
ノブです。築20年台の戸建てに住んでいます。
終の住処を1階建てにするか、2年かけて調べました。最初につまずいたのが、金額の単位でした。
広告に出ている数字と、担当の方が口にする数字と、最後にもらった紙の数字。3つとも違っていたんです。どれが本当なのか、しばらく分かりませんでした。
数字の話をします。住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、注文住宅の平均所要資金が4,262万円、土地付注文住宅が5,313万円でした。前年度より上がっています。
建設物価調査会の建築費指数でも、2026年3月時点の木造住宅は前年同月比でプラス5.9%でした。1年で1割近く動く年もあるということです。
金額そのものが動いている時期だからこそ、何を含んだ数字なのかを見る目が要ります。
この記事は、その数え方の話です。3つの箱に分けるだけで、紙の読み方が変わります。
3社の紙を机に並べた夜のことを覚えています。2,480万円、2,650万円、3,180万円。並べた瞬間、いちばん安いところに決めそうになりました。
ところが項目を書き写してみたら、いちばん安い紙には外側の工事がひとつも入っていませんでした。足したら、真ん中の紙とほぼ同じになったんです。あのとき書き写していなければ、たぶん選び方を間違えていました。
- 金額は3つの箱に分けると読めるようになる
- 広告の数字は建物だけを指していることが多い
- 外側の工事で本体の2割から3割が乗ってくる
- 引き渡しのあとにも続けて出ていくものがある
- 同じ枠に書き写してから会社を比べる
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この記事の数字は、あなたの家族の人数と予算に当てはめたときに、はじめて自分のものになります。
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平屋の総額は3つの箱に分けて数える
- 会社によって同じ言葉が別の範囲を指していることがある
- 3つに分けてから書き写すと抜けが見えるようになる
- 広告に出ている数字はいちばん狭い範囲を指している
- 紙の下や裏に小さく注記が入っていることが多い
金額の話でつまずく理由は、たいてい単位です。同じ言葉を使っていても、含んでいる範囲が会社ごとに違います。
僕は最初の3か月、この違いに気づかないまま話を聞いていました。あるとき、2社の紙を並べて延床で割ってみたんです。片方は建物だけ、もう片方は外側まで入った数字でした。同じ土俵に乗っていなかったわけです。
数字を比べる前に、その数字が何でできているかを確かめる。この章では、そこから始めます。
会社によって、同じ言葉が別の範囲を指している
紙に書かれている言葉は、会社ごとに定義が違います。
本体工事という言葉ひとつ取っても、どこまでを含むかが変わります。
照明を含む会社もあれば、含まない会社もあります。
網戸が標準の会社と、追加になる会社があります。
カーテンレールまで入っている会社もありました。
この差は、30坪の建物なら100万円単位になります。
だから、言葉ではなく中身を見ます。
仕様の一覧をもらって、そこに何が並んでいるかを確かめます。
僕は4社に頼んで、標準仕様の一覧をもらいました。
並べてみると、いちばん数字の低い会社が、含まれるものもいちばん少なかったです。
当たり前といえば当たり前ですが、並べるまで気づきませんでした。
安い数字には、たいてい理由があります。
理由が分かれば、納得して選べます。
理由が分からないまま選ぶと、あとで足していくことになります。
3つに分けてから書き写すと、抜けが見えるようになる
やり方は単純です。項目を3つの箱に振り分けます。
建物そのものにかかる分。敷地の外側で発生する工事の分。手続きと保険の分。
この3つです。
紙に3本の線を引いて、項目を書き写していきます。
書き写すと、空欄が並ぶ行が出てきます。
空欄は「入っていない」という情報です。
その空欄を埋めてもらってから、はじめて総額を比べます。
僕は表計算ソフトに、項目名を左の列、3社の数字を右の3列に入れました。
書き写す作業に1時間かかりました。
ただ、その1時間で判断が変わりました。
いちばん低い数字の会社に、空欄が7つあったんです。
その7つを埋めてもらったら、順位が入れ替わりました。
