変わります。
1階建ては、屋根の面積が延床とほぼ同じになります。だから、広く建てるほど屋根も広くなります。
屋根の工事は、面積で金額が決まります。
45坪と38坪では、屋根の面積が7坪違います。
1平方メートルあたりの単価を掛けると、1回あたり数十万円の差になります。
外壁の面積も、建物の外周で決まります。広いほど外周も長くなります。
ただし、1階建ては2階建てより外壁の面積が小さくなることが多いです。高さが低いからです。
だから、屋根の面積のほうが効いてきます。
足場は低くて済むので、そこは有利です。
この3つを合わせると、1階建ての手入れは屋根が中心になります。
だから、屋根の素材の判断が特に効いてきました。
建てるときに屋根の素材を上げると、30年での差が大きくなります。
設備の数が多いほど、交換の時期に山が高くなる
給湯器、エアコン、換気扇、食洗機、インターホン。これらは10年から15年で交換の時期が来ます。
部屋の数が多ければ、エアコンの台数も増えます。
5台あれば、交換のときに5台ぶんの金額がかかります。
しかも、全部が同じ時期に来ます。同じ日に設置したからです。
だから、10年目から15年目にかけて支出が集中します。
この帯の収入で建てる規模だと、この山が高くなります。
年ごとの支出を並べた表を作って、山がどこに来るかを見ます。
山が見えていれば、備えられます。見えていないと、その年に慌てます。
山を平らにする方法もあります。交換の時期を1年ずつずらして進めるやり方です。
全部を同時に替えなければ、負担は分散されます。
相談に乗った方は、この方法で計画を組みました。
1年に1台ずつ替えていけば、山になりません。
素材のグレードを上げると、周期そのものが延びる
建てるときに素材のグレードを上げると、手入れの周期が延びます。
周期が15年から25年に延びれば、30年で1回ぶん減ります。
1回150万円なら、150万円の差です。
この帯の収入なら、建てるときに上げる余裕があります。
だから、上げる判断が取りやすくなります。
ただし、上げるための費用と、減る回数を並べて比べます。
上げる費用が100万円で、減る金額が150万円なら、50万円得します。
上げる費用が200万円なら、逆になります。
だから、必ず計算してから決めます。
会社に「この素材だと、手入れの周期はどれくらいになりますか?」と聞けば答えてくれます。
周期と金額の両方を聞いて、表に入れます。
相談に乗った方は、屋根だけグレードを上げました。
1階建ては屋根の面積が広いので、そこがいちばん効くと判断したからです。
30年で並べると、建てるときの差が逆転してくる
ここまでの話を、1枚の表にまとめます。
建てるときの金額、毎月の光熱費、手入れの費用、毎年の税、受け取れる支援。
これを30年ぶん並べます。
建てるときに950万円安かった家が、30年後には差が縮まっていることがあります。
光熱費と手入れの差が、毎年積み上がるからです。
相談に乗った方の計算では、30年で270万円ぶん戻ってくる形でした。
950万円の差が、実質680万円になります。
この計算をしてから決めれば、納得できます。
2026年度は、みらいエコ住宅2026事業という制度も動いています。
詳しくはみらいエコ住宅2026事業の公式サイトで確認できます。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査のような統計も横に置いておくと、全国の水準と比べられます。
表を作るのに2時間かかりましたが、その2時間で迷いが消えました。
まとめ:大きく建てるより、長く保てる形を選ぶ
この帯の収入では、金融機関が示す上限が5,000万円を超えることも珍しくありません。その数字を見ると、構想が一気に広がります。ところが、大きく建てるほど敷地も屋根も基礎も増えて、毎年の税も手入れの金額も上がります。だから、上限の7割程度に線を引く。20年後の使い方を先に考える。広さを抑えたぶんを仕様に回す。この3つで、長く保てる形になります。
相談に乗った方は、延床45坪の1階建てを考えていました。1階建てで45坪だと、敷地は100坪近く必要になります。ところが、住むのは4人で、20年後には2人です。そのとき45坪をどう使うのかと聞いたら、少し黙っていました。最終的に38坪に見直して、浮いた分を屋根と断熱に回しました。7坪減らしたことで、30年の手入れの金額まで変わったんですよね。大きさは、建てたあとにもずっと効いてきます。
まずは、20年後に何人で住んでいるかを紙に書いてみてください。そこから広さの話を始めると、判断が変わります。
- 示される上限が大きいので7割程度に線を引く
- 返済のほかに税と保険と積み立てで月4万円から5万円
- 標準仕様の一覧に印を付けると選ぶ帯が決まる
- 枠は最初の打ち合わせで上限と下限を伝えておく
- 1階建ては広くするほど敷地も屋根も基礎も増える
- 20年後に何人で住むかから広さを決める
- 教育はいちばん重い想定でも成り立つかを見る
- 手元には初期の支出と返済1年分も残しておく
- 30年で組んで繰り上げる形なら戻す余地が残る
- 屋根の素材を上げると手入れの周期が延びる
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