手間はかかりますが、1回やっておけば以降の紙も同じ表で読めます。
2回目からは、20分で終わるようになりました。
広告に出ている数字は、いちばん狭い範囲を指している
チラシやサイトに大きく出ている数字があります。
あれは、たいてい建物だけの数字です。
しかも、いちばん条件の良い場合の数字であることが多くなります。
四角い敷地、標準的な間取り、追加のない仕様。
この条件が揃って、はじめてその数字になります。
だから、そのまま自分の家に当てはめると足りません。
足りないこと自体は、広告として普通のことです。
問題は、読む側がその前提を知らないまま計画を立てることです。
僕は最初、広告の数字で枠を組みました。
外側を足した紙をもらった日、正直かなり焦りました。
そこから組み直して、ようやく現実的な形になりました。
広告は入口として使い、計画は自分の条件で出した数字で組む。
この使い分けができるようになると、振り回されなくなります。
入口と計画を混ぜないことが大事でした。
紙の下や裏に、小さく注記が入っていることが多い
紙をもらったら、まず下まで目を通します。
小さい字で、含まれないものが書かれていることがあります。
地盤の改良は別、外構は別、照明とカーテンは別。
こういった注記が、合計の下に並んでいます。
読みにくい大きさですが、ここがいちばん情報量の多い部分です。
裏面に書かれていることもあるので、必ずめくります。
僕は1社の紙で、裏面の注記を見落としていました。
あとで気づいて、3項目ぶんを追加で聞きました。
合計で210万円ありました。
聞かなければ、そのまま比べていたことになります。
注記が書かれていること自体は、誠実さの表れです。
書かないで済ませる紙より、ずっと親切です。
だから、注記の多い紙を悪く見る必要はありません。
読む側が読めばいいだけの話です。
建物そのものにかかる分をまず出す
- 1階建ては屋根と基礎が2階建ての2倍の面積になる
- 水回りの数は延床が小さくても減らないままになる
- 標準の仕様に入っているものを一覧で確かめておく
- 選べる範囲が広いほど打ち合わせの回数も増える
- 1坪あたりに直すと会社どうしを並べやすくなる
1つ目の箱が、建物そのものです。いちばん大きな金額になる部分でもあります。
僕は最初、2階建てと同じ感覚で計算していました。ところが見積もりを取ったら、想定より高く出たんです。理由を聞いて納得しました。同じ延床でも、屋根と基礎の面積がまるで違います。
この構造を知らないと、計画が2割ずれます。この章では、その中身を分解します。
1階建ては屋根と基礎が、2階建ての2倍の面積になる
延床30坪の2階建てなら、1階は15坪です。
屋根も基礎も、15坪ぶんで済みます。
ところが延床30坪の1階建ては、屋根も基礎も30坪ぶん必要になります。
単純に2倍です。
屋根と基礎は、建物の中でも単価の高い部分です。
だから同じ延床なら、1坪あたりの数字は上がりやすくなります。
これは会社の姿勢とは関係のない、物理的な話です。
逆に言うと、階段が要らない、上下の移動がない、足場が低く済むといった部分では有利になります。
足場の費用は、2階建てより抑えられることが多いです。
だから全体で見ると、思っているほど差がつかないこともあります。
僕が3社に同じ延床で頼んだときは、1階建てのほうが6%ほど高い程度でした。
1坪あたりの見た目ほどの差ではありませんでした。
数字だけを見て、階数を決める必要はありません。
暮らし方で選んで、金額はあとから調整する。この順番で十分でした。
水回りの数は、延床が小さくても減らないままになる
建物の中で単価が高いのは、水回りです。
キッチン、浴室、洗面、トイレ。
この4点は、25坪の家でも45坪の家でも基本的に同じ数だけ必要です。
玄関も、25坪でも45坪でも1つです。
だから、延床が小さいほど1坪あたりに占める割合が大きくなります。
結果として、小さく建てても思ったほど下がりません。
逆に、大きく建てても1坪あたりは上がりません。
この関係を知っておくと、面積を決めるときの判断が変わります。
僕は当初28坪で考えていました。
30坪との差を計算したら、思っていたより小さかったんです。
そこで30坪にして、収納を厚く取りました。
2坪の差より、収納の余裕のほうが暮らしに効くと判断しました。
計算してみないと、この判断はできませんでした。
数字を出すと、感覚で悩んでいた時間がもったいなく感じます。
標準の仕様に入っているものを、一覧で確かめておく
同じ数字でも、標準で付いてくるものが違えば意味が変わります。
床暖房、食洗機、カーテン、照明、網戸、宅配ボックス。
このあたりは会社ごとに扱いが分かれます。
標準に入っていれば追加はゼロ、そうでなければあとから乗ります。
紙をもらったら、仕様の一覧を見て自分が要るものに印を付けます。
印の付いた項目が標準かどうかを、その場で確かめます。
僕は照明とカーテンで、会社ごとに80万円の差が出ました。
これは合計の欄には出ていませんでした。
仕様一覧の細かい行に書いてあっただけです。
読むのは面倒ですが、ここを読まないと比較が成立しません。
読むときのコツは、行を上から順に追わないことです。
自分が気にしている項目だけを先に拾います。
僕の場合は断熱、窓、キッチン、照明の4つでした。
4つに絞ると、3社ぶんでも20分で読めます。
選べる範囲が広いほど、打ち合わせの回数も増える
金額だけでなく、かかる時間も比べます。
用意された図面から選ぶ形なら、打ち合わせは3回ほどで済みます。
自由に設計する形なら、10回を超えるのが普通です。
この差は、そのまま生活への負担になります。
共働きだと、土日を10回使うのはかなりの負担です。
だから、時間も判断の材料に入れます。
僕は自由設計を選びましたが、打ち合わせは12回でした。
半年間、月2回のペースです。
正直、後半は疲れていました。
それでも決めたいことがあったので、その選択に後ろ向きな気持ちはありません。
ただ、事前に回数を聞いておけばよかったとは思います。
「打ち合わせは何回くらいになりますか?」と聞くだけです。
答えを聞いてから決めれば、覚悟ができます。
覚悟があると、途中で息切れしません。
それと、決めることの多さも聞いておきます。
色を選ぶ項目が何十とあると、それだけで疲れます。
あらかじめ絞られている形なら、その負担は軽くなります。どちらが自分に合うかは、生活のリズムで決まります。
1坪あたりに直すと、会社どうしを並べやすくなる
比べるときは、1坪あたりに直します。
建物の金額を延床の坪数で割るだけです。
この数字が近ければ同じ帯、大きく離れていれば別の帯です。
帯が違う会社を並べても、判断の材料になりません。
まず帯を揃えてから、その中で比べます。
僕は最初、帯の違う会社を並べていました。
その並べ方では、いつまでも決められませんでした。
帯を揃えて並べ直したら、比べられるようになりました。
比較というのは、条件を揃える作業のことです。
揃えるまでが手間で、揃えてしまえば答えは出ます。
電卓ひとつでできる作業なので、その場でやってしまいます。
担当の方の前でやっても、嫌がられることはありませんでした。
むしろ、一緒に計算してくれた方もいました。
数字の話がしやすい相手かどうかも、そこで分かります。
敷地の外側で発生する工事の分
- 地面の強さを調べた結果で改良の要否が決まる
- 水道と排水を引き込む工事が別に必要になる
- 1階建ては外まわりの面積が広くなりやすい
- 電気とガスの引き込みでも金額が動くことがある
2つ目の箱が、建物の外側で発生する工事です。ここが読めないと、計画がずれます。
僕がもらった紙のうち1枚には、この箱の項目がひとつも入っていませんでした。全部が別途と書かれていたんです。金額を聞いたら、合計で470万円ありました。
悪意があったわけではなく、そういう書き方の紙だったというだけです。ただ、聞かなければ気づかないままでした。この章では、その中身を並べます。
地面の強さを調べた結果で、改良の要否が決まる
建てる場所の地面の強さは、調べないと分かりません。
調査そのものは、数万円から10万円ほどで受けられます。
結果が良ければ、改良は不要です。悪ければ、改良の工事が必要になります。
改良の金額は、方法と深さで大きく変わります。
表層を固める方法なら数十万円、柱を打つ方法なら100万円を超えることもあります。
必要かどうかは、調査するまで誰にも分かりません。
だから、紙には概算で入っていることが多くなります。
入っていない場合は、自分で枠を取っておきます。
僕は80万円で枠を取りました。実際は45万円で済みました。
浮いた35万円は、そのまま外まわりに回しました。
読めない金額は、多めに見ておくのが安全です。
足りないと計画が崩れますが、余ったら別に使えばいいだけです。
この非対称さを覚えておくと、判断が楽になります。
1階建ては接地する面積が広いので、改良の範囲も広くなりやすいです。
水道と排水を引き込む工事が、別に必要になる
建物の中の配管は本体に入っていますが、外は別です。
道路の本管から敷地に引き込む工事が必要になります。
すでに引き込まれている敷地なら、その工事は要りません。
建て替えの場合は、既存のものが使えることがあります。
ただし、口径が今の基準に合わない場合は取り替えになります。
この工事は、道路を掘る作業が入るので金額が大きくなります。
数十万円から100万円を超えることもあります。
自治体に納める分担金が別に必要な地域もあります。
僕の建て替えでは、既存のものを活かせました。
そのぶん、この項目は小さく収まりました。
敷地を新しく買う場合は、この項目を必ず確かめます。
「上下水道は引き込み済みですか?」と不動産会社に聞くだけです。
引き込み済みかどうかで、100万円近く変わることがあります。
敷地を選ぶときの条件として、金額と同じくらい大事な情報でした。
1階建ては外まわりの面積が、広くなりやすい
建物が地面を広く覆うので、その周りも広くなります。
玄関までのアプローチ、駐車場、境界のフェンス、庭。
これらの面積が、2階建てより大きくなる傾向があります。
特に駐車場は、土間を打つと1台あたり15万円から25万円ほどかかります。
2台なら、それだけで50万円前後です。
フェンスは長さで効いてきます。1メートルあたり1万円から2万円という帯です。
敷地が広いほど、境界の長さも増えます。
だから、外まわりだけで200万円から300万円という規模になることがあります。
ここを後回しにする人は多いですし、それも現実的な判断です。
ただ、生活に支障が出る部分は先にやったほうがいいです。
雨の日に泥だらけになる動線は、2年も我慢できません。
僕は駐車場と玄関までの動線だけ先にやりました。
植栽とフェンスは、2年後に足しました。
この線引きは、住んでみて正解だったと思っています。
電気とガスの引き込みでも、金額が動くことがある
意外と見落とされるのが、この項目です。
電柱から敷地までの距離が遠いと、引き込みの工事に費用がかかります。
敷地の中に新しく電柱を立てる場合もあります。
ガスを使う計画なら、本管からの引き込みが必要です。
本管が前の道路まで来ていない地域だと、その延長の費用が出ます。
数十万円から、条件によってはそれ以上になることもあります。
電気だけで暮らす計画にすれば、ガスの引き込みは不要になります。
その場合、給湯と調理の設備が変わります。
設備の金額と、引き込みの金額を並べて比べます。
僕は電気だけの形にしました。
ガスの本管が前の道路まで来ていなかったからです。
そこで比べたら、電気だけのほうが総額で安くなりました。
敷地の条件が、設備の選択まで決めることがあります。
3つの箱に分けた紙があれば、複数社の提案を同じ形で並べられます。
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手続きと保険で出ていく分
- 建物ができたら登記の手続きが必要になってくる
- 借入をするときにも事務や保証の費用が発生する
- 火災と地震の保険は長期でまとめると割安になる
- この箱は自己資金の現金で払う場面が多くなる
3つ目の箱が、手続きと保険です。金額としては3つの中でいちばん小さいのですが、性質が違います。
この箱は、現金で払う場面が多くなります。借入の実行より前に発生するものがあるからです。僕は契約の翌月に3回の振り込みがあって、そのときはじめて資金繰りという言葉の意味が分かりました。
金額より、いつ払うかが問題になる箱です。この章では、その中身と時期を並べます。
建物ができたら、登記の手続きが必要になってくる
建物が完成すると、登記をします。
表示の登記と、所有権の保存登記。それぞれに手数料と税がかかります。
借入をする場合は、抵当権の設定登記も加わります。
これらは司法書士と土地家屋調査士に依頼するので、報酬も発生します。
金額は建物の規模で変わりますが、合わせて30万円から50万円ほどという帯です。
一定の条件を満たす住宅には、税率を下げる仕組みがあります。
手続きは専門家が代行するので、こちらがやることはほとんどありません。
ただ、軽減が適用されているかどうかは請求書を見れば分かります。
僕は司法書士の方に「軽減税率は適用されていますか?」と聞きました。
適用されているという答えで、内訳も見せてもらえました。
数万円の差ですが、確かめておくと納得して払えます。
聞かれて嫌がる方はいませんでした。
むしろ、丁寧に説明してくれました。
面積の下限などの条件があるので、小さく建てる場合は確かめておきます。
借入をするときにも、事務の費用が発生する
お金を借りるのにも、お金がかかります。
金融機関の事務手数料、保証会社の保証料、契約書に貼る印紙。
事務手数料は借入額の何%という形が多く、定額の場合もあります。
保証料は、借入額と期間で計算されます。
まとめて先に払う形と、金利に上乗せする形があります。
どちらを選ぶかで、手元から出ていく現金の量が変わります。
先に払う形なら、そのぶん現金が要ります。
上乗せなら、毎月の返済が増えます。
僕は上乗せを選びました。着工前の現金を残しておきたかったからです。
この選択も、事前に決めておくと話が早いです。
窓口では、その場で選ぶよう求められることがあります。
その場で考えると、たいてい提示された順に選んでしまいます。
先に決めておけば、迷いません。
それと、金融機関は1行だけで決めないほうがいいです。手数料も金利も行によって違います。
火災と地震の保険は、長期でまとめると割安になる
建物には保険をかけます。
借入をする場合、火災の保険は加入が条件になることがほとんどです。
地震の保険は任意ですが、地域によっては入っておく価値があります。
保険料は、建物の構造で変わります。
燃えにくい構造ほど安くなる仕組みです。
期間の取り方でも金額が変わります。
1年ごとに更新するより、まとめて長期で契約するほうが割安になることがあります。
ただし、まとめて払うぶん最初の現金が要ります。
ここも、資金繰りに関わってきます。
僕は5年でまとめました。金額は30万円台でした。
1年ごとにするより、総額では抑えられました。
補償の範囲も、契約の前に読んでおきます。
水災を外すと安くなりますが、地域によっては外さないほうがいい場合もあります。
自治体が出している水害の想定を見て決めました。
この箱は、現金で払う場面が多くなりやすい
3つ目の箱の特徴は、時期です。
借入のお金は、引き渡しのときにまとめて実行されるのが一般的です。
ところが、それより前に払うものがあります。
契約のときの手付金、着工のときの中間金、地鎮祭や上棟の費用。
これらは自己資金で払う場面が多くなります。
つなぎの融資を使う方法もありますが、その場合は手数料がかかります。
だから、いつ何を払うのかを工程表に書き込んでおきます。
僕は工程表の下に、支払いの日と金額を書き足しました。
そうすると、いつ現金が必要かが一目で分かります。
その月だけ、他の支出を抑えるという調整もできます。
知らないまま来ると、その月に慌てます。
手付金は、契約の場で求められることもあります。
金額と時期を先に聞いておくと、準備ができます。
「支払いはいつ、いくら必要になりますか?」と聞くだけです。
引き渡しのあとに続けて出るもの
- 住み始めてから半年で家具や設備の支出が続く
- 毎年かかる税は最初の数年がいちばん高くなる
- 10年から15年で外まわりの手入れの時期が来る
- 設備の交換は同じ時期に重なって山ができる
3つの箱を足せば、引き渡しまでの金額は出ます。ところが、暮らしはそこから始まります。
僕は引き渡しから半年で、想定していなかった支出が130万円ありました。カーテン、照明、エアコン3台、ダイニングのテーブル。どれも必要なものでした。
ここまで計算に入れておかないと、住み始めてから苦しくなります。この章では、その先の話を書きます。
住み始めてから半年で、家具や設備の支出が続く
引き渡しの日から、暮らしが始まります。
そのときに、足りないものが次々と見えてきます。
カーテン、照明、エアコン、家具、物干し、宅配ボックス。
建物の金額に入っていない項目が多い部分です。
入っていても、標準の仕様で足りないことがあります。
僕は照明とカーテンだけで80万円かかりました。
エアコンを3台入れて、そこで50万円。
合わせて130万円が、引き渡しから2か月で出ました。
この金額を借入に含めることもできますが、含めなければ現金で払います。
だから、その分を手元に残しておきます。
残していないと、生活費から出すことになります。
生活費を削ると、住み始めた実感が薄れます。
せっかく建てたのに、そこは避けたいところです。
目安として、100万円から150万円を見込んでおくと安心でした。
毎年かかる税は、最初の数年がいちばん高くなる
持ち家になると、毎年かかる税が発生します。
建物の評価をもとに計算されるので、新しいほど高くなります。
年が経つにつれて、評価は下がっていきます。
つまり、最初の数年がいちばん重い形です。
そのぶん、新築から一定期間は税額を減らす仕組みがあります。
長期優良住宅の認定を受けていると、その期間が延びる扱いになります。
だから、性能を上げる判断はここにも効いてきます。
僕は市の税務課に電話して、自分の場合の目安を聞きました。
その場で計算してくれて、年額のおおよそが分かりました。
年に14万円ほどという答えでした。
月に直すと1万2千円弱です。
この金額を毎月の家計に組み込みました。
組み込んでおけば、納付の時期に慌てません。
電話1本で分かることなので、早めに聞いておくといいです。
10年から15年で、外まわりの手入れの時期が来る
建てたら終わりではありません。
外壁と屋根は、10年から15年ごとに手入れが必要になります。素材によって周期が変わります。
1階建ては外壁の面積が2階建てより小さくなることが多いので、その部分は抑えられます。
ただし、屋根の面積は広いです。屋根の工事は、そのぶん金額が上がります。
足場は低くて済むので、そこは有利です。
建てるときに素材のグレードを上げておくと、この周期が延びます。
周期が15年から25年に延びれば、30年で1回ぶん減ります。
1回100万円なら、100万円の差です。
僕は外壁の素材をひとつ上げました。差額は50万円でした。
30年で見れば、そのほうが得になる計算でした。
この判断は、建てるときの数字だけではできません。
30年で並べてはじめて、逆転が見えます。
だから、手入れの時期と金額も表に入れておきます。
月1万円を別口座に積み立てると、10年で120万円になります。
設備の交換は、同じ時期に重なって山ができる
給湯器、エアコン、換気扇、食洗機、インターホン。
これらは10年から15年で交換の時期が来ます。
しかも、全部が同じ時期に来ます。同じ日に設置したからです。
だから、10年目から15年目にかけて支出が集中します。
ここを想定していないと、その時期に苦しくなります。
僕は年ごとの支出を並べた表を作って、山がどこに来るかを見ました。
12年目と13年目に大きな山がありました。
その山に向けて積み立てる計画にしました。
山が見えていれば、備えられます。
見えていないと、その年に慌てます。
山を平らにする方法もあります。
交換の時期を1年ずつずらして進めるやり方です。
全部を同時に替えなければ、負担は分散されます。
表を作るのは1時間で済みます。
見積書のどこに何が入っているかを確かめる
- 合計だけを見ずに項目の行を1つずつ読んでいく
- 一式と書かれた行は中身を出してもらうよう頼む
- 別途と書かれた行は必ずその場で概算を聞いておく
- 諸経費の率は説明を聞くと納得できることが多い
紙の読み方には、順番があります。合計から見ると、そこで印象が決まってしまいます。
僕は最初、合計だけを見て順位を付けていました。ところが項目を読み始めたら、順位が入れ替わったんです。読む順番を変えただけで、結論が変わりました。
合計はいちばん最後に見る。この章では、その読み方を書きます。
合計だけを見ずに、項目の行を1つずつ読んでいく
紙を開いたら、合計の欄を手で隠します。
そのうえで、項目を上から読んでいきます。
意味の分からない言葉があれば、印を付けます。
数量が入っていない行にも、印を付けます。
読み終わってから、印を付けた行を質問します。
この順番だと、合計に引きずられません。
僕は3枚とも、この読み方をしました。
結果として、印が10個以上付いた紙が1枚ありました。
質問したら、丁寧に説明してもらえました。
説明を聞いて、その会社の印象がむしろ良くなりました。
読まなければ、質問もできませんでした。
質問しなければ、その説明も聞けませんでした。
読む作業は、相手を知る作業でもあります。
コーヒーを1杯淹れて、腰を据えて読む価値のある紙です。
読むときは、鉛筆を持って読みます。
印を付けながら読むと、記憶にも残ります。
目で追うだけだと、読んだつもりで終わってしまいます。手を動かすと、質問が浮かんできます。
一式と書かれた行は、中身を出してもらうよう頼む
一式という言葉が出てきたら、そこは確かめます。
何に対していくらなのかが分からないからです。
「この一式の中身を、行に分けていただけますか?」と頼みます。
出してくれる会社は、自分たちの積算を説明できる会社です。
出せない場合は、その理由を聞きます。
一式でまとめること自体が不誠実だとは限りません。
小さな工事だと、細かく分けるほうが読みにくくなることもあります。
ただ、比べる場面では内訳が要ります。
僕は3社とも、頼んだら内訳を出してくれました。
断られたことは一度もありませんでした。
聞いてみる価値は十分にあります。
内訳が出てくると、他社と行ごとに並べられます。
行ごとに並べると、どこで差がついているかが見えます。
ここまで来て、はじめて比較ができる状態になります。
別途と書かれた行は、必ず概算を聞いておく
別途というのは、この金額には入っていませんという意味です。
地盤の改良、外構、照明とカーテン、引き込みの工事。
これらが別途になっていることがあります。
合計が安く見えても、別途の分を足すと変わります。
だから、別途の行を見つけたら、その場で概算を聞きます。
「別途と書かれている分は、おおよそいくらになりますか?」と聞くだけです。
答えられる会社なら、その場で数字が出ます。
僕が聞いたときは、1社で3項目、合計210万円という答えでした。
その210万円を足したら、他社とほぼ同じになりました。
安く見えていた理由が、それで分かりました。
別途の存在自体は、悪いことではありません。
実際に調べてみないと分からない部分はあるからです。
大事なのは、その存在を先に知っておくことです。
知っていれば、驚かずに済みます。
諸経費の率は、説明を聞くと納得できることが多い
紙の最後のほうに、諸経費という行があります。
本体の何%という形で計算されていることが多く、5%から15%の幅で見かけます。
この行だけを見ると、何のお金か分かりません。だから削りたくなります。
中身は、現場の管理費、保険料、事務の費用、会社の運営費などです。
この費用がなければ、現場を管理する人が置けません。
僕は担当の方に「諸経費には何が含まれていますか?」と聞きました。
内訳を書いた紙をもらって、納得しました。
金額そのものより、何のお金かが分かれば気持ちが変わります。
ここを削ろうとすると、現場の管理が薄くなります。
結果として、住み始めてから困ることが増えます。
削る場所としては、いちばん向いていない行です。
むしろ、この行がきちんと立っている紙のほうが安心できます。
入っていない紙は、どこかに紛れ込んでいるということです。
見えている費用のほうが、比べやすいです。
同じ枠で並べると会社ごとの差が見える
- 条件を紙1枚にして同じものを各社に渡しておく
- 提出の期限をそろえると読み比べやすくなる
- 空欄を埋めてもらってから合計の欄を比べる
- 差の理由を説明できるかどうかで会社が見える
ここまでの整理を、最後に1枚の表にまとめます。3つの箱に分けた枠に、各社の数字を入れていくだけです。
僕がこれをやったとき、いちばん低かった紙が2番目に上がりました。空欄が7つあったからです。埋めてもらったら、真ん中の紙とほぼ同じになりました。
並べ直すまでが手間で、並べてしまえば答えは出ます。この章では、その並べ方を書きます。
条件を紙1枚にして、同じものを各社に渡しておく
比べるためには、条件を揃えます。
敷地の情報、延床、間取りの希望、予算の枠、家族の構成。
この5つを同じ紙にして、全社に同じものを渡します。
口頭で伝えると、社ごとに解釈が変わります。紙にすれば揃います。
僕はA4の紙1枚にまとめて、コピーして渡しました。
作るのに30分かかりましたが、返ってきた紙の比べやすさがまるで違いました。
それに、紙があると相手も助かるようです。
1社の方に「これは助かります」と言われました。
条件が固まっていると、提案も作りやすいのだと思います。
手間ではありますが、こちらにも相手にも良い作業でした。
紙は手書きで構いません。数字が書いてあれば十分です。
僕はノートを1ページ破って書きました。
きれいに作る必要はありません。
大事なのは、全社が同じ前提で考えることです。
提出の期限をそろえると、読み比べやすくなる
紙が届く日がばらばらだと、比べにくくなります。
2週間ずれて届くと、最初の1社の印象が薄れています。
だから、締め切りを同じ日にしておきます。
「◯月◯日までにいただけますか?」とこちらから伝えるだけです。
それだけで、そろいます。
僕は2週間後の日曜を締め切りにしました。
3社とも、前日までに届きました。
届いた日に一気に読むと、差がはっきり見えます。
読む時間も、まとめて取ったほうが集中できます。
2時間ほど確保して、3枚を机に並べました。
紙で並べると、画面で見るより比べやすかったです。
データで届いた場合も、印刷して並べました。
横に置いて見比べる。この形がいちばん分かりやすかったです。
この日のために、他の予定を空けておきました。
読む前に、コーヒーを淹れておきます。
途中で立つと、集中が切れます。
2時間まとめて取ると、3枚を最後まで読み切れました。細切れにすると、比べる感覚が保てません。
空欄を埋めてもらってから、合計を比べる
書き写すと、空欄が並ぶ行が出てきます。
その空欄は、その会社の紙に入っていない項目です。
空欄のまま比べると、入っていない会社が安く見えます。
だから、埋めてもらってから比べます。
「この項目は御社の場合いくらになりますか?」と聞くだけです。
僕は空欄に黄色を付けて、次の打ち合わせでその欄だけ質問しました。
3社とも、その場で概算を出してくれました。
埋まった時点で、はじめて合計の比較ができる状態になります。
ここまでやらないと、比べたことになりません。
順番を守ると、判断を間違えません。
順番を逆にすると、安いほうを選んであとから足していくことになります。
その足し算は、契約したあとに始まります。
契約後の追加は、断りにくいものです。
だから、契約の前に埋めておきます。
埋めた表は、そのまま契約の資料になります。
この項目が入っている前提で契約した、という記録になるからです。
僕は表を印刷して、契約の書類と一緒にファイルしました。
差の理由を説明できるかどうかで、会社が見える
並べ終わると、差が残ります。
同じ条件で頼んでも、差はゼロにはなりません。
その差の理由を聞きます。
仕様が上だから、工法が違うから、範囲が広いから。
説明できる会社は、自分たちの積算を分かっています。
説明が曖昧な会社は、他社に合わせた数字を出しているだけということもあります。
僕は3社に同じ質問をしました。
3社とも、差の理由をきちんと説明してくれました。
説明を聞いて、真ん中の会社に決めました。
金額だけなら別の会社でしたが、説明の中身で決めました。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査や国土交通省の建築着工統計調査を見ると、全国の水準も分かります。
自分の数字がその中でどこにあるかを知っておくと、落ち着いて判断できます。
基準がひとつあると、数字の大きさに振り回されません。
まとめ:総額は箱を分けてから足す
紙に書かれている数字は、そのままでは比べられません。建物そのもの、敷地の外側の工事、手続きと保険。この3つの箱に分けて書き写すと、抜けている項目が空欄として見えてきます。空欄を埋めてもらってから合計を比べる。この順番を守るだけで、判断を間違えなくなります。広告の数字は入口として使い、計画は自分の条件で出してもらった数字で組みます。
3枚の紙を机に並べた夜、いちばん安いところに決めそうになりました。2,480万円という数字が、他より200万円近く低かったからです。ところが項目を書き写したら、外側の工事がひとつも入っていませんでした。足したら真ん中の紙とほぼ同じになったんです。あのとき1時間かけて書き写していなければ、契約したあとで気づいていました。契約後の追加は、断りにくいものです。順番を守るというのは、そういうことでした。
まずは手元の紙に、3本の線を引いて項目を振り分けるところから始めてみてください。鉛筆と20分あれば終わります。
- 金額は建物と外側と手続きの3つの箱に分ける
- 広告の数字は建物だけを指していることが多い
- 1階建ては屋根と基礎が2階建ての2倍の面積になる
- 水回りの数は延床が小さくても減らない
- 地面の改良は調べるまで必要かどうか分からない
- 上下水道が引き込み済みかで100万円近く動く
- 手続きと保険は現金で払う場面が多くなる
- 引き渡し後の半年で100万円台の支出が続く
- 一式と別途の行は必ず中身と概算を聞く
- 空欄を埋めてもらってから合計の欄を比べる
一社だけで決めなくて大丈夫です。複数社の提案を取り寄せて、納得できるものを選べます。
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